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LINEが事業戦略発表会を開催、「Life on LINE」をテーマに新サービスを続々発表
2019年6月28日 15:33
LINEは6月27日、事業戦略発表会「LINE CONFERENCE 2019」を開催した。24時間365日、ユーザーの生活すべてをサポートする、ライフスタイルを革新していくというビジョン「Life on LINE」を掲げ、AIやフィンテックの分野を中心に、新たな取り組みの数々を発表した。
主軸となるコミュニケーションアプリ「LINE」のテコ入れ
コミュニケーションアプリ「LINE」を起点に幅広いサービスを展開する同社にとって、月間約8000万人のアクティブユーザーを抱える同アプリは、すべての関連サービスの入口として多くのユーザーを確保する重要な役割を担っている。
トークや無料通話などの基本機能には、ここ数年大きな変化は見られなかったが、新たに「OpenChat」という機能が導入される。コミュニケーションアプリとしてのLINEでは従来、現実社会や他のSNSなど、ほかのコミュニティでつながった人々が、クローズドなやり取りができるLINEに移ってくるという傾向があった。OpenChatの導入により、趣味などの共通点から人とつながり、新たなコミュニティを形成できるようになる。
また、LINEスタンプのサブスクリプションサービス「LINEスタンプ プレミアム」も7月から始まる。料金は月額240円、学生なら半額の月額120円で300万セットを超えるLINEクリエイターズスタンプが使い放題となる。
好調のLINE MUSICにはフリーミアムモデルを導入
定額制音楽配信サービス「LINE MUSIC」は2015年のサービス開始以来、LINEのプロフィール画面に自分の好きな音楽を設定できる機能や、トークルームのBGM機能、「TikTok」との連携などソーシャルに力を入れてきた。
次の取り組みとしては、音楽配信サービスにとっては単なる機能を超えて「コンテンツ」に近い重要な差別化要素だという、楽曲のレコメンド機能やプレイリストなどをLINEが得意とするAI技術で強化していく。OCRによる他サービスからのプレイリスト移行機能、ユーザーインターフェイス(UI)の改良なども含めて、2019年秋に大型アップデートを実施する。
さらに、LINE MUSICにある5400万曲の楽曲をフル尺で1回ずつ聴けるフリーミアムモデルの「ONE PLAY」(仮称)も導入する。
アジア最大のフィンテックプラットフォームを目指す
「LINE Pay」は国内で3600万ユーザー、月間の決済件数は1100万件を突破。台湾やタイでもユーザーが増加している。メルペイ、NTTドコモとの「Mobile Payment Alliance」による加盟店網の相互拡大、8月に予定される「LINE Pay VISAクレジットカード」の導入などにより、さらなるユーザーの獲得とアクティブユーザーの増加を目指す。
金融領域では、証券サービス「LINE証券」を秋から提供する。1株から買える手軽さ、シンプルなUI、そして平日21時までリアルタイムで売買できるという特徴を持ち、若年層や働く世代にアプローチする。また、日本、台湾、タイ、インドネシアの同時進行で、スマートフォンバンクの立ち上げを進めている。
また、27日に開始されたスコアリングサービス「LINE Score」も、今後の金融・決済サービスの展開に関わってくる。夏には、アプリ上で完結する無担保ローンサービス「LINE Pocket Money」を開始する。
AI事業は他業界との連携を加速
AI事業については、今回はAIアシスタント「Clova」の新デバイスの発表などはなかったが、他業種のパートナー企業との連携、ビジネスでのAI技術の活用など今後の展開をイメージできる内容となっていた。
ホテルの客室にClovaを導入することで利便性の向上やスタッフの負荷軽減に役立てる事例や、バーチャルホームロボット「Gatebox」次世代機との連携、スカパー!との次世代型テレビの共同開発などが発表された。
2017年からトヨタ自動車との協業で取り組む、Clovaを活用した自動車向けサービスについても新たな成果を発表した。9月以降に、無料アプリ「LINEカーナビ」を提供する。トヨタのナビゲーション基盤とLINEの音声ユーザーインターフェイスを融合させ、カーナビ機能に加えて「LINE」メッセージの返信などの音声操作にも対応。アプリ単体での利用はもちろん、Smart Device Link(SDL)対応車種との連携もできる。
また、音声認識、チャットボット、OCRなどのAI技術を提供するBtoBサービス「LINE BRAIN」を開始。企業の人手不足などを解消する活用例として、電話応対AI「DUET」のデモンストレーションが行われた。