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「5Gでもソフトバンクの強みはある」、2020年ごろ目指すその世界とは
2017年9月8日 20:31
画像認識で自動的に反応するロボットアームがエアホッケーをプレイし、4K動画をリモートで視聴、あるいは180度カメラのパノラマ映像を配信しVRなどで楽しむ――8日、ソフトバンクは、2020年頃の商用化を目指す5G(第5世代)の通信技術を使った、利用シーンのデモンストレーションを披露した。
太陽フレアの対策に目処がついたとして急遽登場した同社CTOの宮川潤一氏は「ソフトバンクは5Gの取り組みが遅れているのではと言われるが、そんなことはない。スマートフォンが成熟し、これからはより多くのデバイスが繋がる時代に向けて5Gを整備する時代。通信キャリアが端末をセットで売っていく時代ではなく、いろんな企業とのコラボが始まる。5Gに向けて本格的に取り組む様子をお伝えしたい」と意気込んだ。
5Gの良さを伝えるデモ
ソフトバンクだけではなく、国内の携帯各社は2020年ごろの5Gの商用化を目指している。現在よりも高速、大容量、低遅延、そしてIoTなど多数の端末の接続に耐えられるといった特徴を備えるという5Gは、徐々に要素技術が定まってきたところ。ソフトバンク 先端技術開発室長の涌川隆司氏は、「まず高速化、その次に低遅延や多数接続、といったロードマップで標準化が進められている」と語る。
デモンストレーションでは、電波暗室において4.7GHz帯(100MHz幅)で通信し、2.7Gbpsといった高速通信ができる様子や、4K映像の伝送、パノラマ映像の配信とインタラクティブな操作、あるいは低遅延を活かしてロボットアームがエアホッケーをする様子、エッジコンピューティングで高負荷な映像処理を行いつつ、タブレットで表示するといった利用イメージが披露された。
湧川氏は「現在のスマートフォンからすれば、ほとんどのアプリにとって5Gは不要だ。今回のデモでは、5Gの良さを伝えるために用意した」と説明。5Gの特徴的な部分のうち、たとえばTD-LTE方式の改良とされる部分については、ソフトバンクはAXGPから先駆けてTDD方式を進めており一日の長があるとアピール。
また5Gの要素技術のひとつと見込まれるMassive MIMO(これまでの数本の基地局のアンテナが数百本に増やして高速化する仕組み)をいち早くLTEで導入済であり、大容量プラン「ギガモンスター」が提供できた背景にもなったと湧川氏。
一方で、他社がフィールドでの試験を報道陣向けに公開していたり、あるいは他分野の企業と協業することを明らかにしていることと比べ、今回、電波暗室を使うなど屋内での実験に留まり、利用シーンもあくまでイメージとなったことについては「28GHz帯など屋外でのフィールド実験も進めている。他社のような見せ方をしていないところはあるが、実際のビジネスとしてIoTなどを進めていく際には、ユースケースの発掘などが重要」などと語り、競合他社と遜色ない姿勢とあらためて説明。
IoTも広義の5Gとした湧川氏は、センサーなど小型デバイスはIoT向けのLTE規格であるCat-M1などでカバーできると説明。ロボットや自動車といった処理能力がある程度求められる用途では、5Gのスペックが必要になるとの見通しを語っていた。