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中古端末もSIMロック解除を義務化、総務省がガイドライン改正

 総務省は、4月末に最終報告書を公表した「モバイル市場の公正競争促進に関する検討会」の内容を受けて、関連する2つの指針・ガイドラインを改正した。

 ガイドラインの改正案はすでに案内されており、意見募集の結果を踏まえ、改正が決まった。改正対象になったのは、「モバイルサービスの提供条件・端末に関する指針」と、「電気通信事業法の消費者保護ルールに関するガイドライン」の大きく2つ。

ガイドライン改正の概要

中古端末のSIMロック解除、受付を義務化

 ガイドラインの改正により、キャリアが中古端末のSIMロック解除に応じることが義務付けられる。

 SIMロック解除関連のガイドラインの適用は2019年9月1日から。

 改正されたガイドラインでは、キャリアは原則として自らが販売したすべての端末のSIMロックの解除に応じるものとしている(特定用途の端末を除く)。

 割賦払い中などは、端末の詐取を防ぐ目的で、販売(購入)から100日程度を超えない範囲でSIMロックを維持できるが、その後は、解除の申請があった場合に応じることが求められる。一括払いでは、支払いが確認でき次第、解除に応じることとしている。

 なお、端末代金が未払いで「ネットワーク利用制限」に対象になっている端末で、MVNO回線の利用も制限するのは、SIMロックを援用する過度な措置とし、キャリアがSIMロックを維持できる「必要最小限の措置」に該当しないとしている。

背景

 2018年8月末現在、キャリアの端末のSIMロックの解除を行えるのは、端末を購入・契約した本人のみとなっている。また、端末購入に紐付いていた回線を解約して101日間が経過すると、端末のSIMロックの解除手続きは受け付けないという仕組みになっている。2017年末にKDDIが条件を変更したことで、3キャリアで受付条件は同じになっている。

 この結果、中古で購入した端末は、(すでに解除してある場合を除き)店頭に持ち込むなどしてもSIMロックを解除できない状況になっており、中古端末の魅力を減じる形になっていた。

端末の流通・販売

 ガイドラインの改正により、キャリアが端末の流通・販売を行う事業者に対し、不当に端末の流通・販売を制限することが禁止される。

 また、キャリアが販売店に対し、不当に端末の販売価格やその値引き額を実質的に指示することが禁止される。

“4年縛り”の残債免除に説明義務

 ガイドラインの改正により、ユーザーを長期に拘束する効果を持つ「残債免除施策」について、ユーザーへの説明が義務付けられる。

 KDDIとソフトバンクは、高額な端末を主な対象として、端末を48回払い(4年)の割賦販売にした上で、24カ月時点で残り24回の残債を免除する端末購入プログラムを提供している。しかし同じ条件で繰り返し契約しなければいけないなど、抜け出せなくなる拘束力が強いとされ、公正取引委員会からも「半永久縛り」と指摘されるなど問題になっていた。2キャリアはすでに一部条件の緩和などを検討しているが、ガイドラインの改正では、ユーザーがその条件をしっかりと理解するよう、説明の徹底が求められた。

これまで

 総務省は2017年末から2018年4月にかけて、全6回で「モバイル市場の公正競争促進に関する検討会」を開催。有識者を交え、現在の携帯電話業界のさまざまな問題点を取り上げた。この「検討会」の報告書が公表された後は、3キャリアに対し問題となった点の行政指導や要請も行われている。今回のガイドラインの改正も「検討会」の結果を受けたものとなっている。なお本誌では、検討会を主導した小林史明総務大臣政務官にも取材している。