インタビュー

モトローラは完全分離プラン時代にどう挑むのか――ダニー・アダモポウロス社長に聞く

 30日、モトローラ・モビリティ・ジャパンがAndroidスマートフォンの「g7」シリーズ3機種を発表した。

 大手キャリアで完全分離プランの導入が進み、携帯電話の価格や購入方法が新たなステージを迎える中、モトローラはどんな戦略で挑むのか。ダニー・アダモポウロス社長とモバイルデバイス事業のプロダクト・マネージャーの島田日登美氏に聞いた。

アダモポウロス社長

――g7シリーズが発表されましたが、ここまで国内市場におけるモトローラの動向から教えていただけますか。

アダモポウロス氏
 はい、2016年から見ると、ユーザーは徐々に増えている傾向にあり、現在、当社のSIMロックフリースマートフォン市場におけるシェアは2%です。

 小さな規模かもしれませんが、国内のSIMロックフリースマートフォン市場全体は伸び悩んでいる傾向にあると思います。そうした中で、プラス成長しているわけです。

――なるほど、徐々にユーザーからの支持を増やしているわけですね。

アダモポウロス氏
 レノボ(モトローラの親会社)は堅実なビジネスをする企業です。競合他社の中には多額の投資で、多くのシェアを確保しようとチャレンジするところもあると思いますが、当社は確実で手堅く進めています。

 具体的には、たとえば商品ラインアップが挙げられます。モトローラとしては、グローバルで端末を供給しているのですが、日本向けのポートフォリオを絞っています。

――なるほど。ちょうどこれから日本市場は完全分離プランが広がると目されています。たとえば6月からはNTTドコモが新たな販売施策を進めます。その影響はどう見ていますか?

島田氏
 モトローラにとっては「端末の良さがちゃんと見えるようになる」と期待しています。“素の価格”がはっきりわかるようになり、スマートフォン1機種ごとの価値がわかりやすくなるだろうと。

――実質価格との競争ではなくなると。

アダモポウロス氏
 これまで大手キャリアでスマートフォンを購入してきた方からすると、ハイエンドの良いスマートフォンを使うことが当たり前になっていると思います。

 でも、完全分離プランで、たとえば端末価格が10万円前後のものを今後も引き続き購入されるかどうか。ある程度、その価格に抵抗感が出てくる可能性もあるのではないでしょうか。

島田氏
 今回の「g7シリーズ」は、毎日スマートフォンを使う人にとって、価格とスペックのバランスがとれた、すごく良いものだと自負しています。

――なるほど。

島田氏
 とは言っても、まだモトローラのシェアは2%に過ぎません。これからは当社の製品が良いものだと認識していただけるタイミングでもあると思っています。

 クルマで例えればスポーツカーを求める方と、ファミリーカーや、RVを求める方など、趣味嗜好にあわせて選ばれると思います。

――5Gについてはいかがでしょうか。

アダモポウロス氏
 海外では、米国でベライゾンの5Gサービス向けに端末を提供しています。

 ただ、日本市場については、SIMロックフリースマートフォンを提供する立場ですので、いつでも5Gスマートフォンを提供できるようMVNOさんの動向を注視していくということになります。

島田氏
 モトローラ自身は、過去、「世界で初めて」という取り組みとたくさん手がけてきました。ただ、たとえば今回のg7シリーズも、北米、南米でローンチし、落ち着いたところで今回、日本市場でご提供することになりました。最初のローンチではありませんが、g7は、いわば安心してご提供できる状態で提供できる格好です。

――それもまたひとつの価値になりそうですね。ではフォルダブル(折りたたみ)への取り組みはいかがでしょうか。

アダモポウロス氏
 確かにスマートフォンの大画面化にともない、ポケットなどへ入りづらくなる、ということもあって、フォルダブルは新しいアプローチのひとつではあると思います……が、モトローラとしてどうなのか、という点は、僕の口からは申し上げられません(笑)。

――なるほど、今回はありがとうございました。