【2014 INTERNATIONAL CES】

CESで見かけたさまざまなアプローチのリストデバイス

 「2014 International CES」では、大小さまざまな企業が、形状・コンセプト・機能が異なるさまざまなウェアラブルデバイスを出展している。ここでは、会場で目に付いた製品の中から、フィットネス以外を目的とした腕時計型の“リストデバイス”をピックアップし、簡単な説明を加えて紹介する。なお、ここで紹介する製品はほぼすべて、日本国内での無線機器認証を受けていないので、日本国内で利用することはできない。また、サムスンの「GALAXY Gear」、ソニーモバイルの「SmartWatch 2」、ZTEの「BlueWatch」、カシオの「STB-1000」など、他の記事で扱っていたり、国内で発売されていたりする製品については、本稿では取り扱わない。

Toq

http://toq.qualcomm.com

Toq

 クアルコムは「Toq」を展示している。ToqはAndroidスマートフォンと連携し、通知を受けることを目的としたコンパニオン型デバイスだ。チップセットなど組み込み向け製品を手がけるクアルコムとしては珍しい、コンシューマー向けデバイスである。

 2013年12月よりアメリカで発売済みで、たとえばアメリカのAmazonでは299.99ドルで販売されている。ただしクアルコムではこのデバイスを実験的製品と位置づけ、大々的には展開せず、アメリカ以外では販売しないとしている。大々的に展開しない代わりに、電子ペーパーのカラー版のような特徴を持つMEMSディスプレイ「mirasol」や、非接触充電の「WiPower」、異種デバイス間通信技術「ALLJOYN」など、クアルコムの持つ最新技術が詰め込まれている。

 主な機能は通知だが、大きめのディスプレイを搭載しているので、受信したメッセージを読んだり、カレンダーを確認したりもできる。ボタンは搭載せず、タッチや本体の上下をトンと叩くジェスチャで操作する。通知機能にはクアルコムが開発し、現在は標準化団体が規格策定を行なっている「ALLJOYN」(現ALLSEEN)を使っており、幅広いアプリからの通知に対応しているという。

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COGITO

http://cogitowatch.com

COGITO

 「COOKOO」というスマートウォッチを手がけているCONNECTEDEVICEは、「COGITO」と「COGITO POP」という2つの新製品を展示している。こちらもスマートフォンと連携し、着信やメッセージ受信などの通知に特化したコンパニオン型に分類できる。COGITOは3月発売予定で179.95ドル、COGITO POPは近日発売予定で129.95ドルとなっている。

 COOKOOの開発の経験があり、コンセプトを通知に絞っているだけに、COGITOシリーズもデザイン・機能ともに完成度が高い印象を受けた。ANCS(Apple Notification Center Service)対応なので、iPhoneとの相性も抜群に良い。ただし、通知以外の機能は弱い。また、アナログ時計には日本製ムーブメントを使っているが、デジタル部分とは連動しないため、時計部分は手動で時刻を合わせる必要がある。

COGITOの裏面。質感もしっかりしている
COGITO POP。ポップな質感
COGITOのカラーバリエーション
COGITO POPのカラーバリエーション

Nabu

http://www.razerzone.com/nabu

Nabu

 各種ゲームデバイスを手がけるRazerは、CESに合わせてリストデバイス「Nabu」を発表した。スマートフォンとの連動を前提としたコンパニオン型だが、Nabu自体にアプリを追加でき、サードパーティの開発者にプラットフォームとして公開している。数カ月以内に開発者向けに販売が開始される予定で、その価格は49ドルと非常に安いのもポイントだ。

 CESでの展示はケース内のモックアップのみで詳細は確認できなかったが、発表されている機能や価格、コンセプトはよくできている印象を受けた。Razerはハードウェアメーカーとして多数の経験があるのも、スタートアップ企業が多いスマートウォッチ分野では心強い。Razerは日本でも製品を販売しているので、Nabuの日本展開にも期待したいところだ。

文字表示できるディスプレイだけでなく、アイコン表示用のディスプレイも搭載する
黒のカラバリを展示されていた

METAWATCH

http://www.metawatch.com

Meta Watch

 すでにいくつかのスマートウォッチを発売しているMeta Watchも新製品を展示していた。Meta Watchのスマートウォッチはスマートフォンと連携するコンパニオン型だが、独自にアプリをインストールできるのも特徴。すでに複数の製品が販売されているので、アプリもそこそこ充実しているのもポイントだ。

Kreyos

http://www.kreyos.com

METEOR

 Kreyosの「METEOR」はスマートフォンと連携するコンパニオン型ながら、比較的高機能なスマートウォッチだ。144×168ドットのメモリ液晶を搭載し、なんと日本語を含む多言語の通知表時も可能。各種センサーによるジェスチャーやボイスコントロール、アクティビティモニターといった機能もある。また、フィットネス用途の機能も充実している。リストバンドから外し、クリップやペンダントでも身につけられるが、リストウォッチとしてのデザインが洗練されていないのが残念なポイントだ。1月から出荷開始予定で、価格は169.95ドル。

Sonostar

http://sonostar.com

Sonostar

 「Sonostar」は電子ペーパーで曲面ディスプレイを採用するスマートウォッチだ。スマートフォンと連携するコンパニオン型だが、ランニングやゴルフなどのスポーツ用途も想定されている。発売時期などは未定。曲面ディスプレイはカッコイイのだが、腕に接触する内側の部分は平面で、別に装着感がよいわけではないのがツッコミたくなるポイントだ。

Omate

http://www.omate.com

Omate。側面にカメラがある

 「Omate」はクラウドファンディングサービス「Kickstarter」発のスマートウォッチだ。3Gの通信機能を内蔵し、単体でも通信を利用できるスタンドアロン型デバイスである。まだ予約受付の段階だが、下位モデルが249ドル、上位モデルが299ドルとなっている。AndroidベースのOSを搭載し通常のAndroidアプリも利用可能で、カメラも搭載するなど非常に多機能なのだが、「スマートフォンでいいのでは?」と考えてしまう。

BURG

http://burgsmartwatch.com

BURG17

 多数のスマートウォッチを販売しているBURGもCESに出展している。BURGの製品はいずれもGSMや3Gの通信機能を有しているスタンドアロン型だ。ちゃんとした画面を搭載するモデルがメインだが、中にはアナログ時計と通話用のダイヤルボタンしか搭載しない「BURG14」のようなユニークなモデルも存在する。

FiLIP

http://www.myfilip.com

FiLIP

 「FiLIP」は子どもの利用にフォーカスしたスマートウォッチだ。GSMの通信機能を搭載するスタンドアロン型になる。親子の連絡や緊急通報、位置確認に利用できる。スマートフォンとの棲み分けの難しさから、コンセプト迷子になりがちなスタンドアロン型リストデバイスの中にあって、「子ども」というコンセプトにまとまっているのは評価できる製品である。アメリカで199.99ドルで販売中で、AT&Tの回線を利用し、利用料は月額10ドルとなっている。

Pine

http://www.neptunepine.com

Pine

 neptuneの「Pine」は、2.4インチディスプレイやSnapdragon S4(1.2GHzデュアルコア)など、「Androidスマートフォンをリストマウントとセットにしました」という製品だ。なんでもできる応用範囲の広い製品だが、厚みは14.2mm、重さは60.8gもあるので、リストデバイスとして見ると疑問を感じる大きさになっている。

白根 雅彦