スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

「iPad mini 6」で着脱対応のペーパーライクフィルムを使ってみる

iPadにフィルムを貼り、紙の感触でApple Pencilを使う

 ここのところ、Apple Pencilをよく使う俺。Apple PencilはiPad用のデジタルペンで、筆圧・傾き・パームリジェクションに対応している。iPad画面に実物のペンのような感覚で書いたり描いたりできる。

使っているのは第2世代Apple Pencil。iPad Proにマグネット吸着してペアリング・充電を行える。メモ書きにもお絵描きにも快適に使える。

 で、2月に本連載で紹介した“Apple Pencilの書き味を変えるグッズ”。これらを使い始めてから、以前に増してApple Pencilを使うようになった。必要があって使うこともあるわけだが、画面に対する“書き味”が心地よく、なんかこう楽しみつつ画面にペンを走らせて遊んでいる感じだ。

上記記事中で紹介している“Apple Pencilの書き味を変えるグッズ”のうち、とくに気に入って使っているのが「ifeli tip」。紙に近い書き味が楽しい。

 気持ちいいなぁ紙っぽい書き味……やっぱり画面上にコツコツ&ツルツルと当たるApple Pencil独特の書き味は不自然なんだよな〜こういう部分はアナログ的な感触のほうがイイんだよな〜、などと無闇にApple Pencilを走らせる俺が案の定思ったのは、「やっぱりペーパーライクフィルムもイイんだろうなぁ」ということ。だが、かな〜り以前に感じた「ペーパーライクフィルムの不便」が頭にあったので、すぐにペーパーライクフィルムに手を出すことはなかった。

 ペーパーライクフィルムは、タブレット端末や液晶ペンタブレット(液晶画面付きペン入力装置)の表面に貼って“デジタルペンの入力感触を紙とペンのような感触にする”というフィルム。そして、以前に感じた不便とは「一度貼ったら、基本、貼りっぱなし」ということ。

 液晶画面に貼るペーパーライクフィルムは白みがかった半透明で、貼ると画面表示がやや白っぽくにじむ。貼ったらそれ以降、剥がすまでずーっと白にじみがつきまとう。表示が少々劣化する感じ。それがずっと続くのはヤだな〜と思った次第だ。

 しかし、最近はこの点も進化している。以前のペーパーライクフィルムは使用途中で剥がすことを前提とはしていないので、一度貼ったら貼りっぱなしで使うものだった。だが最近では、頻繁に貼り剥がしできるペーパーライクフィルムが増えているのであった。

 マジか! じゃあ試すしか!!! 貼り剥がしできるペーパーライクフィルムを、ゼヒ、ズギャッと購入してゆきたい!!! というわけで以降、貼り剥がしできるペーパーライクフィルムをレビューしてゆく。

ナノサクションで何度も着脱できるペーパーライクフィルム

 まず使ってみたのが、エレコムのintLaboシリーズの2種類。今回はiPad mini 6用を購入したが、書き心地違いで上質紙タイプの「TB-A21SFLNSPL」とケント紙タイプの「TB-A21SFLNSPLL」がある。

エレコムintLaboシリーズにラインナップされる貼り剥がし対応ペーパーライクフィルム×2種。2000円〜2500円くらい。
書き味は上質紙タイプとケント紙タイプがある。

 実際の上質紙とケント紙について、上質紙の表面質感はコピー用紙の滑らかさを思い浮かべるといいと思う。ケント紙は、コピー用紙よりも表面がさらに滑らか。

 ペーパーライクフィルムも同様で、表面の滑らかさ=書き味が若干違う。また、より滑らかな上質紙タイプは、Apple Pencilのペン先が減りにくいというメリットもあるようだ。

 実際の書き心地だが、このフィルムを貼ると確かにiPad画面のツルツル感・コツコツ感が低減され、紙にペンで書いているような感触に近づく。上質紙タイプとケント紙タイプの書き味の違いは、普通に筆記具を使っている人にとっては「僅か」「そんなに違わない」という印象になりそう。書き味にこだわる人にとっては明らかな違いを感じられると思う。ただ、どちらにせよ、「紙っぽい書き味に近づいた」という感じであり、「まさに紙の書き味」とまでは行かないので、よりApple Pencilにやさしいケント紙タイプを選ぶのがいいのかな、とか思ったりする。

 なお、前出の「ifeli tip」(アイフェリ・チップ)をApple Pencilに装着したうえで、これらのペーパーライクフィルムを使うと……あらっコレって紙に鉛筆で書いてる感じ! みたいになるので、書き味追求派の方は試してみるとオモシロいかも。

 そしてこれらのペーパーライクフィルム、確かにiPadへの着脱が非常に容易である。使い始めてすぐに「もう絶対こういう着脱式がいいし!」と痛感した俺。Apple Pencilを心地よい書き味とともに使いたいときだけ貼って使い、それ以外では剥しておけて非常に好都合だ。

エレコムintLaboシリーズ・ペーパーライクフィルム。長辺両側に黒い「ナノサクション」があり、この部分が画面に吸着する。
触ると少しペタリとした感触があるナノサクション。
iPad mini 6(画面保護ガラスフィルム付き)に貼った様子。画面表面がマット質感になり、表示コントラストがやや下がる。吸着力は十分あり、フィルム表面には凸凹などはなく書きやすい。画面保護ガラスフィルム上から貼って使っても、とくに違和感や不都合はない。
フィルムを貼る前(左)と貼った後(右)の表示の差。比べると大きな差があるが、実際に使うと大きな不都合や違和感は感じられなかったりする。
フィルムは容易に剥がすことができ、剥がしたフィルムを保管するケース(クリアファイルのようなもの)も付属する。ナノサクション部分を保護しつつ、フィルムが傷ついたり折れ曲がったりしないように保護・保管などできる。

