インタビュー

月50GBプランに動画SNS放題をプラスしたソフトバンク

「ギガ泥棒」CM仕掛け人、ソフトバンク新井氏に聞く

 携帯電話大手のサービス競争の裏で、しのぎを削っている“影の戦場”がテレビCMだ。月2回発表されるCM好感度ランキングでは、「白戸家シリーズ」のソフトバンクと、「三太郎シリーズ」のau、「星プロシリーズ」のNTTドコモが毎回激しく競い合っている。

 そんな中、10月に話題を誘ったのがソフトバンクの「ギガ泥棒」だ。料金プラン「ウルトラギガモンスター+」をアピールするCMで、ゲストとして登場したこのキャラクターは、映画館でお馴染みの「映画泥棒(ことカメラ男)」とのコラボレーションで生まれたオリジナルキャラクターだ。

 「ギガ泥棒」という印象的なキャラクターはどのように生まれたのか、CMの仕掛け人であるソフトバンクの新井英成氏に伺った。

ソフトバンク コミュニケーション本部 コミュニケーション統括部 クリエイティブ部 部長 新井英成氏

――新料金プラン「ウルトラギガモンスター+」のCMでは、「映画泥棒」とコラボレーションした「ギガ泥棒」が登場しています。ギガ泥棒というキャラクターには、どのようなメッセージを込めているのでしょうか。

新井氏
 たとえば、友達から「動画みせて」と言われて自分のスマホを貸したら、動画をそのまま見続けちゃって、自分の“ギガ”(データ容量)を使っちゃう。また、SNSで何げなくタイムラインをスクロールしていたら、動画が自動再生されてモヤッとする。こうした体験は、スマホを使っている人なら誰しも経験があると思います。

 そうした、「知らない間に“ギガ”が消費されてモヤッとした体験」をギガ泥棒と定義しています。

 ソフトバンクの新料金プラン「ウルトラギガモンスター+」は、月間50GBという大容量のプランです。そして、「動画SNS放題」と謳っているように、動画配信やSNSといった、特にギガを消費しやすいサービスをノーカウントで、データ容量を気にせず使えるのが特徴です。

 「ギガ泥棒」を気にしないで、ストレスフリーのスマホライフを楽しんでいただきたい、という思いをこめて、ギガ泥棒というキャラクターを生み出しました。

ソフトバンク CM 白戸家ミステリートレイン「NO MORE ギガ泥棒」篇(30秒)

――「映画泥棒」といえば、映画館のマナーCMでお馴染みのキャラクターですが、どのようなきっかけがあってコラボCMを作ったのでしょうか。

新井氏
 「ウルトラギガモンスター+」の良いところを伝えるとき、さまざまなキャッチコピーを検討していました。

 その中の「ギガ泥棒を気にしなくてもいい」というコピーを生かそうと考えたときに、「映画泥棒」とコラボレーションできたらなという風に考えたのがきっかけでした。

 また、映画ファンの中には、動画サービスを積極的に利用されている方も多いのではないかと思っています。映画泥棒という映画ファンにはお馴染みのキャラクターを通して、「動画SNS放題」を知っていただければという思いもあります。

 上映館は全国21カ所と限られていますが、劇場版CMも展開していました。竹内涼真さんとギガ泥棒が出演する、特別なバージョンになっています。

Twitterでもコラボ

 そのほか、映画泥棒のTwitterで紹介いただくなど全面的なコラボレーションとなっています。

 実は、映画泥棒とCMでコラボレーションするのは、ソフトバンクが初めてです。我々としても、どういった反響があるのか、ワクワクしながら見守っています。

――現在のソフトバンクのCM「ミステリートレイン」シリーズでは、ルーペメーカーのCMとのコラボレーションなども話題を呼んでいます。今後はどういった展開になるのでしょうか。

