みんなのケータイ
クラウドSIM対応ルーターでMWC 2018へ
【GlocalMe G3】
2018年3月26日 06:00
他の著者陣が書いているように、毎年2月は日本のモバイル業界、なかでもメディア関係者にとっては、海外出張のシーズン。そう、毎年2月下旬にスペイン・バルセロナで開催されるMobile World Congress(MWC)を取材するからだ。
例年、MWC出張時の通信環境については、現地でプリペイドSIMカードを調達したり、国内でモバイルWi-Fiルーターをレンタルしていたが、今年は以前から気になっていた商品を購入し、試してみることにした。その商品というのが香港のuCloudLinkというメーカーの「GlocalMe G3」というクラウドSIM対応のモバイルWi-Fiルーター。
元々、このGlocalMeというクラウドSIM対応ルーターに注目したのは、一昨年、本コーナーに掲載された島田純氏の『世界100カ国以上で使えるモバイルルーター「GlocalMe G2」』という記事。その後、本誌でも何度となく、ニュース記事が掲載され、つい最近も同じくMWC出張で、太田百合子さんがVodafone IrelandのSIMカード共に使った話題を本コーナーの『iPhoneで海外プリペイドSIMを使いつつ、いつもの番号で待受する方法』という記事で取り上げていた。
クラウドSIM対応ルーターと聞いても今ひとつピンと来ないかもしれないが、簡単に言ってしまえば、クラウド上にそれぞれの国と地域で利用できるSIMカードを用意しておき、渡航先に着くと、その国と地域に適したSIMカードがクラウド上から読み込まれ、モバイルWi-Fiルーターとして利用できるというもの。クラウド上のSIMカードはサービスを提供する事業者が用意するもので、自らサービスを提供するuCloudLinkでは100カ国以上で利用できるとしている。つまり、これがあれば、海外渡航の度にWi-Fiルーターをレンタルしたり、現地でSIMカード探しに奔走する必要もないわけだ。
また、uCloudLinkからOEMを受ける形で、国内ではグローカルネットの「GLOCALNET」、先般、FREETELブランドの継承で話題となったMAYA SYSTEMの「jetfi」などが販売し、サービスを提供している。クラウドSIMという仕組みそのものは同じだが、クラウド上のSIMカードやサービス内容、料金体系は、それぞれのサービス事業者ごとに異なる。ちなみに、筆者はuCloudLinkが自ら日本のAmazon.co.jpで販売する製品を購入した。
今回購入したGlocalMe G3は海外専用というわけではなく、日本の技術適合証明を受けており、国内でも問題なく利用できる。実は、日本のSIMカードを本体に挿して、クラウドSIMと切り替えながら利用することも可能だが、その話はまた別の機会に……。
GlocalMe G3を利用できるようにするには、まず、GlocalMeのアカウントを作成し、スマートフォンにアプリをインストールする。続いて、作成したアカウントと自分が利用するGlocalMe端末を紐付ければ、ほぼ準備完了。実際に利用するときは、自分が使いたい国と地域のパッケージを購入するが、出荷時には1GB+100MBのInitial Package(対象国すべてで利用可能)が付属しているので、当初はこれを使う形でも構わない。
筆者はMWCの取材中、「1GB data package for Spain」(7ユーロ/30日間)を2回、購入し、帰りのフランクフルト立ち寄り時に「1GB data package for Germany」(7ユーロ/30日間)を購入した。代金の支払いはPayPalやALIPAY、WeChat Pay、UNIONPAYなどが利用できるが、日本のユーザーが利用するのはPayPalだろう。ちなみに、支払いはその都度、支払うこともできるが、アカウントに一定額(ユーロ)をあらかじめチャージしておくこともできる。たとえば、円高ユーロ安のときにチャージしておき、渡航先ではチャージした金額からパッケージを購入するという使い方も可能だ。
実際の使い方としては、渡航先に到着し、GlocalMe G3の電源を入れ、Wi-Fiで接続するだけ。購入したパッケージを切り替えるときはスマートフォンのアプリから操作する。今回は主に国内契約のスマートフォンなどをGlocalMe G3経由で使い、必要に応じて、PCなども接続した。GlocalMe G3は5350mAhのバッテリーを内蔵し、モバイルバッテリーとしての機能も備えているので、USBポートにケーブルを接続すれば、スマートフォンなどを充電することも可能だ。渡航先に到着後、電源を入れてからクラウドSIMの情報が読み込まれ、使えるようになるまで数十秒から1分ほどかかるが、実際のパフォーマンスはほぼ申し分なく、大容量バッテリーの効果もあって、丸一日、何の問題もなく、持ち歩きながら利用することができた。
スペインとドイツではGlocalMe G3だけで過ごしたのかというと、そうでもなく、今回は現地で購入したVodafoneスペインの10ユーロ/4.5GBのプリペイドSIMカードをSIMフリーのHUAWEI Mate 10 Proに挿して利用した。ちなみに、筆者はバルセロナ入りが早かったため、10ユーロで4.5GBというパッケージを入手できたが、筆者が購入した翌々日には主要な店舗でパッケージが売り切れてしまっていたそうだ。こういう人が集まるイベントの時期は、プリペイドSIMの入手も競争になってしまうわけだ。
また、先日、本誌で『24時間で980円、ドコモ「パケットパック海外オプション」を試してみた』という記事を掲載したが、このときもGlocalMe G3を持っていき、「1GB Data package for Thailand」(5ユーロ/30日間)を購入して利用した。ただ、滞在期間が4日間と短く、とても1GBが使い切れず、最終日の段階で、500MB近く余ってしまった。結局、新聞や雑誌をダウンロードしたり、動画を見たりして、残りのデータ量を消費したが、自分の使い方を把握して、うまくパッケージを購入するのが上手な使い方と言えるのかもしれない。