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ソフトバンクが「5G×IoT Studio」お台場ラボ開設、パートナー企業と5G活用

 ソフトバンクは、「5G×IoT Studio」のお台場ラボを開設した。パートナー企業とともに、2020年に商用化する5G(第5世代の携帯電話通信規格)を利用するさまざまなサービス、ソリューションの検証が進められる。

 東京都江東区のテレコムセンタービルに設置された“お台場ラボ”では、電波暗室内で、4.7GHz帯(100MHz幅)を用いる5G通信を通じて、映像配信やモバイルエッジコンピューティング(MEC)、各種センサーを用いたビル管理システムや河川監視システムなどのIoTソリューションを実験できる。パートナー企業は、5G向けに開発するデバイスを持ち寄ってテストすることもできる。

 他キャリアでも、パートナー企業と5Gの活用に向けた検証の場を設けているところはあるが、ソフトバンクでは今回、グループ会社のArmの技術を用いるプロセッサーや、ファンドの出資先であるNVIDIAのGPU、あるいはインテルのプロセッサと3つのアーキテクチャーをサポートするエッジコンピューティングを特徴の1つに打ち出す。エッジコンピューティングとは、ユーザーのデバイスに近い場所にサーバーを設置して、遅延を抑えて高性能なデータ処理を行う形。スマートフォンのようなデバイスでは扱いきれない高い負荷をかけるような処理を、サーバーの能力を活かしつつ、より遅延を抑えることを目指す。

 ラボ内には、複数のカメラで捉えた映像を合成し、離れた場所でVRゴーグルを使って視聴するというデモンストレーションも用意されている。スポーツイベントや、アーティストのライブなどを楽しむ新しい形態として想定されており、この映像合成処理もエッジコンピューティングを活用する。ソフトバンクのIoT事業推進本部副本部長の湧川隆次氏は「エッジコンピューティングだと低遅延で処理できる」と自信を見せる。

 ソフトバンク代表取締役副社長の今井康之氏は「すでに行政や企業から、5Gを検討したいという依頼が数多く寄せられている」と述べ、お台場ラボや、都内にいくつか設けた実証実験の場を通じて、さまざまなニーズ、アイデアの検証に役立てていくと意気込んだ。

ソフトバンクの今井副社長
湧川氏

ZTEの影響はなし

 ソフトバンクが進める5Gの実証実験にも関与する企業のうち、ZTEは、最近、米国政府から制裁を受け、その活動に大きな影響が出ている。

 ソフトバンク側のネットワーク設備にも資材を提供するZTEだが、湧川氏は「大きな影響は出ていない。5Gのトライアルテストでは、我々はいわばユーザーだが、今のところ、ZTE側から(実験の行方に関して)特に何もない」とコメント。ソフトバンク側は、ZTE製品を用いつつもメンテナンスに必要な部材は十分確保しており、通信サービスにおいても、現在のところ影響はないという。