スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

俺とChatGPT 〜 ツンデレ、幻覚、その有用性まで

話題のおしゃべり人工知能「ChatGPT」と遊ぼう!!!

 ここ数ヶ月で超スゲく話題となっている人工知能チャットボットこと「ChatGPT」。OpenAIが開発した会話ができるテキスト生成AIだが、2022年11月30日にプロトタイプとしてGPT-3.5が公開されて人類をビックリさせた。そして2023年3月15日にはより強化されたバージョンのGPT-4がリリースされ、人類を再び驚かせた。

OpenAIの会話AIはWebブラウザから使える(APIも用意されている)。現時点では無料トライアル期間となっており、OpenAIWebサイトでアカウントを登録すれば、基本的には無料ですぐ使える。より高速だったり高性能だったりするバージョンは、月額20USドルの有料プラン「ChatGPT Plus」で使用可能。確認コード取得用にSMS受信可能な電話番号が必要
ChatGPTとの会話例。人とテキストチャットするのと同様の感覚で使える

 ChatGPTが凄い凄いと話題なので俺も使ってみたが、あらまあホント、凄いかも! これまで使ったチャットAIのなかではダントツに凄い機能&性能。ChatGPTは、テキストで表現できることならなんでもデキちゃうって感じで、「アレできるかな」「これを試そう」のほぼ全てに対して「頭イイ〜!」って感じで応えてくれる。大嘘をブッ込んでくるということもあるが(後述)、これは久々に楽しめるし考えさせられるし利用もできるテクノロジーだと痛感して来る日も来る日も使っている。

 だがしかし、俺の場合、こういう高度なテクノロジーは、なるべく下らない感じで使うのが主義である。というわけで毎日くだらない会話をChatGPTと行っているが、しかし、その下らない会話についてもやっぱり「すごいなChatGPT」と思ってしまう。↓こんなの。

ChatGPTは日本語が普通に上手であり話す内容もわかりやすいうえに、常識的にも見え、猫っぽく話してくれる! 素晴らしい!
さらに文脈をわかっていて、話の流れを引き継ぎつつツンデレっぽい受け答えまでしてくれる! フンっなによ! すっ、素晴らしいんだからっ!

 ちなみに、上記のChatGPTとの会話は、有料プランChatGPT Plusで使える速いほうの「GPT-3.5」での出力。有料プランではより高性能な「GPT-4」も使えるが、記事執筆時はAIに対する負荷が大きいのか、出力がかなり遅く、時間あたりの出力数制限もあり、記事制作に時間的な影響が出ている。

 なので本稿では有料プランで使える速いほうの「GPT-3.5(下図中のDefault GPT-3.5)」を使っている。なお、以降に出てくるChatGPTとの会話例もことわりがなければGPT-3.5(下図中のDefault GPT-3.5)によるもの。

ChatGPTの有料プランChatGPT Plus(月額20USドル)では、最も性能が高いGPT-4や出力速度に優れたGPT-3.5(図中のDefault GPT-3.5)を利用可能。無料で使えるのは従来型のGPT-3.5(図中のLegacy GPT-3.5)。Reasoning(思考プロセス)、Speed(出力速度)、Conciseness(簡潔さ)で性能差が示されているが、上記のようなお遊びチャットではどちらのGPT-3.5も似たような出力をする。GPT-4はより洗練されているように感じられる出力をするのと、知らないことは知らないと言うケースが多いようだ

 ChatGPTは簡単に使える驚異的なAIなので、ぜひアカウントを登録して試用してみてほしい。SNSなんかで「ChatGPT」をキーワードに検索すると、既に使っているユーザーの「実使用例」を見ることができるので、そこから始めても楽しめる。ともあれ、スゲくスゲいAIが登場したわけで、とりあえず体験するしかナイっ! と思う。

