本日の一品

激安「ケトル型タイマー」はラーメンタイマーとして使えるか?

 子供の頃からゼンマイ式のタイマー類が大好きだ。経過時間にしてもカウントダウンタイマーにしても昨今は“スマホやスマートスピーカー”さえあれば何でも全て解決してくれる味気のない時代になってしまった。

 筆者の様に少し天邪鬼だとスマホやスマートスピーカーで完璧に出来ることをギリギリ何とかそれら以外のアナログデバイスやレガシーなツールで実現したいと考えてしまう。十中八九は無理でもやってみることで新しい発見や楽しみ、価値が分かってくる。

 大人になってもキッチンタイマー系のアイテムはアナログからデジタルまでいろいろなガラクタが自宅のあちこちに転がっている。最近はテック系のライフハック好きに人気の“ポモドーロ・テクニック”がきっかけになってタイマー熱が再発してきた。

 いつもの様にAliExpressをぼんやり眺めていて今回衝動買いしたのはいかにもありそうな“ケトル型タイマー”だ。なんと買った時の価格は137円。送料の方が高くて311円だった。ここの価格はほぼ毎日変わる。ちなみにこの原稿執筆時点で見てみたら本体は142円(送料323円)と両方とも少し値上がりしていた。

 ケトル型タイマーはぱっと見、総金属のクローム仕上げかと思ってしまう程見事に周囲をケトルの表面に映してしまう。実際にはプラスティックにクローム塗装的な感じだ。注ぎ口の黒い蓋はいかにもレバーで開きそうだが動作しない。しかし見た目の忠実度は素晴らしい。

 ご存じのように昨今はキッチンタイマー系やワークアウト系、アイデア思考や企画業務などで役立つポモドーロタイマー等々多くのジャンルのタイマーが存在している。基本はストップウオッチの加算タイマーとカウントダウンタイマーと呼ばれる減算タイマーの2種類ベースだ。

 部屋をひと回りしてきて筆者宅の目につくところにあったタイマーを幾つか集めてみた。中央の大きな学習タイマーと今回ご紹介するケトル型タイマーの2個はゼンマイエネルギーのアナログレガシー系、その他の周囲のカラフルなアイテムは全て電気エネルギーによるデジタル系タイマーだ。

 ラーメンタイマーもいくつか集めているが昨今のラーメンを代表とするインスタント系食品は伝統的な3分以外に4分や5分というものも増えラーメンタイマーといえども柔軟な多用性が求められる面倒くさい時代になった。現代なら“アレクサ!5分経ったら教えて!”で一発解決だがそれでは余りにも面白くない。

 今回試しに買ったインスタント食品の“カレーうどん”は最長クラスの5分だった。実際にテストでケトル型タイマーを持ってツマミを5分以上大きく30分くらいまで回して5分まで戻して時間設定をしてスタートしてみた。

 念のために筆者のスマホのタイマーも同時起動して両者の時間差を調べてみた。途中まではケトル型タイマーの目盛とスマホタイマーのデジタル数字の関係は妥当だったが何とケトル型タイマーは目盛の赤いマーカーが0位置を指すだいぶん前にアラームが鳴り響いた。

 実際にアラームが鳴った時のタイマーの数字を見てみるとあと1分少々残っている状態だった。スマホタイマーの示している残りあと1分40秒とかなり近い値を指示している。これは明らかにケトル型タイマーのアラームの鳴る時刻が狂っている感じだ。

 単にゼンマイのほどけるエネルギーを利用したタイマーがそれほど正確だとは思っていなかったが5分程度の設定で1分40秒早くアラームが鳴るのは33%の誤差だ。茹でたまごは良いとしてもうどんの固ゆでが好きな人はそれほどいないだろう。

 急にゼンマイ式タイマーの精度にも興味を持ってしまったので以前から愛用している学習タイマーで同じように5分のカウントダウンを検証してみた。こちらの方はケトル型タイマーよりだいぶん正確で学習タイマーのアラームが鳴った時にスマホタイマーは残り24秒を指していたので誤差は約8%くらいだ。まあゼンマイとは言え許容できる誤差は10%未満だろう。

 ほとんど無意味なことだがこの際なのでデジタル系のUIをいろいろ工夫したキューブ型のタイマーもスマホタイマーと比較してみた。当たり前のことだがほぼ誤差は無し。あったとしたら人が指先でスタートボタンを押す両者のタイミング程度の差だろう。

 懲りずにもう一度ケトル型タイマーとスマホタイマーを比較測定してみたところ面白いことに気が付いた。相変わらずケトル型タイマーのアラームが鳴ってお知らせしてくれるのは設定の5分より1分34秒早い時刻だった。しかしその後もゼンマイはほどけ続け最終的に歯車のカチカチ音が停止した時にスマホタイマーが指し示していた時刻はほぼ5分後の0(ゼロ)位置だった。

 結果からわかることはゼンマイを巻いて時間設定をしてそれが完全にほどけるまでの時間はかなり正確だがアラームを鳴らすタイミングが早すぎる。速攻でケトル型タイマーをバラしてみたが残念ながら筆者の手に負える雰囲気では無かった。

 間違いなく製品の個体差はあるだろうが筆者宅に届いたケトル型タイマーをラーメンタイマーとして使うには設定時に調理の要求が3分でも5分でも+1分半くらいしてやるか、あるいは赤い逆三角形のマーカーを右側に1分半ほどずらした位置に別の色で追加加工するのかの択一だ。

 今回は同縮尺で緑色の追加の三角形マーカーを約1分半ほどの間隔で赤色マーカーの右側に貼り付けてみた。実際に複数回計測してみたところ最も正確な時は4秒差(殆どが10秒差以下)まで調整できた。

 5分や10分の計測ならほぼ誤差ゼロのデジタルタイマーを使うならもう何でもOKの世界だ。こだわりが皆無ならこの際、コンパクトな折り畳みスマホでアプリかタイマーを起動して重石の代わりにカップヌードルの蓋の上に置いてしまうのが良いかもしれない。いややっぱり筆者は手直しが不要で100%アナログなゼンマイエネルギーの専用機が欲しい。

商品発売元購入価格
ゼンマイ式 ケトル型タイマーAliExpress137円