スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

Apple Pencilのペン先を交換して遊ぶ俺

最近はApple Pencilの「書き味を変えるグッズ」が豊富

 俺の小さな趣味として、Apple Pencilの「書き味」を変えるということがある。使用中のApple Pencilは第2世代で、iPadのサイドにマグネット吸着して充電やペアリングを行えるものだ。このApple Pencilのペン先を交換し、書き味を変えて楽しんでいる。

使用中の第2世代Apple Pencil。iPad Proにマグネット吸着して充電やペアリングを行えるデジタルペンで、筆圧や傾きに応じて描かれる線が変化する(アプリによる)。Apple PencilはiPadでお絵描きする人の定番デジタルペンでもある
Apple Pencilのペン先は交換できる(第1 / 2世代とも)。Apple Pencilは長期間使っているとペン先が摩耗して金属部分が露出してくるが、そうなった場合は交換。ペン先をこちらに向けた状態で、ペン先を反時計回りに回せば外せる(装着時は時計回り)。ペン先(チップ)は純正品があるほか、サードパーティ品も多々売られている

 Apple Pencilのペン先は、サードパーティーからいろいろなタイプが発売されている。先が細くて筆跡が見やすいタイプとか、柔くて紙にペンで書いている感触があるものとか。純正のペン先にシリコーン的なカバーを被せて書き味を変えるというグッズもある。iPad画面表面に貼ると「Apple Pencilで書いた感じが紙と鉛筆みたいになる画面保護フィルム」もある。ペーパーライクフィルムってヤツですな。

iPad mini 6に、いわゆるペーパーライクフィルムを貼った様子。純正のApple Pencilおよびペン先で書いたり描いたりしても、紙と鉛筆を使っているような感触が得られる。純正Apple Pencilの書き味はツルツルコツコツという感触だが、それが一変するのであった

 Apple Pencil登場からけっこう時間が経過した(第1世代は2015年11月11日発売 / 第2世代2018年11月7日発売)。最初はiPad ProでしかApple Pencilが使えなかった、現在ではiPadの幅広いモデルで使えるようになった。

 そして最近では、サードパーティ品のApple Pencilペン先や、書き味を変える画面保護フィルム(ペーパーライクフィルム)の種類がかなり豊富になっている。実際にそういう製品を使うと、明らかにApple Pencilの書き味が変わり、多くのケースで「書き味が良くなった」と実感できる。そのあたりが興味深くおもしろくて、積極的にApple Pencilの書き味を変えている俺なのであった。

複数本のApple Pencilを使い分けるのは案外アリ

 現在、3本の第2世代Apple Pencilで書いたり描いたりしている俺。第2世代Apple Pencilが使えるiPadを3台(12.9インチ / 11インチ / mini 6)併用しており、端末ごとにApple Pencilを追加したので合計3本持っているのだが、最近は使い方がが変わってきた。

 本連載バックナンバーでも書いたが、最近はiPad mini 6ばかり使用中。iPad mini 6の使用頻度はますます高まり中であり、携行する機会も増えている。

 一方で、使用頻度の下がった2台のiPad用としていた2本のApple Pencilを、持て余しぎみ。高いデジタルペンなのにモッタイナーイ!

 そこで「3本のApple PencilをiPad mini 6で使うのはどうか?」と考えた。Apple Pencil×3本に、それぞれ別の書き味のペン先を装着して、用途ごとに使い分けてみようと考えた。そして即実行。

1台のiPad mini 6で3本のApple Pencilを使ってみた。用途に応じたApple Pencilを都度ペアリングさせて使い分ける感じ

 結果、イイじゃないですかぁ~1台の端末で複数のApple Pencil。スゲく実用的。

 具体的には、Apple PencilでiPadを操作する程度なら、純正ペン先を装着したApple Pencilを使う。ナゼかと言うと、Apple Pencilが純正状態だと、iPadの操作を滑らかに行えて、ペン先の摩耗も少ないから。iPad画面やガラスフィルム装着面で純正ペン先を使っていると、ペンの使用頻度が高くても1年くらいは余裕でペン先に異変が出ない。全然摩耗しない。もっと長もちするかも。