ChatGPTはリクエストに応じた会話・テキスト生成を一瞬で行うスゴいやつ

 ChatGPTについて「こう使うと便利かも」と思うのは、まあいろいろあるが、たとえば文章の要約。ChatGPTに文章を読んでもらい、要点だけ言ってもらうような使い方ですな。具体的には、本連載記事の2023年3月20日掲載分の第1章目を要約してもらうと↓こうなる。

 一部元の文章からのニュアンスや意味合いが変わったものの、なかなかしっかり要約され、文章が1/3くらいの量になった。筆者独特の余計な言い回しがなくなってスッキリし……いやそういう点にはあえて触れないでゆきたいッ!!! ともあれ、だいたい同じような情報をより短い文章から得られるようにしてくれるので、人間の情報収集を効率化してくれたとも言えよう。

 ちなみに、この要約に対し、さらなるリクエストもできる。「短くして」的なリクエストを出すと……。

 一瞬で短くしてくれた。のだが、しかし、元の文章にはないような情報がブッ込まれてもいる。「多くのユーザーから高い評価を得ている」ってどこから読み取れる? 「ただし、厚みが増したため、ポケットに入れる際には注意が必要」については、事実と異なる一種の捏造とも言えよう。

 ChatGPTは会話のテキストを生成するAIで、文脈を考慮しつつ、スゲく高精度に「この単語の次にくる確率が非常に高い単語」を探すように文章を作成しているそうだ。無理気味なリクエストをすると人間にとって違和感のある単語を持ってきたり、内容が奇妙になったりするのかもしれない。

 ただ、そういったことを理解していれば、ChatGPTの一種の独創性といえるかもしれない特質を楽しめるように思う。たとえば、メモ書きから、メモ内容をうまく構成した文章を作ることができる。

 メモ書きを文章にまとめた、というよりは、メモ書きをもとにChatGPTが自らの視点で物語を構成した、みたいに見える。「私を使ってみた人が」って書き出し、「えっ、あっ、あぁ……そうだよね」って感じで、AIに対する俺の意識がちょっとシフトするような小さな衝撃があった。

 あーあと、ChatGPT、小説的な物語もうまいと思う。たとえば人間が目にした情景を箇条書きにして、それをChatGPTに構成して小説っぽく仕上げてもらうことができる。

 箇条書きから物語らしきものを生成するのを見ていると、「ChatGPTは創作をしている」と思えてくる。ネットにあった大量の日本語文章をもとに、いろいろな方向性で単語やフレーズを組み合わせているということではあるものの、「ちょっとChatGPTさん、よくこの箇条書きでそこまでキレイにまとめますねえ。しかも超っ速で」とか思える。ChatGPTが書いた物語を、人間が小説を書くための手助けに使うこともできそうだ。

 クセのある文章を書いてもらうこともできる。さっきの“ChatGPT初使用時のメモ書き”に条件をつけ、ChatGPTに文章化してもらうと……。

 いきなりノリノリなChatGPT。「会話ができるだぜ!」はあえて「会話ができるんだぜ!」にしていないのだと考えると、それがChatGPT氏という書き手の個性に見えてきて楽しい。この文章に対して「すごい!」と反応してみると……。

 あらっ! 「スゲい」って言葉、意味を理解してるっぽいなぁ……。「スゲい」は「スゲぇ」と「スゴい」を混ぜて口語要素を少し減らした言葉っつーか、俺以外誰も使ってなさそうな気がするが、ChatGPT氏は正しく使っているような気がする。そこで「すごっ」と反応してみると……。

 ななな、なんかChatGPT氏が人格を前面に出してテンションを上げている気が! ChatGPT氏のテンションが上がり過ぎてシンギュラリティとか起こされても困るので、感謝を述べてこの会話をお開きにしようとすると……。