新井氏
 「ミステリートレイン」シリーズは、1920年代の超豪華寝台列車を舞台に、旅行中の白戸家とさまざまな乗客が事件に巻き込まれるミステリー仕立てのCMです。

 このシリーズでは「ドキドキ」「ワクワク」といった感情を心がけながら作っています。今後もいろいろな方に出演していただく予定ですので、ご期待ください。

“ストレスフリー”のための「ノーカウント」

――「ウルトラギガモンスター+」は月間50GBという大容量のプランですが、それをスマートフォンで使い切るのも大変なように思えます。

新井氏
 具体的な人数はお伝えできませんが、もちろん50GBを使い切るくらいヘビーに利用される方もいらっしゃいます。

 私も日常的にYouTubeやSNSを観ることが多く、毎月35~40GBほどは消費しています。通勤での移動や、長風呂するときにYouTubeを観たり、家のテレビでもスマートフォンの動画を観られるようにしていたりと、結構活用していますね。

――「SNS動画放題」の対象サービスですが、他社との提携を発表された大手事業者が対象に入っていないなど、気になる点もあります。今後、対象事業者は追加されていくのでしょうか。

新井氏
 具体的なサービスの対応予定については、事業者間での交渉となりますので、言及できませんが、ソフトバンクとしては常に「門戸を開けている」状態です。

 ウルトラギガモンスター+の提供にあたっては、事前に総務省さんに相談した上で、特定のサービス提供者を恣意的に排除する考えがないことをご説明しています。

 もちろん、弊社の提供条件に同意いただく必要はあります。とはいえ、お問い合わせいただければ、さまざまな動画配信事業者、SNS事業者さんと組めるような体制を整えています。

――動画配信の各社も工夫を凝らして、データ消費を抑える取り組みを行っていますが、あえて「ノーカウント」という形で提供するのはなぜでしょうか。

新井氏
 昨年のプラン「ウルトラギガモンスター」でも、50GBという大容量で提供しています。そのときは「ほぼ使い放題」として紹介していました。

 そこにあえて「動画SNS放題」を追加したのは、ユーザーさんがデータ容量を消費する使い方を無意識に我慢されているように思えたからです。たとえば、「動画は家のWi-Fiで観る」という行動が当たり前に根付いている。

 ウルトラギガモンスター+では、「このプランでは気にしなくてもいいですよ、自由に使えますよ」という「ストレスフリー」を知っていただければ、という思いがあります。

――動画やSNS以外では、アプリの更新なども容量を使うように思えます。

新井氏
 ウルトラギガモンスター+には、50GBという大容量があるので、アプリの更新なども、その中でかなりカバーできると考えています。

 動画とSNSをノーカウントの対象としたのは、ギガを消費するものの中でも、特に影響が大きいからです。そして、お客様にとって身近で、気になる存在だからという理由があります。

 「ノーカウント」は我々としても実験的な取り組みです。対象サービスの拡充などは、お客様の反響を見ながら随時検討していきます。

プランも端末も「選択の幅」を重視

――政府から携帯電話料金の値下げを求める動きがある中で、大容量プランだけで対応していくのは難しいようにも思えます。

新井氏
 CMでは「ウルトラギガモンスター+」を積極的にご紹介していますが、あまりデータ容量を使わない方に適したプランとして、「ミニモンスター」という段階制のプランもご用意しています。

 ソフトバンクのお店では、お客様の使い方にあわせて、適切なプランをご案内するようにしています。今後も、お客様の選択肢を狭めず、多くの方に喜んでいただける料金体系を模索していきたいと考えています。

――毎月50GBも使わないという人でも、たとえばSNSだけは使うという人も多いかと思うのですが、小容量のプランで「動画SNS放題」を提供するのは難しいのでしょうか。

新井氏
 ソフトバンクでは、家族割や光回線とのセット割引を用意してます。特にウルトラギガモンスター+の場合、家族数人で加入していただくと、料金がガクンと下がります。「データはちょっとだけ使う」という方でも、実はウルトラギガモンスター+の方がお得になる場合が多かったりします。

――そういえば、冬春モデルでは、独占販売の「AQUOS zero」や、話題となった「Pixel 3」など、Androidスマートフォンのラインナップでも尖ったモデルを多く投入していますね。

新井氏
 料金の話とも共通するところですが、お客様の選択の幅を広げていきたいという考えがあります。ソフトバンクの製品ラインナップを見て、「選択肢がいろいろあるんだ」と思っていただければ、我々としても非常に嬉しいことです。

――ありがとうございました。

SoftBankオンラインショップ
最新モデルの情報をチェック