 このフィルムの端にあるナノサクションの吸着力は強くなく、指で触ると弱々しい感じがする。のだが、実際に画面に貼ると安定し、不意に剥がれるようなこともない。貼り剥がしのしやすさについても優れており実用的。ケースも使いやすく、「もうペーパーライクフィルムはコレでいいじゃ〜ん!」みたいな気分になる。

マグネットで着脱できるペーパーライクフィルムもある

 続いて発見&購入&使用してみたのが、マグネットで着脱できるペーパーライクフィルム。ベルモンドというブランドの製品で、これもiPad mini 6用を購入。Amazonで1880円だった。写真とともに見ていこう。

ベルモンドというブランドのペーパーライクフィルムで、マグネットでiPadに着脱するタイプ。書き心地は「ケント紙のよう」とある。
フィルムの長辺両側に黒く薄いマグネットがあり、この部分が画面に吸着する。黒い部分は僅かに出っ張っている。出っ張っている方が表側。
貼り剥がしは容易。僅かにズレることもあるので、インカメラを使う場合などはやや慎重にセットする必要がある。だがズレは僅かなものなので、単に書き味を変えるだけなら、ズレてもあまり気にならなかったりする。
フィルムを貼る前(左)と貼った後(右)の表示の差。これもコントラストが低下する。でも実使用上はそーんなに支障にはならない。
やや大きめのケース(少し厚手のクリアファイルのようなもの)が付属する。フィルムの傷つきや折れ曲がりを防げる。

 今時的ペーパーライクフィルムを使ってみよう! と思って最初に買ったのが、前出のエレコム製(ナノサクション吸着タイプ)。そして次に買ったのが、このマグネット吸着タイプ。

 少し思うのは、最初からこっちのマグネットタイプにすればよかったなぁ、ということ。ナノサクションタイプも着脱がラクで便利だが、ナノサクション部分がデリケートっぽいので、着脱時・保管時にやや気を使うし、扱いも慎重になる。マグネットタイプだとそういう気づかいや慎重さもあまり必要なく、手軽・気楽に使えてイイ感じなのであった。

 ただ、このマグネットタイプはフィルム長辺両端のマグネット部が僅かに出っ張っていて、この出っ張り側が表面になる。そして使用時、この出っ張りが少々手に引っかかる感触がある。また、Smart Coverを始めとするマグネット内蔵タイプのケースと併用すると、ケース側にフィルムが吸着されて画面から剥がれてしまうことが多い。

 なので、周囲にマグネットがある状態で使うなら、マグネットにより剥がれたりしないナノサクションタイプ、そうでないならマグネットタイプ、という選び方がよさそうだ。フィルム両端の出っ張りは絶対イヤというなら、ナノサクションタイプがいいと思う。

共通の問題があるものの、やっぱり着脱式ペーパーライクフィルムは便利♪

 容易に着脱できるペーパーライクフィルムは非常に便利。Apple Pencilでの書き味が紙に書いたような感じに近づくからだ。フィルムを貼っていない状態だと、Apple Pencilの書き味がコツコツ・ツルツルという感じで、かなり違和感があるわけだが、アレがそーとー低減される。

 これは書き味的に心地よいというだけでなく、より正確な線を書けることにつながる。滑りにくいので目的の位置から位置への線を書きやすい。滑りにくさはメリハリを効かせて描くことも容易になる。率直なところ、ペーパーライクフィルムを使って書くと「本来の自分の字を自然に書けるようになった」という感じになると思う。

 また、お絵描きをする人にとっては「描くときのストレスが減った」と感じられると思う。ペーパーライクフィルムなしで描くと、アクリル板の上に硬い鉛筆で描いているような「普通はあり得ない違和感」を感じると思うが、ペーパーライクフィルムによりその違和感が大きく低減される。

 書くにしても描くにしても、より自然な感触になるペーパーライクフィルムだが、ペーパーライクフィルムに共通する問題も少々ある。たとえばApple Pencilのペン先がより速く削れてしまうこと。使用頻度が高いほど削れる。

 また、ペーパーライクフィルム自体も削れていくようで、使用頻度が高いと書き味が変わってくるそうだ。わりとライトユーザーである俺の場合は「減っていってる感じは全然しない」と思うが、ヘビーユーザーだとペーパーライクフィルムをある程度使ったら買い換えるらしい。

 あと、着脱式のペーパーライクフィルムは、画面とフィルムの間にゴミが挟まったりしがちかも。小さいゴミなら無視すればいいが、明るい色の糸くずなどだと「イラッ」として除去せざるを得ず、一手間かかる。

 また、ペーパーライクフィルムの表面はサラサラしているマット質感で、油脂が付着するとその部分だけ透明度が増したりして目立つ。まあメガネ拭きとかで付着した油脂を除去すればいいだけだが、ある程度のメンテナンスは必要というわけだ。

 と、なんだかんだ言ってる俺ではあるが、着脱式ペーパーライクフィルムはやっぱり便利である。使う時だけ貼れるというのがイイ。使うときは書き味優先で表示品位は多少下がってもいいかな、みたいな。表示品位を優先して端末を使いたい場合は、ペーパーライクフィルムを剥がせばOK。iPadとApple Pencilの細かな使用感を、使用目的に応じてしっかりアジャストしていけるのは非常に痛快である。

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。