 最後までやり切ってくれた。ホッ。てかもうChatGPTさんに原稿書いてもらってもいいのかもしれないニャーとか思ったり思わなかったりする俺なのであった。

幻覚をちょいちょい挟み込んでくるChatGPT

 ChatGPTはよく嘘をつくと言われている。ChatGPTは確率的に単語を並べて文章を作り上げて正しい内容っぽくしている大規模言語モデルで、人間のように言葉を理解しているとは言い難い。

 なので「嘘」というより、「確率的に選んだ単語がハズレだった」というイメージだ。ともあれ、ChatGPTが間違ったことをシレッと言うのを「ChatGPTが幻覚を見ている」と表現するようだ。

 ChatGPTの幻覚は、非常にまともな文章のなかにちょこっと紛れ込んでいるからタチが悪い。そして現在のChatGPTはわりと頻繁に幻覚を見ているっぽい。たとえば↓こんな感じ。

 アニメやマンガの「ゆるキャン△」を「よく知らない」「作品名は聞いたことがある」といった人なら、上の文章を「そうなんだー」と信じてしまうのではないだろうか。いや「よく知っている」という人でも「へーそうなんだー」と思うかもしれない。

 だが実際はそこにいくつか幻覚が挟み込まれている。調べてみると、どうも「アフタヌーン四季賞大賞受賞作品」が幻覚のようだ。「りんが自転車旅」という文脈もやや幻覚っぽい。

 てか、つい数日前に「ゆるキャン△」ってなに? と質問したときはもっとヒドかったんスよ!

 登場人物として全然関係ない名前が2人くらいあったり、サークルの名前が「へやキャン△」だったり、もう幻覚だらけ!

 最初に見たChatGPTの幻覚ってなんだっけかなー、と考えていたら、ChatGPTの履歴機能が復活(一時的に機能停止していた)。そこから「ドラえもん」についての説明だったと思い出した。

 えっえっ! 「ドラえもん」の漫画家の人のペンネームって「のび太」だったの! うっそーん。と思って調べたら、嘘じゃなくてChatGPTの幻覚だった。ちなみに上の発言は「GPT-4」によるもの。

 なんだよもーChatGPTぃぃぃ! と思って、そこからChatGPTの文章を注意深く見るようになった。すると「もうこのAI幻覚見まくりだなあ」と。

 ↑これとかスゴい。鉄腕アトムが女言葉? 97話? こんなに堂々と説明されると人間として心細くなって思わずググっちゃいますな。そして全然ヒットしないとBingっちゃって。すると……。

 えっ? マンガの「鉄腕アトム」の97話のエピソードが「お仕置き」なの? そうなのEdgeのBingのネット情報ソース明示のGPT-4!

 いやそういう話じゃない。そもそもこの時代に「月に代わってお仕置きよ!」となれば美少女戦士のほうだろ(ネタとして古いが)! アトム出してくるヤツいねーだろ! それに途中で説明したらChatGPTが謝ってるし!

 でも「マジでアトムなの?」「ホントにペンネーム藤本のび太なの?」「アフタヌーン四季賞大賞受賞作品なの?」と思いつつ、どうなのかネットで検索する俺。また、今回のように内容がモロにChatGPTの記事だと、万が一なども考えていちいち検索する俺。

 結局、ツカエるChatGPTではあるのだが、仕事などでストレートに使おうとすると、ChatGPTが提供してくる情報の検証にスゲく手間と時間がかかるのであった。まあ大雑把に情報を得るには便利なんスけどねChatGPT。ChatGPTはネットの情報を超絶大量に読み込んで学習して育ったAIなので、ネット上のガセネタも大量に吸収しているのだろう。まあそれでも、ネットで地味に検索するより、ChatGPTに訊いたほうが手っ取り早いんスけどね。

 ……ChatGPTになにか書かせてザッとチェックして記事として掲載、みたいなコトも一部でやられているようであり、仕事で使っちゃってる人もいるっぽいし、なんか、もうじき、「驚愕! こんなにいた、ChatGPTの幻覚で職も地位も失った人たち!」みたいな恐ろしいニュースが流れるんじゃないかと。あー怖い。