 で、描くときはペン先が柔らかいタイプを使用。より紙に描くのと近い感触で落書きができるというわけだ。また、文字を書く用途では、ペン先が細いタイプを使用することで、細かな文字もスムーズに書ける。って、まあ半分は趣味でありガジェットをよりトキメく方向で使おうぜという姿勢であり、もう半分が「ペンを使い分けると気分良く描いたり書いたり操作したりできて快適」という実用性である。

 用途に応じてApple Pencilを切り替えるの面倒じゃない? と思うかもしれない。

 でも第2世代Apple PencilとiPadのペアリングは容易で高速。使いたいApple PencilをiPadのサイドにマグネット吸着させれば、3秒ほどでペアリングが完了する。使いたいApple Pencilへとクイックに切り替えられるのだ。……問題は、第2世代Apple Pencilは1本1万5950円もするので、複数本を揃えるとなるとけっこうな金額になるという点かもしれない。

最初に買ったソフトなペン先、効果もソフト気味!?

 以降、俺が使っているペン先をご紹介してみたい。まずは1年くらい前に買ってけっこー気に入っているペン先から。モノはブライトンネットの「Apple Pencil・Apple Pencil 2用替え芯(ソフトタッチ)」と、「Apple Pencil・Apple Pencil 2用替え芯(スーパーソフト)」だ。

ブライトンネットの「Apple Pencil・Apple Pencil 2用替え芯(ソフトタッチ)と「Apple Pencil・Apple Pencil 2用替え芯(スーパーソフト)」。どちらもペン先×3本のセットだ。現在、どちらもAmazonにて1518円で売られている
第2世代Apple Pencilに装着した様子。左のペン先はApple純正品だが、純正と比べるとブライトンネット製ペン先は微妙に長めで細めという感じ

 で、肝心の書き味だが、ソフトタッチの黒も、スーパーソフトの赤も、まずは画面へのアタリが変化する。純正ペン先だと画面に当たるコツコツ音が高めに響き、ペンを走らせたときの抵抗感も「やや滑りすぎ」という印象だ。しかしブライトンネットのペン先は、コツコツ音が低減され、ペンの抵抗感も増す。より一般的な筆記具で書いたときに近い感触になる。なお、音の低減および増加する抵抗感は、黒よりも赤のほうが大きい。

 誤解を恐れずに俺的印象をザックリ書くと、ソフトタッチの黒は「ボールペンで下敷きアリの表面樹脂コート済みの紙の上に書いた」ような感触。ただ、純正Apple Pencilペン先と比べると、その書き味の変化は期待したほど大きくない。Apple Pencil純正ペン先の気になるコツコツ音が少し減り、滑りすぎの違和感がかなり減った、という印象。

 スーパーソフトの赤は「下敷きを敷いた表面樹脂コート済みの紙に色鉛筆で書いた」という印象。同時にコツコツ音がかなり減り、抵抗感の増加も明らかに感じられる。ので、期待をあまり裏切られず「ペン先変えると書き味がかなり変わるんだなあ」と納得できるレベルだ。

 どちらのペン先も、純正ペン先の滑りすぎ感が抑えられるので、たとえば文字を書いていて「書き終わりがハネちゃう」「つい滑って暴れた文字になる」ということが抑えられる感じ。描いている場合も「ペン先があまり滑らないので線が安定する」「ペン先に少し力を乗せられるのでメリハリのついた線を描ける」という印象になる。

ウワサの「ifeli」はウワサどおり良かった

 次に買ったのは「ifeli tip」(アイフェリ・チップ)。低摩擦タイプと高摩擦タイプがあり、いろ~んな人が「なかなかイイ」と言っていたので購入。使ってみたら、なるほど、気持ちよく使えるペン先であった。

ifeli tipの低摩擦タイプ。黒白2色あり。ペン先×4本セットで、メーカー価格は2200円
ifeli tipの高摩擦タイプ。こちらも黒白2色あり。ペン先×4本セットで、メーカー価格は2160円
第2世代Apple Pencilに装着した様子。左のペン先はApple純正品で、純正と比べるとifeli tipは太め。純正ペン先に柔らかい樹脂がコーティングしてあるような感じだ。ちなみに、俺の場合は白が低摩擦タイプで黒が高摩擦タイプとしてみた

 使ってみると、なるほど納得。低摩擦タイプも高摩擦タイプも、どちらもまず純正Apple Pencilのコツコツ音がほぼなく、滑りやすいという違和感もほとんどない。

 摩擦感は、表面樹脂コート済みの紙の上にサインペンで書いているという感触。低摩擦タイプだと、細めのサインペンでスラスラ書いている感じで、高摩擦タイプだと太めのサインペンでグイッと書いている感じがする。

