【Interop Tokyo 2018】

IoTや先端デバイス・サービスが集結「Interop Tokyo 2018」開幕

 千葉県の幕張メッセで、ネットワークコンピューティングの技術やサービスの展示会「Interop Tokyo 2018」(インターロップ東京 2018)が開幕した。会期は6月15日まで。本稿ではモバイル関連、特にコンシューマーユーザーにも興味深い内容についてレポートする。

「Interop Tokyo 2018」

KDDI、望遠鏡型のVRシステム「VR View Scope」を展示

 クーガーとKDDIが共同で設置している展示ブースでは、5月30日にKDDIから発表された望遠鏡型のVRシステム「VR View Scope」が展示されている。このシステムは、300円など硬貨を投入してVRコンテンツが楽しめるシステム。展望台などに設置される望遠鏡の形を踏襲することで、何かが見られる装置ということを通りかかった人に視覚で訴えるほか、VRヘッドセットをかぶるといった面倒な手順を省けるのも特徴。両脇のハンドルを掴んで動かせば、水平に270度の範囲で回転させられるほか、上下の角度も調整できる。自治体や観光業界からの問い合わせも多いとのことで、幅広い業種にアピールしていく。

クーガーとKDDIが共同で設置している展示ブース
「VR View Scope」

 ブースではほかに、VR/AR技術の推進を表明した発表会で展示されたいくつかのVR/ARコンテンツが体験できるようになっている。

クレッセント、5GとVRでスペースファイターの模擬戦

 NTTドコモの5Gオープンパートナープログラムに参加しているクレッセントは、5Gで遠隔地のユーザーを接続し、VRで同一空間に集まってアバターでコミュニケーションをとったり、宇宙戦闘機の教習と模擬戦を行ったりするというVRコンテンツを展示している。

KCCS、Sigfoxの幅広い展開をアピール

 京セラコミュニケーションシステム(KCCS)は、日本国内では同社がネットワークを構築して展開するSigfoxについて、最新の状況や、パートナー各社が開発したさまざまなSigfox対応デバイスを紹介している。基本的にはLPWAとしてのIoTデバイスが中心だが、一部はコンシューマー向けサービスが紹介されている。

 なお日本では、2020年3月までに全国がカバーされる予定で、定点観測だけでなく、移動体での活用も拡大を見込んでいる。

全国をカバーできるスポーツ自転車向け防犯システム

 ネクストスケープは、このSigfoxのブース内で、2018年10月にサービスを提供予定というスポーツ自転車の盗難防止・追跡システム「AlterLock サイクルガードサービス」を紹介している。デバイスは、フレームとボトルケージなどの間に挟み込むように、一般の工具では取り外せない形で装着する。振動を検知してアラーム音を鳴らしたり、位置情報をユーザーに送信したりでき、防犯や盗難時の位置追跡を可能にする。電源は内蔵の充電池で、最大2カ月間の駆動が可能。価格は、デバイスが8980円、サービスが月額325円を予定する(どちらも税込)。

「AlterLock サイクルガードサービス」
ルイ・ヴィトンの通信デバイス「エコー」も

 SigfoxはフランスのSigfox社が策定・推進する規格とあって、すでにグローバルでシームレスなローミングが可能になっているのも大きな特徴。これらは「Sigfox Monarch(モナーク)」として展開されているもので、Sigfoxの国際版の通信モジュールであれば、国をまたいでサービスを利用することができる。

 この「Monarch」に初めて対応したデバイスとして、ルイ・ヴィトンが提供する「エコー」を見ることもできた(常時展示ではなかった)。ルイ・ヴィトンは、旅行鞄の「ホライゾン」シリーズ(約31万円~)のオプションとして、Sigfox通信デバイスの「エコー」(4万2120円)を提供しており、各国の空港で、鞄の到着や位置情報をアプリで確認できるといったサービスを提供している。

ルイ・ヴィトン「エコー」
そのほかSigfox対応デバイスの展示

富士通、“次世代PHS”を紹介

 富士通のブースでも法人向けのソリューションやIoT関連、5G関連の取り組みが多数展示されている。この中で、“次世代PHS”として紹介されている開発中のシステムがある。

 このシステムは、現在の構内PHSを置き換えるイメージで開発されているシステムで、sXGPを採用。実態は、TD-LTEの1.9GHz帯(バンド39)を用いる“構内LTE”システムになる。中国向けやグローバルモデルでは対応例も多い、バンド39対応の端末を(技適を取得して)sXGP端末として用意し、社内ネットワークを構内LTEでも構築すれば、社内システムに対しスマートフォンの構内・公衆LTEからシームレスかつセキュアにアクセスできる環境を構築できる。富士通では、現在PHSを提供しているソフトバンクと同システムの展開で連携を図っていく構え。

ファーウェイ

 大きなブースを構えるファーウェイは、サーバーなどバックエンドの通信システムを中心に、多数製品を展示。ソフトバンクのNB-IoTネットワークのライブデモなども紹介している。

シャープ、音声対話サイネージがLINEと連携

 Interopと併催の「デジタルサイネージジャパン」では、シャープが大型の液晶ディスプレイをサイネージとして展示している。この中で、パルコとアイレットの協力により、音声対話機能とLINEのチャットボットを組み合わせたソリューションが参考出品として展示されている。

 この仕組みは、デジタルサイネージの表示でLINEのチャットボットに誘導、施設や店内でQRコードのスタンプラリーなどを実施することで、店舗側は回遊の促進や動線の分析を行えるようになるというもの。また、ユーザーのLINEアカウントに対しクーポンを提供し再訪を促すといった施策にも発展できるという。一部のパルコで試験導入される予定で、デジタルサイネージの多面的な展開を図る。