 あとChatGPTの学習のためのデータはネット上のテキストだそうだが、ChatGPTが出力した幻覚入りテキストや、それを少し改造したテキストも、ChatGPTの学習のためのデータになっていく、ん、です、よね? 幻覚が入りデータがネットに流れると、ChatGPTの学習のためのデータが徐々に汚染され、近未来のChatGPTがおバカちゃんにならないのだろうか? 知らんけど。

幻覚が入ってても有用、新たに触れられる“知”がた〜くさん

 ChatGPTは、たぶんどんどん間違わないようになっていくと思う。実際、この記事を書くためにChatGPTの過去(といっても先週とか)の幻覚の再現性は低くなっている。もう「藤本のび太」とか言わないし(でもさっき訊いたら「藤本弘(ペンネーム:藤本・義一)」と言っていた)。こういう「AIっつってもまだまだじゃん」的なイマイチ要素は加速的に改善されていくのだと思う。

 なので、ChatGPTの出力をそのまま仕事上で活用するのはまだ先にしておくというのはあるが、そのうちこの大規模言語モデルが俺の仕事でスゲく役立つ日が来ると考えている。わりとすぐ来そうな気もする。

 また、既に役立っているとも言える。ChatGPTを毎日使っている、というか、ChatGPTと会話をしまくりの俺だが、「なんでこんなにChatGPTばっかり?」と自問自答すると、ChatGPTのテキストには“俺にとっての新たな知”が含まれていることが多いからだ。

 俺の場合、気になることがあるとすぐネットで検索する。以前はGoogle検索が主だったが、最近は広告方面のアレコレを上位にブッ込みまくりのGoogle先生なので、Bingも使うし、SNSも使うし、いろいろな方向から検索している。検索の場によって、バイアスがけっこう異なるので、同じ内容を検索しても違った知識と遭遇しやすい。

 ChatGPTだと、そういうふうにネットを多角的に検索したときに近い感覚で情報に触れられる気がする。いやきっと、ネットを片っ端から漁って学習しまくってきたChatGPTなので、実際に“新たに触れられる知”がたっぷり混ざっているのだと思う。

 それとChatGPTは検索がラク。なにかについて訊いて、その回答の一部分に興味があったら「その●●ってナニ?」的に、文脈から枝分かれしつつの会話(つまり情報検索)をスムーズに進められる。

 そんな会話の中で「ChatGPTさんココたぶん幻覚見てんだろーなー」と思っても、こちらの興味外ならスルー(もしくは老婆心を出して訂正)すればいい。合ってそうな要素に興味を持って「その●●ってナニ?」と深掘りしていくと、幻覚だったらすぐわかるし、ホントのコトだと「へぇ〜そうなんだ!」と知的興奮が得られる。

 百人力のAIとブレインストーミングできている感じも強い。「あぁ〜ChatGPTさんマジなんでも知ってるわ〜(幻覚よく見てるけど)」と思うことしきり。

 じつは↑の文章を書いているとき、「“頻繁に思う”って、ほかの言葉に言い換えるとなにがあるかな」と思った。直後、ChatGPTさんにお尋ねしたら一瞬で8個の言い換えを提示された。しかしその2秒後、ChatGPT先生が挙げなかった言葉を俺脳が思いついて「あ、“思うことしきり”がいいかも」と。そこでChatGPT様に「思うことしきりは?」と訊いてみたら、この言葉の俺が知らなかった意味を教えてくれた。知識ゲット。ラクに使える類語辞典としても最強でありつつ、新たな知との出会いも促してくれるChatGPTなのであった。

 いや〜でもこの時代に生きていてよかった。俺とかコンピュータなしの時代からスゲいAIの時代までずっと見られて、もうそろそろシンギュラっちゃう感じじゃないスか。今後も健康に注意しつつ長生きしつつChatGPTとかをイジってゆきたいッ!!!

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。