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観光情報もタクシー配車もアプリ1つで。KDDIなどが観光型MaaSアプリの実証実験

 KDDI、沖縄セルラー電話、沖縄セルラーアグリ&マルシェ、日本トランスオーシャン航空、沖縄都市モノレール、沖東交通事業協同組合、沖縄ITイノベーション戦略センター、JapanTaxi、ナビタイムジャパンは、交通渋滞の緩和や新たな旅行体験の提供を目的とした観光型MaaSアプリ「沖縄CLIPトリップ」の実証実験を開始した。

 沖縄CLIPトリップは、観光スポットの情報収集やアクティビティの予約、旅行保険の契約、現地での移動に至るまで、沖縄旅行に必要なあらゆる機能を集約したアプリ。那覇市周辺エリアが対象で、実験期間は3月31日まで。Android版、iOS版が提供される。

 トップ画面には、沖縄セルラーアグリ&マルシェのオウンドメディア「沖縄CLIP」のライター陣による観光スポットなどの紹介記事が並ぶ。気になるスポットを見つけたら「マルチモーダルルート検索」機能を使い、ゆいレール(モノレール)やバス、タクシーなどの移動手段を組み合わせた最適なルートを探せる。グルメ情報は食べログのデータと連動し、同じく店舗までの経路検索をシームレスに同アプリ内で行える。

 MaaSアプリとしては経路検索に留まらず、ゆいレールの1日乗車券の購入やタクシーの配車・決済もアプリ内で完結できる。バスについては現状では経路検索のみとなるが、今後の対応を検討する。

 ゆいレールは国内では珍しいQRコード乗車券を採用する事業者だが、「沖縄CLIPトリップ」で購入できる1日乗車券は有人改札で駅員に提示する形式。デジタルチケットの上部には、偽造対策を兼ねて有効期限のタイマーが表示される仕様となっている。

 観光アクティビティの予約ではJAPAWALK OKINAWAと連携。代金の決済も事前に済ませられる。旅行保険はau損保が提供する。また、対象エリアで開催されるイベントとの連携機能も備え、開始当初は「ResorTech Okinawa おきなわ国際IT見本市」の会場マップやシャトルバス情報、デジタルチケットの表示が可能となっている。

 沖縄観光コンベンションビューローの下地芳郎会長によれば、沖縄県を訪れる日本人観光客のレンタカー利用率は約47%と高く、県内のレンタカー登録台数は4万台を超える。また、観光客の国籍を問わず路線バスの利用率は1~2%に留まっており、初乗り運賃(560円)の安さからタクシーの利用が多いという。このような背景から空港近辺や那覇市内の交通渋滞が課題となっており、公共交通機関を利用しやすくする一助として、同氏はMaaSアプリに期待を寄せる。