スタパ齋藤のApple野郎

AIが生成した「指ハートの女の子」の画像で年始挨拶がしたいッ!!!

 明けましておめとうございます!!! 今年もよろしくお願いいたします!!!

 この連載記事「スタパ齋藤のApple野郎」や別連載「スタパトロニクスMobile」は、じつは元旦前後が〆切り日となりがちである。今年は、「スタパトロニクスMobile」が1月1日、「スタパ齋藤のApple野郎」が1月2日を〆切りと設定していた。

 というのはライターとして〆切りを5日から1週間程度前倒しにしているから。編集部側で上記〆切りを指定してきたわけではなく、実際のギリギリの〆切りはもう少し後。

 なぜそうしているかと言うと、遙か昔に編集者をしていたから。ライターやイラストレーターやマンガ家に仕事を依頼するとき、俺が〆切り日を設定する立場だった。

 で、ときどき〆切りを破られる。つまり〆切り日に原稿をいただけないことがある。そんなときは、だいたい腹立たしい気持ちになる。事前に説得力のある説明が得られれば編集者として対処でき諦めもつくが、〆切りを破る人ってそういうこともしなかったりする。なので、〆切りの破られかたによっては、殺意を覚えることも。

 何しろ「約束を破られた」のだ。無断で。仕事なのに。

 そんな気持ちをイヤというほど味わったので、俺は仕事を受ける立場として〆切りを守るのだ。トラブルがあっても〆切りに間に合うように、前倒しの〆切りを設定しているのだ。

 そんなにマジメに〆切りを重視しているのは、仕事を振ってくれる編集者側にすれば上記のとおり腹が立ったり殺意がわいたりするからである。そういう気持ちにさせられた仕事相手に対しては、原稿料を上げたくならないし、次の仕事を依頼する気持ちが減退するし、チャンスがあれば縁を切りたいとさえ思うっていうか、俺は編集者時代にそう思った。〆切りをブッちぎるほど、その仕事で生活できなくなる可能性が高いと言えよう。

 なお、この話は「〆切り」を「納期」などに、「編集者」や「ライター」をべつの職業に置き換えても同じことだと思う。

 ……とか、元旦や2日に仕事をしながら思っていたら、SNSでは楽しげなお正月メッセージが飛びかっていたので、あっ俺も送ってみよう! と。

 送るなら……アレかな? 画像生成AIによる写真/イラストを送ろうと考えた。そしてある生成チャレンジを開始した。

画像生成AIに“指で作るハートマーク”を出させるチャレンジ

 女性などが笑顔で胸元に指で作ったハートマークを掲げている画像。アレを新年のメッセージで送ったらちょっとほっこりするかなあ、と。

 これまで何度か試してきたが、ほぼ壊滅状態。画像生成AIは指の生成がまだ苦手で、さらに高度な“指ハート”なんて出せないんだなぁ、と。

 ただ、ちゃんと出せないと、なんかこちらが渡したプロンプトが悪いのか? って気もして、ムキになって指ハート生成に挑戦してきたりした。

 でも出なーい! 全然出てこなーい! 画像生成AIのMidjourneyでトライしてるんスけど、↓こんなんばっかりスよ。

しばらく前にトライした指ハート。Midjourneyによる生成だが、1コもイイのがナーイ!
背景に人とかナシで指や手だけだったら? と思ってMidjourneyに生成させた結果がこれ。指ハートと人物を個別に生成させて合成したら? と思ったのだが、小指がこちらに向いている指ハート成功画像が全然出てこないのであった。

 何が悪いんだろう? いろいろプロンプトの方向性など変えてトライしたがダメで、もういいやと諦めていた。

 しかしこの指ハートの件を思い出して、わりと最近生成させてみた。すると、うまくいく事例もチラホラと。AIってこういうの急速に上達する時期があるから、そういうタイミングなのか?

