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東京・丸の内でハンドルの無い自動運転バスが走行、ソフトバンクと三菱地所

 ソフトバンクと三菱地所は、東京・丸の内のオフィス街にて自動運転シャトルバスの試乗会を開催した。

東京・丸の内の仲通りで自動運転シャトルバスが走行

 両社からは12月11日に実証実験として内容が案内されており、12月22日には、交通規制により一般車両が入らないようにした丸の内の仲通りにて、実証実験としての走行や、一般からの応募者が乗車できる試乗会が開催された。

 使用された車両は、SBドライブが所有する仏Navya社製の「NAVYA ARMA(ナビヤ アルマ)」。バッテリーとモーターで走行する自動運転シャトルバスで、自律走行を行える。世界約25カ国で10万人以上が試乗しているとのことで、60台が生産されている。

 「NAVYA ARMA」は自動運転のレベル4を想定した車両で、運転席やハンドルがない構造。数cm単位で検出できるRTK-GPS(Real Time Kinematic GPS)を搭載し自己位置を推定するほか、車両の前後に取り付けられた「LiDAR」(ライダー)センサーでレーザーを照射し、予め走行し設定したルートの検知(3D)や、障害物の検知(2D)を行う。今回の実験では、丸の内のビル群の中にある通りということで、GPSを使わず、主にLiDARを用いた走行になっていた。

 座席はシートが11席、立ち乗りを含めた定員は15名。車両には前後の区別はなく、赤いテールランプとフロントライトは走行時に切り替わる。今回の実証実験は直線の往復のみだったが、曲がる際には前輪・後輪のどちらも同時に操舵角を変える仕組み。発車時にはベルのような音が鳴り、周囲に知らせるようになっていた。車両には実証実験にあわせて特別なラッピングも施された。

「NAVYA ARMA」

 関係者が乗車した走行デモでは、歩行者が車両の前に飛び出してしまうケースも、実験の一部として披露。歩行者に扮したスタッフを検知すると走行が止まり、歩行者がいなくなると運転が再開される様子を確認できた。

「LiDAR」によるレーザー照射は走行用(3D)と障害物検知用(2D)の2種類を搭載
走行ルートに歩行者が侵入したことを検知して一時停止
いなくなると再開した

 一般向けの試乗会では片道約100mの往復走行に乗車が可能だった。これに先駆けて報道陣も片道約40mの往復走行に乗車することができたが、スムーズに走行する様子を体験できた。実験での速度は最高で時速5km。

自動運転バス「NAVYA ARMA」走行の様子
自動運転バス「NAVYA ARMA」乗車の様子

丸の内を実験場として、強力に後押し

 12月22日には実証実験の会場にて記念セレモニーも開催された。主催者として登壇した三菱地所 執行役常務の湯浅哲生氏は、「丸の内にはAIやフィンテックなど若い企業が続々と集まってきており、既存の企業とのコラボレーションが広がっている。ここから生み出される技術を、世界に先駆けて実現できるよう、丸の内を一大実験場として、強力に後押ししていく」と語り、先端的な取り組みを支援していく方針を示した。

 同じく主催者として登壇したソフトバンク 代表取締役副社長兼COOの今井康之氏は、「社会インフラの構築についても最新テクノロジーを活用でき、行政とのコラボレーションの機会も増えている。自動運転の領域は、AI、IoT、ロボットのすべてにまたがる技術。これらを活かしながら、みなさんと一緒に将来の日本を創り上げていきたい」と語り、インフラや行政にも同社の最新テクノロジーを提供できる様子を語った。

三菱地所 執行役常務の湯浅哲生氏
ソフトバンク 代表取締役副社長兼COOの今井康之氏
テープカットセレモニー
主催者など関係者も試乗