【MWC19 Barcelona】
uCloudlinkがクラウドSIM対応最新モデルを出展
eSIM向けサービスを展示する企業も
2019年3月1日 12:11
モバイル技術の祭典と言われるだけに、「MWC19 Barcelona」では、SIMカードに関係した出展も多い。ソフトウェアで書き換えられるSIMカードも、最近のトレンドの1つだ。iPhone XS/XS Max/XRなどが対応したGSMA標準のeSIMに加え、独自技術を採用したバーチャルSIMの技術も展示されていた。
クラウドSIMのuCloudlinkは新モデルを出展、日本発売の予定も
クラウドSIMサービスや、それを搭載した端末を手掛けるuCloudlink社も、その1社だ。同社はMWCに最新モデルの「S20i」と「GlocalMe G4」を出展した。
S20iは、クラウドSIMを内蔵したスマートフォン型の製品で、日本ではMAYA SYSTEMが販売するjetfonの後継的なモデル。ディスプレイは6.26インチで縦に長く、上部にはおなじみになったノッチ(切り欠き)も存在する。jetfonよりチップセットの性能も上がっており、Snapdragon 636を採用。背面に搭載されたカメラは、デュアルカメラになった。
uCloudlinkのクラウドSIMであるGlocalMeに対応している点は、過去のモデルと同じ。設定から直接GloalMeを呼び出すことができ、残量の確認やデータプランの購入などが可能だ。デュアルSIM対応モデルだが、クラウドSIMを利用している際は、片方が仮想的に使われた状態になる。会場の説明員によると、日本でも発売の予定があるという。MAYA SYSTEMが扱うかどうかは不明だが、jetfonのように、販売会社のブランドが使われる可能性もありそうだ。
もう1機種のGlocalMe G4は、ディスプレイを大型化したWi-Fiルーター。画面の占有率が高いため、見た目はややスマートフォン風だが、電話などの機能は搭載していない。一方で、画面サイズを生かし、翻訳アプリや旅行情報アプリなどを内蔵。シンプルなWi-Fiルーターとは違い、単体でも活用できる仕掛けが盛り込まれている。
ディスプレイは5インチで、タッチ操作にも対応。パートナーによっては、IP電話アプリをインストールすることもできるという。バッテリは3900mAhで、USB Type-C端子を備えるのも、これまでのモデルとの違いといえる。
eSIMを提供するグローバルMVNOもブースを構える
クラウドSIMはuCloudlinkの独自技術だが、GSMAが標準化したeSIMを使い、サービスを展開しているキャリアも存在する。昨年12月にNTTコミュニケーションズが買収を発表したフランスのTransatelも、MWCに商談用のブースを構えていた。同社は、コンシューマー向けのeSIMサービスとして「Ubigi」のブランドを展開しており、iPhone XSシリーズやiPhone XR、海外版のPixel 3などがこれに対応する。
もともとTransatelはパソコン向けのeSIMを提供しており、日本メーカーではVAIOがこれを利用している。iPhoneやPixelがeSIMに対応したことで、サービスをスマートフォンに拡大。国や地域に応じたプランを購入でき、主に海外での通信費を割安にすることができる。たとえば、MWCが開催されるスペインでは、3GBで9ドル(約1002円)。使い方にもよるが、ローミング1日分程度の値段で、数日間の通信を行える。
Ubigiは、サイトやアプリも日本語化されており、日本のユーザーが海外に渡航する際にも、iPhoneの最新モデルで利用できる。Transatelの事業開発部長、フィリップ・ヴィニョー氏によると、成田空港にショップを出店する計画も進んでいるという。オンラインで契約できるeSIMにリアルなショップというのも不思議に思えるが、海外渡航者がeSIMに気づくきっかにすることが目的だという。
コンシューマー向けサービスを近く立ち上げるというアメリカのtelnaも、eSIMを展示していた1社だ。ブースの説明員によると、料金プランなど、具体的なところは現在検討中だというが、すでにIoT向けなどで技術は提供済みで、ブースでは1GBぶんのデータ通信ができるeSIMのQRコードを配布していた。また、同社は報道陣など、MWC参加者を対象にeSIMの事前配布を行っていた。
日本では、IIJがeSIMのコンシューマー向けサービスを開始する予定だが、iPhoneなどの人気が高い端末がeSIMに対応したことで、世界的にも対応するキャリアやMVNOが徐々に増えていきそうだ。