ケータイ用語の基礎知識

第647回:スマートウォッチ とは

腕時計型のウェアラブルコンピューター

 「スマートウォッチ」とは、腕時計と同じように、手首に装着して利用するコンピューターのことです。こうしたコンピューターはウェアラブルコンピューターとも呼ばれていますが、腕時計型は、ここ最近のガジェットのトレンドのひとつです。

 その形状通り、時計として利用できるほか、さまざまな機能を持っており、アプリを実行したり、スマートフォンなどと連携して通信したりできる、といった特徴があります。

 2014年1月、米国ラスベガスで開催された世界最大級の国際家電見本市「2014 International CES」では、これからのデバイスとして、スマートウォッチを初めとする多くのウェアラブルコンピューターが展示されました。

 また、すでにソニーモバイルの「SmartWatch2 SW2」や、韓国サムスンの「Galaxy Gear」、カシオの「Bluetooth Watch」、Pebble Watchの「Pebble」などいくつかの製品は、国内外ですでに販売されており、一般ユーザーも入手できるアイテムです。

今のスマートウォッチでできること

 アプリの利用などが特徴となるスマートウォッチですが、実際にできることを見てみましょう。たとえば、ソニーモバイルの「SmartWatch2 SW2」は、AndroidスマートフォンとBluetoothで連携して、スマートフォンの補助的な機能を持つ製品になっています。

ソニーモバイルの「SmartWatch2 SW2」

 スマートフォン側でいろいろな対応アプリをインストールすることができ、たとえば「通話処理スマートプラグイン」をインストールすると、スマートフォンに電話がかかってきた際、スマートウォッチが振動することで着信を通知し、さらに着信への応答/拒否/ミュートといった操作もできます。着信時には、かけてきた人の電話番号が表示され、もしスマートフォンの電話帳に相手の電話番号が登録されていれば名前があわせて表示されます。

 アプリをインストールすることで、「SmartWatch2 SW2」でソーシャルメディアやメール、SMSの受信についても通知できます。スマートフォンをかばんなどに入れていても、手元にある腕時計を副次的な画面として使えます。ただし、フラッシュメモリやイヤホンジャック、マイクなどはないため、楽曲再生用の端末、単体ではほとんど機能はありません。必ずスマートフォンと組み合わせて使うことがコンセプトだといっていいでしょう。

共通の「スマートウォッチ像」が固まる前の段階

 上記で紹介したソニーの「SmartWatch2」はスマートフォンとの連携が必須と言えますが、スマートウォッチ全てがそうんだとは限りません。サムスン製の「Galaxy Gear」にはマイクが内蔵されており、Galaxyシリーズと組み合わせてBluetoothヘッドセットとして機能します。

 つまり「スマートウォッチ」と1つのカテゴリーになってはいますが、現状、スマートウォッチに分類される製品の機能はさまざまです。スポーツ、フィットネスで利用することを主眼に置いた機能を多く搭載する“多機能腕時計”とも呼ぶべき製品、あるいは、スマートフォンとの連動が必須となる製品、はたまたスマートフォンと同じくAndroidを搭載する製品があります。

 いずれの製品も、新しいコンセプトをもって登場されていますが、「これぞスマートウォッチだ」と言い切れる製品は登場していません。今後もバリエーション豊かな製品が続いて登場することもあり得ますが、現在は、「スマートウォッチと言えば○○だ」という共通の認識ができる前の段階だと言っていいでしょう。

大和 哲

1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)