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App Store以外の課金を認め、値付けも柔軟に――アップルが開発者と和解へ

小規模開発者や報道機関を支援するプログラムも提供

 米アップル(Apple)は、米国のデベロッパー(開発者)が起こした集団訴訟に対して、App Storeで配信されるiOSアプリケーションについて、開発者がiOSアプリケーション以外でユーザーと購入オプションを共有できることを明確にするなど、複数の解決策によって和解する方針を明らかにした。

和解の内容

 年間収益が100万ドル未満の開発者の手数料を通常の半額にする「App Store Small Business Program」について、少なくとも今後3年間、現在の形でこのプログラムを維持することに合意した。この合意により、年間収益が100万ドル未満の企業は手数料引き下げの恩恵が引き続き得られ、より大規模な開発者は、アプリケーションの購入およびアプリ内課金でApp Storeの標準の手数料を支払いする。

 App Storeの検索機能に関する開発者からの要請を受け、Appleは検索結果をダウンロード数、スター評価、テキストの関連性、ユーザー行動シグナルなどの客観的特性に基づいたものにすることに同意した。今回の同意により、現在のApp Store検索システムが少なくとも今後3年間維持される。

 開発者がエンドユーザーとコミュニケーションを取りやすくするために、Appleは開発者がメールなどのコミュニケーションを使ってiOSアプリケーション以外の支払方法に関する情報を共有できることも明確にしている。

 アプリケーションやApp Store以外で行われた購入については開発者がAppleに手数料を支払う必要はなく、ユーザーは開発者とコミュニケーションを受け取ることに同意する必要があり、また、同意しない権利を有することを明確にした。

 Appleでは、開発者がサブスクリプション、アプリ内課金、有料アプリケーションで利用可能なプライスポイント(価格設定)をこれまでの100未満から500以上へと拡大する。

 Appleは、App Storeへ申請されるアプリケーションについて申請を却下する権利を有するが、審査の却下に対して、開発者による不服申し立てができる選択肢を維持する。Appleは、App Reviewのウェブサイトに、開発者が不服申し立てをするプロセスを理解するのに役立つコンテンツを追加する。

 このほか、Appleは小規模な米国の開発者を支援するための基金を設立する。2015年6月から2021年4月26日までの間で、開発者がアカウントを有した全ての年で米国ストアフロント全体での収益が100万ドル以下の開発者が対象で、米国の開発者の99%が該当するという。基金の詳細については後日発表される。

報道機関向けプログラム「News Partner Program」

 Appleは、報道機関向けに「News Partner Program」を開始する。報道機関は、「Apple News Format」を使って自社のユーザーがApple Newsの自社コンテンツアクセスできるようにすると、同プログラムに参加できる。報道機関は、ニュースアプリの対象サブスクリプションから15%の手数料を得られる。