【Interop Tokyo 2018】

ソフトバンク、5G×エッジコンピューティングで挑む

岡廻氏

 通信だけ速くなっても仕方ない。データを処理するコンピューティング能力と両輪でなければ、良いサービスにならない――そう語るのは、ソフトバンクテクノロジーユニット技術戦略統括
先端技術開発本部先端技術研究部長の岡廻隆生氏だ。

 2020年頃に商用化される5Gに、ソフトバンクはどう挑むのか。幕張メッセで開催された展示会「Interop Tokyo 2018」の基調講演では、同社の見据える5Gでの取り組みが紹介された。

5Gとエッジコンピューティング

 5Gでは、高速大容量、超高信頼・低遅延、超大量接続という3つの要件が追求されている。これにより、4K/8Kサイズの映像を送ったり、自動運転や遠隔手術、大量のセンサーなどが繋がるIoTといった用途が現実になったり、さらに広がったりすると期待されている。

 だが岡廻氏は「5Gだけ速くなっても仕方がない」と説く。たとえば、大容量データを使う美麗なグラフィックのゲームアプリを、スマートフォンに楽しめるのかというと、グラフィック処理に時間がかかってしまう。また複数のカメラで捉えた高精細な映像を、離れた場所にいるユーザーがVRで楽しもうとした場合もまた同じようにカメラの映像を合成・処理することに時間がかかる。

 そうなってしまえば、いかに通信速度が5Gにより向上したとしてもユーザーはむしろ「遅い」と感じてしまう、というのが岡廻氏の主張だ。

 その解決策として、ソフトバンクが用意するのはモバイルエッジコンピューティング(MEC)。携帯電話基地局のそばに、データ処理用のコンピューターを用意し、遅延などを抑えつつ、スマートフォンなど端末側での処理を減らすという仕掛け。その仕組み自体は、他社でも取り組むことはできるものだが、ソフトバンクでは、グループ会社であるArmやNVIDIAのチップを活用していく考えで、ソフトバンクグループ全体で5Gに強みを持つという形になる。

 東京・台場には、すでに5Gの実験場である「5G×IoT STUDIO」を設置済。MECを活かしたテスト環境を用意しており、自社のみならずパートナー企業も5Gの実験を行えるようにしている。

 岡廻氏は「ソフトバンクとして期待しているのは、スマートフォンを超えていくこと。コンピュータープロセッシングをあわせて考えないと良いサービスにならない。こういう部分を含めて経験してもらいたい」とアピールしていた。