 純正Apple Pencilの違和感であったコツコツ音や滑りすぎ感がほぼ完全になくなり、一般的な筆記具に近い書き心地となった。かなり気持ちよく使える。ただ、ペン先が若干太めなので、線の軌跡がより見えにくくなりもした。ある程度書いていると慣れるが、この見えにくさは、ちょっとした別の違和感として細く薄く残り続けるのであった。

 なお、前出のブライトンネット製ペン先×2種も、これらifeli tipも、「紙の上に書いている感触」とはけっこう離れていると感じる。表面樹脂コート済みの紙の上に書いている感じはするが、普通のノートに書いている感触とは大きく異なる。

 また、どちらもペン先の摩耗はけっこう早い気がする。俺の場合は毎日これらペン先を使うわけではなく、週に3日くらい、長くても1時間使うといった程度。そんな使用頻度で、ブライトンネット製のペン先は既に1本が摩耗済みにて廃棄で、2本目も摩耗が見えていてもうそろそろ交換時期となる。ifeli tipも「ガンガン使ったら先端が破けそう」という感触であり、使用開始後まだ2カ月程度だが少し破れが始まっているように見える。

 文字の筆記とお絵描きを比べると、お絵描きのほうが遥かにペン先を酷使する。まあ使い方によってペン先の摩耗・消耗は大きく変わってくるとは思うのだが、紙に近い感触を求めつつ頻繁に絵を描くなら、こういうペン先よりもペーパーライクフィルム+純正ペン先という組み合わせのほうがいいのかもしれない。

異色の極細ペン先、好きな人は好きかも!

 最近買ってわりと気に入ったのが、エレコムの「Apple Pencil 交換ペン先 / 2個入り / 金属製 / 極細 P-TIPAP01」というペン先。ペン先……というか先端の金属芯が約1mmと極細なのが特徴だ。

エレコムの「Apple Pencil 交換ペン先 / 2個入り / 金属製 / 極細 P-TIPAP01」。極細ペン先×2本入り。オープン価格だが2200円くらいで売られている
Apple Pencil純正ペン先と極細ペン先を比べた様子。極細ペン先は金属製で、メーカーサイトには「iPadには必ず液晶保護フィルムを貼ってご使用ください」とある。金属芯により画面に傷が付く可能性があるようだ

 使ってみて最初に感じたのは、極細ペン先で書いているところをよ~く見ると「ペン先と書かれた軌跡にわずかなズレが生じることがある」ということ。「ことがある」というのは、ペンの角度や目の位置によりズレが大きめに見えたり皆無だったりするから。

 実際のところ、端末画面外面と液晶表示面には距離があり、どんなペンを使ってもペン先と軌跡にはズレが生じている。そしてこの極細ペン先だと、ペン先周囲がよりよく見えるので、そのズレにも気付きやすいということだろう。よーく見ると純正Apple Pencilにもそういうズレはある。でも慣れちゃうレベルだと思う。

 一方で、この極細ペン先は、書かれつつある軌跡がよりよく見えるので、使うのに慣れれば「狙った箇所に線を書きやすい」という良さがある。「使うのに慣れれば」というのは、端末をどう傾け、そこにペン先をどう置き、そのときの自分の目の位置はどこか、ということがわかれば、というニュアンス。「こんな感じで書くとズレがないな」というコツを掴めば、かなり精細な線を書いていけるペン先だと思う。

 まあでも使う(アプリ上の)筆の太さなんかにもよるし、それ以上にユーザーの好みもあると思う。また、コツコツ感はあるし、滑りやすさもしっかりある。ので、この極細ペン先について「すごく使いにくい」という人もあると思う。その一方で「この細さと狙いやすさはイイ」と好む人もいるのではなかろうか。

 そんな感じで、極細のペン先もその使用感も、かなり尖っているという感じ。じつに個性的。ペン先のが摩耗しなさそうなのも、俺が気に入っている点である。

 といった感じのApple Pencil用ペン先各種。全体的に割高感はあるものの、Apple Pencil純正ペン先の書き味とは違った感触を求めるなら、ペン先を交換して使ってみるとなかなか愉快。ご自身の使い方に合いそうなペン先を探し、試してみるといいかもしれない。

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。