スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

写真フィルム×約170本をデジタル化した話

最初は自力でスキャンし始めたが……もう無理!!!

 最近立て続けに「写真フィルムを画像データにしたいんですが」的な相談を受けた俺。えっなんで同じタイミングで? Windows 11到来&PC買い替えで思い立った感じ? コロナ禍の断捨離関連? アナログ写真をデジタル化したい気分の人が急増中? 謎。

 かく言う俺の場合、去年だが、業者に依頼して大量の写真フィルムをデジタル化したのであった。もしかしたらご参考になるかも、ということで、今回は俺がやったフィルムのデジタル化の話をまとめてお伝えしたい。

 最初にトライしたのは、フィルムスキャナーを使ってのデジタル化。2004年頃から着手していたが、けっこう本格的なフィルムスキャナーを使って地道にフィルムをデジタル化した。

ニコンの「SUPER COOLSCAN 5000 ED」(左)と、エフ゜ソンの「マルチフォトスキャナF-3200」(右)。2004年にこれらスキャナーを購入し、フィルムなどのデジタル化を進めた。

 でもやったのは最初だけ。結局頓挫。

 理由は、まず(ネガフィルムが多いので)フィルム表面を見ただけでは何が写っているのかよくわからないこと。片っ端からスキャン……というのはフィルム量的に無理なので、とりあえず先にスキャンするフィルムを探すわけだが、探すこと自体に手間がかかる。

 それからスキャンに時間がかかること。画質を重視した設定でフィルム1枚(6コマ)をスキャンすると数分かかる。1シートに6枚入っていると、数分×6で、まあ1シートで20~30分くらいかかる感じ。

 動画や音声などのアナログデータ(テープ)類なら、再生しつつPCで読み込むだけなので、読み込みをセットしたら放置してほかのことをしていればいい。だがフィルムの場合は数分毎にセットする作業が発生するので、結局かかりっきりの作業になりがち。

 もうひとつ、画質重視でスキャンすると、「設定を変えればもっと高画質でスキャンできるのでは?」と考えてしまったり、フィルムを入念に掃除したりし始めがち。そんなコトしてるとキリがない。

 フィルムスキャナーという機材とドライバーの問題もある。そもそも一昔前のような高性能なフィルムスキャナーの新機種が市場にほとんどない。需要がナイんだと思うが、現実的には古い機材を使うしかない。一方でPC側はOSがどんどんアップデートされつつ、販売が終了したスキャナーだと最新OS対応のドライバーもなくなる。「VueScan」アプリを使えばいいのだが……。

6500機種以上の既存スキャナーに対応したスキャン用アプリ「VueScan」。有料アプリだが、こういうアプリを使えば古いスキャナーを最新OS上で使える。各OS用が存在する。

 古いスキャナーを有料アプリを買ってまでして使い、しかも時間も手間もかかって……はぁ俺ってなにやってんの? と、なんだか悲しい気分になり、そしてやっぱり頓挫。その繰り返し。

 もう無理っ!!! フィルムスキャン業者に頼んでやってもらおう。と、料金を調べたのが去年。予想よりずっと安価にできるようなので、アッサリと業者に依頼することにした。

35mmフィルム×約170本で約10万円、約1カ月で手間なくデジタル化完了

 フィルムスキャンは「節目写真館」に依頼した。カラーやモノクロのフィルム合計約170本のスキャンを最も高画質なコースで依頼し、かかった金額は約10万円。依頼してからスキャンが完了するまでに約1カ月かかった。

 ただ、これは去年の話なので、現在は料金やかかる時間などが違うかもしれない。詳しくは節目写真館のウェブサイトをご覧いただきたい。なお、基本的な利用方法はココに説明されている。また、ざっくりとした料金シミュレーションはココで行える。

節目写真館のフィルムスキャンのコース。プレミアムを選んでスキャンを依頼した。フィルムは2400dpi(3000?2000ピクセル程度/600万画素相当)でスキャンされる。
スキャンされたデータはDVDで納品された。フィルム1本毎にデータがフォルダに格納され、事前にフォルダ名を指定することもできる(フォルダ分けオプション)。
オリジナルのスキャンデータと色補正後のデータを受け取ることができる(おまかせ色補正オプション)。多くのケースで「良好な色に補正されている」と感じられたが、変色が激しい写真などだと色補正もそこそこ。
写真のサムネイルが1つの画像にまとまったインデックスプリントのような画像も付属する(インデックスデータオプション)。
カメラのデート機能により写真に日付が入っている場合、スキャン画像のEXIFデータとして日付が付加される(節目スタンプ)。日付の写り方によりデータが付加されないこともある。
日付入り写真のスキャン画像EXIFデータに、日付が付加されている。デート入り写真なら、何年何月何日に撮った写真なのかまで、業者にお任せでデジタル化できる♪

 このフィルムスキャンサービスを使った感想としては、ものすご~く満足。超絶満足。スーパー満足でありアルティメット満足と言えよう。長年の懸案が手間なく片付いた。あのフィルムの量で約10万円は安い。素晴らしい。

画質はどんな感じ?

