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ahamoに変更後もキャリアメールを使えるように――総務省が方針示す
「MNP予約番号の発行や解約はスマホで完結できるように」の意見も
2021年2月26日 15:20
総務省は、26日「スイッチング円滑化タスクフォース(第5回)」を開催した。
第5回の会合では、eSIMの普及促進、SIMロック解除の一層の推進、キャリアメールの「持ち運び」実現、MNP手続きの更なる円滑化について、資料が開示されている。
eSIMの普及促進
eSIMの普及促進については、2021年夏頃を目処にできるだけ早期に導入するほか、MNOだけでなくMVNOにもRSP(Remote SIM Provisioning)機能を開放のうえ、MVNOもMNOとできる限り同等の時期にスマートフォン向けeSIMサービスを提供できるように環境を整備することが適当とした。
RSP機能以外の開放についても、MVNOから具体的な提案があった場合には、MNOは真摯に協議に応ずるべきとした。また、eSIMサービスでは店舗での契約手続などは不要となることから、オンライン本人確認(eKYC)を、eSIMにあわせて導入すべきとした。
SIMロック解除の一層の推進
SIMロック解除の一層の推進については、端末の割賦代金を支払わない等の不適切な行為が行われる可能性が低いことができた契約者について、端末にSIMロックを設定する必要性は認められず、一律にSIMロックを禁止すべきとした。
具体的な運用として、不適切な行為が行われる可能性が低いことが確認できた購入者に対しては、一切の負担を課さずに事業者の責任および費用でSIMロックが設定されていない端末を渡す、あるいは既に販売した端末についてもSIMロックを解除することを求めている。
一方、不適切な行為が行われる可能性が低いと確認できない場合には、その可能性が低いことが確認できるまでの間、リスク回避・軽減のために、何らかの措置をとる必要性を認めるが、その措置は原則としてSIMロックではなく、購入者の権利や競争への制限効果がより低い他の手段を最大限に活用してリスクへ対応することが適当とした。
しかしながら、現時点では想定されないが、今後、万が一、他の代替的な手段では対応が困難であり、SIMロックでなければ対応できないリスクの存在が明らかになった場合には、事業者の責任で定量的なデータなどを開示し、関係者の理解を得ることでSIMロックと比較して制限効果がより低い手段では目的を達成することが困難であることが明らかにされれば、SIMロックを採用することを完全に否定するものではないと、極めて限定的なケースに限ってSIMロックを行うことを認めた。
キャリアメールの持ち運び
キャリアメールの持ち運びについては、送受信共に一定のニーズが認められるとし、MNP転出前の事業者がメールアドレスを管理する「変更元管理方式」により、メールアドレスの持ち運びを希望する全ての利用者に対して、提供可能な環境を実現することが望ましいとした。
今春からスタートするahamo、povo、LINEMOはキャリアメールが提供されないが、これらの新料金プランやブランドへの乗り換え後も、キャリアメールを利用可能とすべきとした。
契約者がキャリアメールの持ち運びを希望する場合に、過度な負担や手続を課さないことが適当としながらも、合理的な範囲内でコスト回収については、基本的に通信事業者が判断するものとしたほか、その対象をMNO間に限定せずに、MVNOを含めた他事業者にも持ち運びできる仕様とすべきとした。
導入時期については、「変更元管理方式」におけるシステム開発期間がMNO3社の平均で約1年となっているため、2022年夏頃には実現することが適当とした。
MNP手続のワンストップ化
MNP手続のワンストップ化については、実施に向けては多くの事業者の存在を前提に、多大なコスト・検討時間を要することなどを理由に、継続的に検討すべきとした。
ただし、移転先の事業者の申請でもMNP予約番号を発行できるAPIを開発するなど、既存のシステムを活用した方式については新規開発の要素が比較的少ないため、可能な限り早期に実施することを目指して今後2年以内を目処にワンストップ方式が導入できるように、課題解決に向けて取り組むことが適当とした。
解約やMNP予約番号発行はスマホ完結すべき、関東弁護⼠会連合会が意見提出
このほか、関東弁護士連合会は同タスクフォース宛に、MNP予約番号の発行手続きや、回線の解約手続についてはWeb上で完結できるように義務付ける求める意見を提出した。
同会が提出した意見には、スマートフォンの契約者に対しては、契約者が所有するスマートフォンを利用してこれらの手続が完結する環境整備を通信事業者に義務付ける内容も含まれる。