スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

iPad mini 5でサイクリングしてみる

e-bikeのハンドルにGPSマップを装備

 相変わらず便利なiPad mini 5こと第5世代「iPad mini」(レビュー記事)。とても携帯しやすいタブレットであり、Apple Pencil(第1世代)と組み合わせての利便も非常に大きいです。使うほどに「モトを取った感」が高まったりして、ついつい、ニヤニヤと。

第5世代目のiPad mini。8インチクラスのタブレットで、Wi-FiモデルとWi-Fi+Cellularモデルがあり、ストレージは64GBと256GBから選べて、アップルストア税別価格レンジは4万5800円~7万7800円。A5ノートのようなサイズなので、端末を手に持ってペンを走らせてメモ書きしたりするのにも便利。手に持ちやすく、バッグに入れやすく、現在では筆者の最多用タブレットになっています。

 同時に、Tern(ターン)の「Vektron(ヴェクトロン)」(レビュー記事)というe-bikeを買ってニヤニヤが停止不能になっている筆者です。で、ニヤつきながら、ふと思いました。iPad mini 5を自転車に装着してマップアプリを使ったら非常に便利なのでは? と。

 サイクリング中に、iPad mini 5をサイクリング専用マップとして使うわけですね。画面サイズが7.9型と大きめなので、スマートフォンより絶対見やすいハズ。表示される情報もスマートフォンより詳細です。

iOS端末での Googleマップアプリ表示例。左が iPhone XS Max で、右がiPad mini 5です。横方向の表示範囲を揃えてみましたが、アスペクト比の関係で縦方向の表示範囲は iPhone XS Max のほうが広くなっています。しかし、表示されている情報はiPad mini 5のほうが詳細です。

 上のスクリーンショットのとおり、ランドマークや店舗などの情報がより詳細に表示される iPad mini 5。そういう情報を手がかりに走るサイクリングには、かな~り便利そうです。じゃあ、ということで実際にiPad mini 5をサイクリング用マップ表示に使ってみました。

自転車にiPad mini 5を装着し、車種を変えエリアも変えて走ってみました。

 ちなみに、上の写真の自転車は、左がミヤタ「RIDGE-RUNNER」(レビュー記事)で、左がTern「Vektron」(レビュー記事)。どちらもe-bike。e-bikeとは電動アシスト付きのスポーツ自転車(解説記事)のことです。

 ともあれ今回は、iPad mini 5を自転車に装着してサイクリングマップとして使ってみたヨ的な話を。結果から申しますと、かなり実用的です。見やすいサイズで情報量も十分でバッテリーの保ちも不安ナシ。自転車への装着についても、現在では便利なマウントがあります。そのあたりまで含め、順に書いていきます。

使うマップは? 使い方は?

 まず、iPad mini 5上で使うマップアプリですが、GoogleマップとYahoo! MAPです。これらを併用しています。

 現在のGoogleマップにはゼンリンの地図データが使われなくなり、山道方面が壊滅的な感じになってしまいました。林道や登山道など、多くの道が「地図上から消失」してしまい、林道なんかも走ったりするサイクリング用途にはかなり不便。

 じゃあこの際だから林道はもちろん橋の名前から等高線までしっかり見られるYahoo! MAPに移行だゼ! ということでYahoo! MAPを多用。しかしGoogleマップ上に登録した多数の地点は参照したいので、両マップアプリを併用中というわけです。

 また、両アプリとも、ナビゲーション機能はほとんど使いません。サイクリングは走行全般を楽しむためのもの。目的地への到着も大切な要素ですが、そこまでのルートを自分で決めて移動そのものを楽しむのも大きな目的。なので、走る道は全部自分で決めたいというわけです。まあ、疲れて果ててただただ早く帰りたいようなときは、ナビに頼りますが。

 現在どこを走っているかを把握するためにマップアプリを使う感じですが、新たな道や場所の発見のためにもマップアプリが力を発揮してくれます。「この道は抜けて行けるのだろうか?」「あそこに見える建物は何だろう?」「並行して走っている道はあるのか?」など、新たな道や場所を開拓するのにも役立つわけですね。

 そんな感じで2つのマップアプリを使用。あと、たまにですが、国土地理院の等高線の入った地理院地図を表示できるマップアプリもちょっと使います。正確な標高がパッとわかったり、山のなかの道が判別できたりして、楽しい。使うアプリは、たとえば「FieldAccess2」(公式ページ)です。

自転車へのiPad mini 5取り付け

 じつは同じようなコトを8年前にもやっていました。本連載バックナンバー「GALAXY Tabで自転車GPSマップ」(関連記事)に書きましたが、ドコモ「GALAXY Tab SC-01C」を自転車GPSマップとして使ってみるというものです。その結論から言えば、マップアプリ(モバイルGoogleマップ)は大いに役立ったんですが、端末の車載方法がイマイチで、ちょっと不便が残りました。

 まずその8年前のものから。どういう取り付け方で、どんな不便があったのか? 写真と説明文で見ていきましょう。

8年前、当時のタブレット端末とアプリを、自転車用マップとして使った様子。ハンドル前方に装着したフロントバッグ上部にタブレットを入れたというスタイルです。フロントバッグの透明マップケース越しのマップ表示のため、反射して見づらいのでした。マップを見るときはいったん立ち止まり、マップケースに角度を着けて反射がない角度にする必要がありました。
当時、マップアプリなどを使っている様子。普通にGPSマップとして使えました。

 そして現在。マップアプリも進化し、タブレットを自転車にマウントするための製品が多数あります。で、今回、iPad mini 5の自転車取り付けに使ったのがRAMマウント製品(公式ページ)です。RAMマウント製品については本連載バックナンバー「RAMマウントでガジェットを自由な位置に保持」(関連記事)にて紹介していますので、そちらをお読みいただければと思います。

