みんなのケータイ

クラウドSIM対応ルーターでMWC 2018へ

【GlocalMe G3】

 他の著者陣が書いているように、毎年2月は日本のモバイル業界、なかでもメディア関係者にとっては、海外出張のシーズン。そう、毎年2月下旬にスペイン・バルセロナで開催されるMobile World Congress(MWC)を取材するからだ。

 例年、MWC出張時の通信環境については、現地でプリペイドSIMカードを調達したり、国内でモバイルWi-Fiルーターをレンタルしていたが、今年は以前から気になっていた商品を購入し、試してみることにした。その商品というのが香港のuCloudLinkというメーカーの「GlocalMe G3」というクラウドSIM対応のモバイルWi-Fiルーター。

 元々、このGlocalMeというクラウドSIM対応ルーターに注目したのは、一昨年、本コーナーに掲載された島田純氏の『世界100カ国以上で使えるモバイルルーター「GlocalMe G2」』という記事。その後、本誌でも何度となく、ニュース記事が掲載され、つい最近も同じくMWC出張で、太田百合子さんがVodafone IrelandのSIMカード共に使った話題を本コーナーの『iPhoneで海外プリペイドSIMを使いつつ、いつもの番号で待受する方法』という記事で取り上げていた。

 クラウドSIM対応ルーターと聞いても今ひとつピンと来ないかもしれないが、簡単に言ってしまえば、クラウド上にそれぞれの国と地域で利用できるSIMカードを用意しておき、渡航先に着くと、その国と地域に適したSIMカードがクラウド上から読み込まれ、モバイルWi-Fiルーターとして利用できるというもの。クラウド上のSIMカードはサービスを提供する事業者が用意するもので、自らサービスを提供するuCloudLinkでは100カ国以上で利用できるとしている。つまり、これがあれば、海外渡航の度にWi-Fiルーターをレンタルしたり、現地でSIMカード探しに奔走する必要もないわけだ。

 また、uCloudLinkからOEMを受ける形で、国内ではグローカルネットの「GLOCALNET」、先般、FREETELブランドの継承で話題となったMAYA SYSTEMの「jetfi」などが販売し、サービスを提供している。クラウドSIMという仕組みそのものは同じだが、クラウド上のSIMカードやサービス内容、料金体系は、それぞれのサービス事業者ごとに異なる。ちなみに、筆者はuCloudLinkが自ら日本のAmazon.co.jpで販売する製品を購入した。

 今回購入したGlocalMe G3は海外専用というわけではなく、日本の技術適合証明を受けており、国内でも問題なく利用できる。実は、日本のSIMカードを本体に挿して、クラウドSIMと切り替えながら利用することも可能だが、その話はまた別の機会に……。

 GlocalMe G3を利用できるようにするには、まず、GlocalMeのアカウントを作成し、スマートフォンにアプリをインストールする。続いて、作成したアカウントと自分が利用するGlocalMe端末を紐付ければ、ほぼ準備完了。実際に利用するときは、自分が使いたい国と地域のパッケージを購入するが、出荷時には1GB+100MBのInitial Package(対象国すべてで利用可能)が付属しているので、当初はこれを使う形でも構わない。

 筆者はMWCの取材中、「1GB data package for Spain」(7ユーロ/30日間)を2回、購入し、帰りのフランクフルト立ち寄り時に「1GB data package for Germany」(7ユーロ/30日間)を購入した。代金の支払いはPayPalやALIPAY、WeChat Pay、UNIONPAYなどが利用できるが、日本のユーザーが利用するのはPayPalだろう。ちなみに、支払いはその都度、支払うこともできるが、アカウントに一定額(ユーロ)をあらかじめチャージしておくこともできる。たとえば、円高ユーロ安のときにチャージしておき、渡航先ではチャージした金額からパッケージを購入するという使い方も可能だ。

GlocalMe G3(左)はスマートフォン(AQUOS R SH-03J)にアプリを入れて、セットアップ
当然のことながら、スマートフォンだけでなく、パソコンからの接続も可能

 実際の使い方としては、渡航先に到着し、GlocalMe G3の電源を入れ、Wi-Fiで接続するだけ。購入したパッケージを切り替えるときはスマートフォンのアプリから操作する。今回は主に国内契約のスマートフォンなどをGlocalMe G3経由で使い、必要に応じて、PCなども接続した。GlocalMe G3は5350mAhのバッテリーを内蔵し、モバイルバッテリーとしての機能も備えているので、USBポートにケーブルを接続すれば、スマートフォンなどを充電することも可能だ。渡航先に到着後、電源を入れてからクラウドSIMの情報が読み込まれ、使えるようになるまで数十秒から1分ほどかかるが、実際のパフォーマンスはほぼ申し分なく、大容量バッテリーの効果もあって、丸一日、何の問題もなく、持ち歩きながら利用することができた。

 スペインとドイツではGlocalMe G3だけで過ごしたのかというと、そうでもなく、今回は現地で購入したVodafoneスペインの10ユーロ/4.5GBのプリペイドSIMカードをSIMフリーのHUAWEI Mate 10 Proに挿して利用した。ちなみに、筆者はバルセロナ入りが早かったため、10ユーロで4.5GBというパッケージを入手できたが、筆者が購入した翌々日には主要な店舗でパッケージが売り切れてしまっていたそうだ。こういう人が集まるイベントの時期は、プリペイドSIMの入手も競争になってしまうわけだ。

 また、先日、本誌で『24時間で980円、ドコモ「パケットパック海外オプション」を試してみた』という記事を掲載したが、このときもGlocalMe G3を持っていき、「1GB Data package for Thailand」(5ユーロ/30日間)を購入して利用した。ただ、滞在期間が4日間と短く、とても1GBが使い切れず、最終日の段階で、500MB近く余ってしまった。結局、新聞や雑誌をダウンロードしたり、動画を見たりして、残りのデータ量を消費したが、自分の使い方を把握して、うまくパッケージを購入するのが上手な使い方と言えるのかもしれない。

複数のパッケージが利用可能なときは優先して利用するパッケージをアプリで設定できる
バンコクに出かけたときは最終日にかなり容量が余ってしまったので、離陸直前まで新聞や雑誌のデータをダウンロードして、ギリギリまで使ってみた
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