去年暮れ近くになってMidjourneyに生成させたのがこれ。このちょっと前よりかなりよくなっている!
これとか、ほぼ成功! だが小指あたりが曖昧。まあコレでもいいが、顔のリアルさと指のリアルさの乖離があるような……。
これもイイんだけど、やっぱり指の描写をかなりごまかしている感じが。顔や指は人間がよーく見る部位だから、すぐニセモノって感じがしてきちゃうニャ~。
あっ! 斬新な指ハート。質感もイイ! 試しにマネしてみたら、俺の場合、このような笑顔でこの指ハートはできなかった。指がつりそう~。

 もしかして、クリスマスシーズンに指ハートを生成させようとした人が世界中で急増したとか? Midjourneyのなかの人が「最近こういうの増えてるみたいだから機械学習を強化しておこう」みたいな? まあそんな単純じゃないか。

 ちなみに、Adobe Photoshop内で使える生成塗りつぶしでも、指ハートがうまく出る確率が上がっているように思う。失敗した指ハート生成の、指ハート部分だけマトモな状態へと描き直せる確率が上がった感じ。

Midjourneyが生成した強引だけど失敗している指ハート画像。
その失敗指ハート部分をAdobe Photoshopの生成塗りつぶし(プロンプトは指ハート関連)で描きナオさせたのがこちら。モトの絵がイラスト寄りなので、手のラフなイラストっぽさも自然な感じ。
ちなみにコチラは指ハートのフリー画像素材(写真)。こういうのを生成AIの失敗指ハート画像に合成すれば……。

 上の写真を生成AIの失敗指ハート画像に合成しようと試みたが、手首や手や指が入った画像の合成って難しい。やっぱりよく見る部位だから、少しでも不自然だとすぐその違和感に気付いてしまう。顔に視線誘導するような工夫をすれば……と思ったが、顔も凝視するけど指ハートも凝視しちゃうものだと知った。

XのGrok-2による「指ハート画像生成・成功率」に驚く

 あーそういえば元TwitterことXにも生成AI機能あったんだっけ。「Grok-2」というAIモデルで無料の画像生成ができるらしい。じゃあGrok-2で指ハート生成チャレンジ! 結果、けっこー驚いてしまった。以下、XのGrok-2による指ハート画像生成(サムネイル表示)をご覧あれ。

Grok-2を初めて使ったときの生成結果。最初の1回目、Grok-2初体験なのに、いきなり75%くらい指ハート画像生成に成功している感じ! すごいなGrok-2!
プロンプトでの年齢指定などを変えて生成。これも成功率高い!
やや成功率が下がったりもする。
まったく別方向でハートをぶっ込んできたりもする。

 あー編集者時代にこういう生成できたら、イラストレーターに〆切りをブッ千切られたりせず、心穏やかに仕事できていたのかも~。原稿は自分で書くことが多かったが、イラストはさすがに……とか、あれから何十年もして思うのであった。

 ちなみに俺の場合、仕事で使うAI生成画像では、プロンプトにはあまりこだわらない。時短重視で、「この部分はこのAI、ここの修正はこっちのAIで」的に使い分けるようにしている。現在はまだ各画像生成AIに得意分野と不得意分野があるようだし。

Grok-2が生成した指ハートの女の子。頭も両肘も切れているから……。
Adobe Photoshopの拡張塗りつぶしで足りない部分を生成。

 こんな感じで自動化できる部分はAIに任せている。「女の子の肘とスカートあたりまで描かせよう」とプロンプトを工夫し直していると手間も時間もかかるからだ。

 また「女の子の顔、違うのがいい」となったら、Midjourneyを使ったり。「背景が白でスタジオ撮影のこんな顔の女の子の写真で、顔全体に均等に光が当たっているリアルな画像を……」的に指定すれば良好な生成がなされがち。Midjourneyやっぱ顔の生成うまいんスよね。

前出の指ハートの女の子の顔を変える作戦。これはMidjourneyに生成させた日本人の女の子の顔。顔に対する光の当たり方などをプロンプトに盛り込み、指ハートの女の子に少し寄せた感じ。
その顔を指ハートの女の子に合成したものがこれ。もう少し顔の色味を調節する必要があるかも。Midjourneyはよく似た顔を複数生成するのが得意な傾向があるが、さらに画像読み込み機能の「image to image」を使って顔を読み込ませると、読み込ませた顔によく似た顔を多数生成できる。顔の向きや表情もプロンプトで変化させられる。そんなよく似た顔を各種ポーズなどへ合成すれば、AI生成画像によるマンガのようなものもわりと容易に作れそうだ。

 なお、上記まで処理したとして、Grok-2画像生成が30秒くらい? それをAdobe Photoshopで拡張塗りつぶしすると、また30秒くらい? 最後にMidjourneyに顔を作らせて手動で合成すると、5分くらい? まあ10分もあればツカエるフェイク画像ができあがるんだから、凄い時代になったものだと感じる。

 てな感じで、年始の挨拶にGrok-2生成の指ハート画像サムネイルを投稿した俺であった。さて、引き続き仕事しなきゃ、みたいな?

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。