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アップル、2020年に100万本以上のアプリを“申請却下”――不正な取引を15億ドル以上未然に防ぐ
2021年5月12日 13:49
米アップル（Apple）は、App Storeにおける2020年のアプリ審査で発見した「不正行為」「不正アプリ」の件数を公表した。年間15億ドル以上の不正取引を未然に阻止したという。
アプリの評価時点で「不正アプリ」を却下
アップルは常に新しいアプリを供給することを目指しているが、申請されるアプリのなかには「アプリが不完全」「適切に動作しない」ことが理由で承認まで時間がかかるものがあるという。ユーザーが作成したコンテンツの取り扱いについて不十分な仕組みになっているものもあり、2020年では約100万本のアプリに問題があったほか、既存アプリのアップデートでも約100万本問題を発見し、申請の却下やApp Storeから削除した。
また、絶対数は少ないものの、「ユーザーに著しい悪影響を与える」「ユーザー体験がひどく損なわれる」可能性のあるアプリも存在すると指摘。アップルの評価チームは、隠し機能や文書化されていない機能があるという理由で4万8000本以上のアプリを却下。さらにユーザーの連絡先を悪用するスパムアプリや、既存のアプリをコピーしたアプリ、ユーザーを巧みに誘導して何かを購入させるようなアプリを15万本以上発見し、登録を却下している。
なお、アップルの承認後にアプリの動作を変更し、ガイドラインで禁止されているアクションや犯罪行為を実行しようとする「おとり商法」を企てるデベロッパーもいるという。
アップルでは、これらのアプリは発見され次第「App Storeから直ちに登録却下／削除」するとともに、デベロッパーには14日間の不服申立期間が与えられた後、アカウントを永久に停止させる。アップルでは、2020年に約9万5000本のアプリを不正行為だとしてApp Storeから削除したが、ほとんどに「おとり商法」が仕込まれていたという。
このほか、機能と無関係のプライバシーデータを求める21万5000本以上のアプリの承認を却下している。
ユーザーからのレビューも評価
アップルでは、ユーザーがアプリを評価できる「評価とレビュー」についても機械学習や人工知能、人の手による評価を実施している。
2020年以降、10億件以上の評価と、1億件以上のレビューを処理し、2億5000万件以上の評価とレビューを「中立的な基準を満たさない」として削除したとしている。
アカウント詐欺にも対応
デベロッパーのアカウントについて、違反行為が頻繁に繰り返し行われるアカウントはApple Developer Programから追放され、そのアカウントは停止されるとしている。
アップルでは、2020年に47万人以上のデベロッパーアカウントを停止し、詐欺の疑いがある20万5000人を登録拒否、該当者によるアプリ登録申請ができないようにした。また、不正行為をするユーザーからのアカウント作成については、1カ月未満ですぐにアカウントを停止しているという。
このほか、海賊版アプリストアで配布されていた約11万本の違法アプリのブロックや、「Apple Developer Enterprise Program」を悪用した320万本以上のアプリのブロックを実施した。
支払いの不正行為にも注視
App Storeでは、テクノロジーと人の手による評価の組み合わせで、流出したクレジットカード情報を使った購入を阻止している。2020年だけで300万枚以上のカード使用を阻止し、不正購入に関わった約100万にアカウントに対して取引停止措置をとった。
アップルは、これにより15億ドル以上の不正取引からユーザーを守ったとしている。