本日の一品

新しい「USB-Aポート付きクリップタップ」はレガシーデバイスにも対応できる万能タップ

 新幹線や航空機の座席にACコンセントやUSBポートが備えられるようになってどのくらい経ったのか忘れてしまった。昔は上海行きのANAビジネスの機内にはひじ掛け下にイーサネットのポートがあったころもあったがWi-Fiの規格化、進化や安全面を考慮して昨今はほぼ全面的に無線LANが採用されている。

 新幹線内や航空機内のネットワーク系はほぼWi-Fiで統一された感があるが電源供給は今もUSBポートとACコンセントのいずれかあるいは両方の同時提供が一般的だ。これはビジネスピープルが出張で泊まる2000年以降のホテル系の室内設備の変化と同様だ。

 コロナ禍以降は自宅でのリモートワークを余儀なくされたビジネスピープルの強い要求も有り複数のACコンセントの付いたテーブルタップとUSBポートを備えた新世代のテーブルタップが登場した。中には遠隔から電源のオンオフやUSBポートのオンオフを実現できるIoT系のテーブルタップもあったがメジャーな製品にはなっていない。

 自宅やオフィス、学校でも使える便利なクリップ型テーブルタップとして登場した通称”はさめるタップ”を以前このコラムでもご紹介した。ファンシーなブリスターパックで登場した初代の”はさめるタップ”だったが機能強化された今回の新製品は極めて素っ気無いただの紙箱に変化していた。

 ひとことで言ってしまえば初代モデル(T-KF03-2325WH)である“はさめるタップ”にUSB Type-Aポートを2個追加したモデルが新モデル(ECT-3030WH)だ。なぜか両者のモデル番号に何の脈絡もないのが、過去に何度も製品企画をやっていた筆者には違和感満載だ。まあまったくイチから企画し直した別の商品なのかもしれない。

 2024年においてレガシーなUSB Type-Aポートの搭載には“なぜUSB Type-Cじゃないのか?”とか、“急速充電に対応していないのか?”などの意見があるとは思うが、とにかくType-Aポートが2個増設された新モデルが登場した。

 考え方によればType-CやPD対応、急速充電などはACコンセントに昨今のUSB ACアダプターをさすことでほとんど解決できることだ。実のところ意外と不足するのは新しいUSB ACアダプターでも搭載が少ないType-Aポートなのかもしれない。

 いずれにせよ新はさめるタップはUSB Type-Aポート2個の増設でもACコンセントの数は従来と同じ3個を維持して頑張っている。コンセントは配置と角度違いで表面に2個、指先で握るクリップ側の本体側面に1個あり合計3個だ。

 テーブルタップ機能を継承しコンセントの数を減らすことなくUSB Type-Aポートを2個増設したので普通に作ってしまうと全体サイズが大きくなってしまうのは当然のことだ。実際に初代のはさめるタップと新はさめるタップを筆者宅の宅内モバイルワークの拠点である食卓テーブルに並べてはさんで見てそのサイズの差に愕然とした。

 今回の新はさめるタップを買うかどうかはこのサイズ格差とそれによってもたらされるUSB Type-Aポート2個のコンビニエント度数のバランス評価をどう考えるかだろう。メーカー表示の商品スペックはクリップを含めた全体サイズを記述しているので数字の比較だけではなかなかサイズ感の違いは理解しづらいだろう。

 はさめる(クリップ)機能は従来同様極めて秀逸だ。独特のノンスリップシートのお陰で横滑りも皆無。クリップできる厚さは最大35mm程度らしいので一般的な家庭やオフィスではまず問題ないだろう。筆者宅では食卓が25mm厚、キッチンカウンターが30mm程度なので極めて確実にホールドしてくれている。

 上を向いたUSBポートの埃よけカバーは付けたくなる気持ちは十分理解できるが、操作性の面では意見は分かれるだろう。USBが登場した初期から使っている筆者の印象では埃で不具合が起こった経験は過去皆無だ。カバーを頻繁に取り外し取り付けをやって、なくしてしまった時の後悔が先に立ってしまい使い始めてすぐに机の引き出しにしまい込んでしまった。

 製品のスペックにもあるように、USB Type-Aの出力は5V/1A~であり2個で最大12Wとなっているので普通に充電はできるが昨今の急速充電対応の大容量バッテリースマホには不足感は否めない。別のUSB ACアダプターをコンセントにさして補完するしかないだろう。

 表面の2個のACコンセントは差し込み口であるブレードの角度が90度回転しているのでUSB ACアダプターの向きや配列を考えてさしかえることで複数のUSB ACアダプターが隣りあわせでもフィットするケースが多い。パズルのようで発見するとなかなか嬉しい。

 筆者もまだそれほど、“新はさめるタップ”を使い込んではいないが、Type-CポートやPD、急速充電の類はACコンセントにさすUSB ACアダプターを活用し、今も残るレガシーなUSB Type-Aのポートサイズや低出力を要求するレガシーなデバイスには今回増設されたUSB Type-Aポートを活用するというルールで良さそうだ。

 ちょっと乱暴だが自室からリビングダイニングのテーブルにワーキングエリアを移動する時など筆者は複数のUSB ACアダプターやケーブルを挿入したままのはさめるタップを持ち歩いている。

 デジタル系を離れれば、我が家では食卓で使う鉄板焼きのホットプレート電源としては安定の大活躍だ。テーブルタップ機能が90%でUSB給電機能はオマケだと考えた方が理解しやすい製品だ。はさめるクリップは安定した強力なグリップ力と3つのACコンセント。オマケのあったら良いなUSBポートで3000円少々の実売価格なら買いのアイテムだ。

商品発売元価格
USB-Aポート付きクリップタップ ECT-3030WHエレコム5522円
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