 スキャン画質はどうだったか? 俺的独断と偏見で言えば、十分に高画質だと感じられた。ご参考のため以下に、リサイズのみのスキャン画像とそのドットバイドット画像を並べてみる。

ルアーの写真。
ルアーの写真のドットバイドット。
猫カフェの猫。
猫カフェの猫のドットバイドット。
野猫。
野猫のドットバイドット。
湖畔。
湖畔のドットバイドット。

 それぞれネガフィルムに撮影している。使ったカメラ機種はよく覚えていないが、コンパクトカメラだった。コンパクトカメラではあるが、高品位レンズを搭載した趣味性とお値段の高いカメラ。良いレンズで撮っているので、リサイズした画像はそこそこキレイだと感じられる。

 ただ、ドットバイドットのほうを見ると「こんなモンなのか」と思うかもしれない。ノイズっぽい粒状感があるし、コントラストも低めだし、解像感もいまひとつ。でもまあフィルムってこんな感じっスよね。

 そもそも厚みがありつつ平滑性が十分でないフィルム内部に、モヤッとした塊の単位で色や明るさが記録されている。なので、たとえばスキャン解像度を上げたとしても、そのモヤッとした塊がより多くのピクセルで表現されるだけで、解像感が高まったりするわけではない。デジタルカメラとは全く仕組みが異なるのだ。現在のデジタルカメラの画質を基準とした視点から、フィルムをデジタル化した後の画質を評価することには、あまり意味がないように思う。

 とか言いつつ、俺的には「まあここまでしっかりスキャンできてればOK!!!」と満足。あーようやく大量のフィルムをいつでも閲覧&利用できる状態にできた♪

「Fushimeフォト」がスゴかった

 節目写真館に写真類のスキャンを頼むと、「Fushimeフォト」というサービスが使えるようになる。スキャン写真画像がクラウド上に置かれて、スマートフォンなどで閲覧できるというサービスだ。

 当初は「いや、そういうのは自分のスタイルでやりますし」とか思っていた。のだが、Fushimeフォトを使ってみたら「もう(閲覧するのは)これだけでいいのかも」と思うようになった。

節目写真館にスキャンサービスを依頼すると、スキャン完了後にFushimeフォトというサービスが使えるようになる(無料)。スキャンした写真はDVDで納品されるほか、このFushimeフォトでも閲覧できる(ただしDVD上のデータと同じ品質・内容ではない)。FushimeフォトはPCやスマートフォンなどのWebブラウザから利用可能。フォルダ分けオプションを使った場合、そのフォルダがFushimeフォトでも適用される。
フォルダを開くと個々の写真が現れる。一般的なクラウド写真サービスと似た感覚で使える。
クラウド上で写真の自動色補正を行ったり、あるいはモノクロ写真へ自動着色も行える。
元の写真。フィルムが少し変色してしまっていたようだ。
自動色補正後の写真。なかなかイイ!!!
元の写真はモノクロだった。
自動着色結果。これもなかなかイイ!!! AIによる処理?

 こんな調子で、写真の閲覧から色補正などまでイロイロできるFushimeフォト。写真のダウンロードもできるし、TwitterやFacebookやLineへの共有も行える。ほかにも様々な機能がある。Fushimeフォトを使っていると、「とりあえずFushimeフォトだけで済むなあ」と思ってしまう俺なのであった。

見られるようになったけど、やっぱり整理はタイヘン

 節目写真館に写真フィルムのスキャンを依頼したら、サクッとスキャンが完了した上に、クラウドでの写真閲覧~利用までできるようになっちゃった。とりあえず非常にスッキリ♪

 なのだが、しかし、まだ「写真が最適化された」というわけではない。なかには不要な写真があるし、EXIFデータとして日付が入っていない写真も多い。ブレブレ写真などの要らない写真を削除し、できるだけEXIFデータを付加し、ちゃんと整理してゆきたいッ!!!

 とは思うものの、そんなふうに整理を進めるのが一苦労。第一に「この写真いつ撮ったんだろう?」と撮影日を探るのがなかなかタイヘン。それ以前に「この写真は要らない、この写真は保存」といった仕分けもタイヘン。何しろフィルム170本分の写真だし。

 でもまあ、スキャンする以前は、フィルム上に何が写っているのか見るのもタイヘンであった。それがPCやスマートデバイスで見られるようになっただけで、大きな前進と言えよう。

 てな感じなので、「この写真フィルム、どうしよう?」とフィルムの束の前で困っているなら、スキャン業者の利用を一度考えてみるといいかも。スッキリするし、過去の写真を手軽に見られるようになるという楽しみも増えるし。

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。