インタビュー

「Redmi 9T/Note 9T」シャオミとソフトバンク担当者が語る

 Xiaomi(シャオミ)は、「Redmi 9T」と「Redmi Note 9T」を発表した。グローバルでは1月8日に発表されていたもので、「Redmi 9T」はSIMフリー端末で主にMVNOなどから、「Redmi Note 9T」はソフトバンクからそれぞれ発売される。

 今回、シャオミ東アジア担当ゼネラルマネージャーのスティーブン・ワン(Steven Wang)氏と、ソフトバンク常務執行役員の菅野 圭吾氏に話を聞いた。

ソフトバンク常務執行役員の菅野 圭吾氏(左)とシャオミ東アジア担当ゼネラルマネージャーのスティーブン・ワン氏(右)

 なお、各機種の仕様など詳細は、「Redmi 9T」と「Redmi Note 9T」それぞれの発表記事が詳しい。

破壊的な価格でリリースする「Redmi 9T」

 「SIMフリー端末でも破壊的な価格になるだろう」(スティーブン・ワン氏)の通り、1万5900円という安価で発売される「Redmi 9T」。

 同様のモデル(4GB+64GBモデル)が欧州市場では229ユーロ(約2万9000円)で発売されていることから、国内の価格は非常に安価な価格設定のように見える。

 その点をスティーブン・ワン氏に確認してみると、「欧州には付加価値税(20%)がかかるなど、各国の販路や法令などで販売価格は変わるが、シャオミ内部での価格は各国同様の値段設定」とし、「特別に日本市場向けに価格を下げたわけではない」とコメントした。

バッテリーと“側面”指紋センサー

 「Redmi 9T」は、重さが198gと軽量ながら、6000mAhの大容量バッテリーを搭載している。「(近年発売の機種では)最大規模のバッテリー容量だといえる」(スティーブン・ワン氏)ことから、バッテリー容量を気にせずに普段遣いできることをアピールした。

 また、「Redmi 9T」と「Redmi Note 9T」には、指紋センサーを側面に搭載する。

 近年、割安な価格のスマートフォンでも、画面内指紋センサーを搭載する例が出てきている。今回なぜ側面に配置したのかについて、スティーブン・ワン氏は「使いやすさを重視した」とコメント。

 「バジェットモデルの位置づけである同端末は、側面に指紋センサーを搭載しているが、500ドルを超えるような端末でも側面に配置している端末がある。端末を握ると、ちょうど親指が側面のセンサーに当たるように配置することで、直感的に(センサーに)アクセスできる。また、物理的なセンサーのほうが、正確かつ迅速に認証できる」(スティーブン・ワン氏)との考えから、側面に指紋センサーを配置している。

“ソフトバンク最安の5Gスマホ”「Redmi Note 9T」

約2万円 菅野氏「戦略的な価格」

 「Redmi Note 9T」は、約6.53インチ(FHD+、2340×1080)ディスプレイを搭載した5G対応スマートフォン。国内では、ソフトバンクが“独占販売”する。価格は1万9637円(税別)で、2月下旬に発売する。

 ソフトバンクの5Gスマホでは“最安値”となり、「戦略的な価格」(ソフトバンク菅野氏)のとおり、ここから更にキャンペーンを実施するという。

両社の想いが一致

 「Redmi Note 9T」の国内販売が“ソフトバンク独占販売”となった背景には、両社の想いやタイミングが一致したことにある。

 菅野氏は、シャオミとは長らく協議を続けてきたといい、ソフトバンクとしてもシャオミの「世界でのマーケットシェアの急成長」や「アグレッシブな価格」に注目してきたという。

 今回、シャオミ側の「日本市場での認知の拡大」と、ソフトバンクの「5G端末の拡充とユーザーへの訴求強化(2020年8月のソフトバンク宮内社長の「5G祭りが始まる」という発言)」という両社の考えが一致し、タイミングよく協議できたとしている。

 ソフトバンク側の「5G端末の拡充と盛り上げ」は、「5Gエリアが拡大しつつあるこの時期に、5Gのネットワークと端末を手頃な価格でユーザーに広げたかった」(菅野氏)と、同機種の発売時期にも現れている。

販売ブランドはソフトバンク

 「Redmi Note 9T」は、ソフトバンクブランドで発売される。価格帯から「ワイモバイル」や「SoftBank on LINE」からの発売になるかと思われたが、「5Gの大容量を楽しんでもらいたい」(菅野氏)ことからまずはソフトバンクブランドで投入する。

 なお、ソフトバンクでは4G周波数を5G通信に転用する「既存周波数の転用による5Gサービス」を今後展開していく。同機種に関しては、既存周波数転用エリアでも利用できる。菅野氏によると、ソフトバンクの今後発売の機種でも基本的に対応していくとのこと。

FeliCa対応や価格帯

 「Redmi Note 9T」を国内向けに投入するにあたり、ソフトバンクからシャオミに「『おサイフケータイ』への対応」と「魅力的な価格」、「大容量バッテリー」などを要請したという。

 「Redmi Note 9T」では、シャオミ端末で初めてFeliCa機能を搭載し、おサイフケータイ機能をサポートする。スティーブン・ワン氏はユーザーからの声やソフトバンクチームから要請があったといい、菅野氏も「日本でポジショニングを築くためにも、『おサイフケータイ』と『魅力的な価格』は必要」とコメントした。

 また、「動画を見たりリモートワークで使われるため、バッテリー容量も重要」(菅野氏)として、5000mAhの大容量バッテリーを搭載している。

シャオミの今後の機種展開

 「Redmi Note 9T」では、「FeliCa機能」という日本独自の機能を搭載した。

 今後、シャオミ端末で「FeliCa機能」などの日本独自の機能は搭載されていくのかとスティーブン・ワン氏に聞いたところ、「(一般論として、)日本市場向けのカスタマイズは行っていく」とコメントした。

 プロダクトマネージャーから自身のキャリアがスタートしたというスティーブン・ワン氏は、「日本ユーザーのフィードバックやジャーナリスト、SNSのコメントは参考にしている。長期的あるいは短期的な製品計画やユーザーからの声やフィードバック、協業先や販売先との協議、グローバルの端末の状況やサプライチェーンの検討など、さまざまな要素を組み合わせ、ベストなバランスとなるように協議していく」とし、今後の国内市場への製品展開を期待させた。