 以下、使ったRAMマウント製品を具体的にご説明。写真と説明文で見ていきましょう。

自転車のハンドルにRAMマウント製品各パーツを取り付けていきます。今回はハンドルバーを挟むように掴んで固定するタイプ。
ハンドルにiPad mini 5を装着した様子。RAMマウント製品は角度や向きを自由に変えられる機能性や、各パーツの堅牢性が特徴です。パーツの関節部を調節することで、iPad mini 5の位置や向きを自由に設定できます。棒状のものに固定できる台座(ベースパーツ)を使っているので、棒状部分の太ささえ合えば、ハンドルではなくステムやフレームなどに装着することも可能。
ほかの自転車のハンドルへと容易に移設することもできます。また、端末を保持するホルダーパーツを変更すれば、ほかのサイズの端末を装着することができます。写真の青い部品があるパーツは「QUAD LOCK」(レビュー記事)ですが、各社からRAMマウント製品に適合するポール付きパーツが発売されています。
左写真は今回使ったRAMマウントパーツで、左から「タフクロー(Sサイズ)」「ショートアーム」「ボール付きダイヤジョイント」「タブレットホルダー(M/薄型付き)」です。タブレットホルダーについては、四角い本体部分とタブレット上下を挟む2つのパーツが分離でき、使うタブレットに合わせて2つのパーツを選びます(もしくは最初からセットで販売されている)。右写真のように、同じ四角い本体部分でも、2つのパーツを交換すれば別サイズのタブレットに使えるというわけです。なお、右写真の右側のホルダーが現在購入できる新タイプで、旧タイプより保持力・安定性ともにブラッシュアップされています。

 このタブレットホルダー、イイっすよ。正式名称は「RAM TAB-TITE HD」だと思いますが、かなり頑丈につくられていて、タブレット端末の保持力も十分。また、上の写真の台座部分(ハンドルを挟んで固定するタイプ)もイイ感じで、保持力がとても強い。

 今回これら組み合わせでiPad mini 5を保持して80km程度走りましたが、端末が落ちたりズレたりすることはありませんでした。そのうち、5km程度は砂利道とオフロードでした。やっぱりRAMマウントの頑丈さは凄い。ただホルダーとしてはちょっと重めなんですけどね。

道はある? アレは何? iPad mini 5で全部解決♪

 iPad mini 5を自転車に装着したら、さっそくサイクリング! マップはどんな感じで役に立つのかな? 以下、写真と説明文で見ていきましょう。

わりと近所をポタリング。さあ、どこに行こうかな? とマップを見ていると……あっ、この近くにウワサの「第二天覧山(だいにてんらんざん)」があるらしい! じゃあソコ。行ってみよう~。
大画面のGPSマップがあるため、迷うことなく目的地付近に到着。でもじつはこの辺り、住宅地の入り組んだ細道で、マップ無しで来たらたぶん迷う場所です。第二天覧山はウワサどおりけっこう地味でした。
この近くに、ムーミン谷ができたことで知られる「宮沢湖(みやざわこ)」があります。ムーミン谷はまたこんどにして、湖の向こうの緑地? へ行ってみよう。
なるほど、こうやって来るのか。道の接続がよくわかりました。写真の奥に見えるまっすぐで緑色の台地が、宮沢湖のダム部分。
続きまして、気になっていたけど、通れるかどうかよくわからないエリアに行ってみます。現場でマップを確認すると……あっ、道がつながってる。問題なく通れそう。写真の右の道へ進みます。
進んでいくと広々した農耕地が。いい道。こういうシチュエーションは大好き。鉄塔も美しい。
別の日、別の自転車で、奥多摩方面へツーリング。このトンネルには迂回路があるかどうかも一発でわかります。
眼の前に現れた謎の建物。これもマップで確認できます。奥多摩工業氷川事業所だそうです。
この日のメインイベント。奥多摩駅近くから「奥多摩むかし道(おくたまむかしみち)」へとサイクリングです。最初の激坂は、e-bike(この自転車はミヤタRIDGE-RUNNER)で一気に上れました。なお、激坂続きだったためスクリーンショットはありませんが、使ったのはYahoo! MAPです。こういったトレッキングコース的な山道などはYahoo! MAPが断然イイ。Googleマップでは表示されない細道もバッチリ見られます。……以前はGoogleマップでも見られたんですけどねえ……ていうかイキナリ廃トンネル! こわっ!
そして廃線跡。けっこう不気味な雰囲気が漂う奥多摩むかし道なのでありました。途中で自転車を持ち上げたりする必要も出ますが、逐一Yahoo! MAPを参照できたので迷わず一般道へと出ることができました。

 てな感じ。まあ、できることはスマートフォンを自転車に装着したときと同じなんですが、やはり大画面なのが便利。表示も操作も快適ですし、表示される情報も詳細。バッテリーにも十分な余裕があってイイ感じです。

 それから、RAMマウントのホルダー。上の写真のようなガタガタの山道でも端末をがっしりとホールドしてくれてナイス。安心してiPad mini 5を自転車GPSマップとして使うことができました。

 ただ、荒れた路面だと走行中に端末に伝わる振動がちょっと心配。スマートデバイスは精密機器ですので、そういった振動をなるべく抑える工夫が必要です。また、それ以前に、自転車への端末取り付けはメーカーが推奨しないものと思われますので、スマートデバイスを自転車にマウントしての走行は、あくまでも自己責任のもとで行ってください。

 ともあれ、以上、iPad mini 5を自転車GPSマップとして使ってみた話でした。けっこうイイので、興味のある方はぜひ試してみてください♪

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。