スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

腕時計をスマートフォンで簡単操作!

カシオ「スマートフォンリンク機能」対応ウォッチ

 ふと「腕時計ってもっと簡単に使えないの?」と思ってアレコレ調べたら、カシオ「スマートフォンリンク機能」に対応した腕時計に興味津々。スマートフォンと腕時計をBluetooth接続して、腕時計をより簡単・便利にするという機能です。この機能、実際どんな感じで使えるのかな~と思い、「EDIFICE EQB-900D-1AJF」(公式ページ)という腕時計を買って使ってみました。

カシオのEDIFICE(エディフィス)ブランドEQB-900シリーズ。スマートフォンリンク機能に対応した腕時計で、Bluetoothによりスマートフォンと接続でき、スマートフォンから腕時計を操作することができます。EQB-900シリーズ2製品のうち「EQB-900D-1AJF」を購入しました。実勢価格は3万円前後。

 前述の「スマートフォンリンク機能」(公式ページ)ですが、スマートウォッチ的な機能性とはちょっと違います。スマートウォッチはスマートフォンの機能を腕時計上に拡張したような感じですよね。スマートフォン上の情報を腕時計でも見られるとか、腕時計への入力をスマートフォンへ送信するとか、スマートデバイスの腕バージョンみたいな存在です。

 一方、カシオの腕時計の多くに搭載されているスマートフォンリンク機能は、スマートフォンにより腕時計をさらに便利に使うというもの。腕時計が主体で、スマートフォンは腕時計活用のためのツールという関係性です。この機能に対応した腕時計の機種によってはメールなどの通知機能があったりしますが、基本的には「スマートフォンで腕時計の時刻・タイムゾーンを自動修正する」とか「スマートフォンで腕時計のストップウォッチ記録を見る」など、「腕時計を簡単&便利に活用するためのマートフォン接続」というのがスマートフォンリンク機能のポイントだと思います。

 実際に使ってみた印象から書いてしまうと、腕時計についてこれまでアリガチだった「説明書を読むのが面倒」とか「機能はあるけど使っていない」みたいなモヤモヤが解消して痛快です。「痒いところに手が届く」という感覚もある。「今度また腕時計を買うなら絶対にカシオのスマートフォンリンク機能対応品にしよう」とも思いました。ともあれ以降、EQB-900シリーズの使用感や機能性について書いてみたいと思います。

EQB-900はどんな腕時計?

 まずEQB-900の概要から。ストップウォッチ機能を備えたアナログ腕時計で、つまりクロノグラフですね。時刻アラームやカウントダウンタイマーといった機能も備えています。ムーブメントはクオーツで10気圧防水。ケースもバンドもステンレス製で、タフソーラー(ソーラー充電システム)を搭載しています。ほか詳細は公式のEQB-900シリーズ製品紹介ページ(公式ページ)をご覧ください。

高機能クロノグラフ・ウォッチであるEQB-900シリーズのラインナップは2機種。右上のボタンを押すと左下に内蔵された白色LEDが文字盤を照らし、12時刻・時針・分針の蓄光物質がしばらく残照します。

 そしてもちろん、前述のスマートフォンリンク機能にも対応。スマートフォンとBluetooth接続し、専用アプリ「CASIO WATCH+」を使うことで、スマートフォンからEQB-900の各機能を設定・使用することができます。スマートフォン経由で時刻情報を得て、腕時計の自動時刻修正も行われます。

EQB-900をスマートフォンとBluetooth接続して専用アプリ「CASIO WATCH+」を使うと、スマートフォンからEQB-900の各種設定・機能利用を行えるようになり、自動時刻修正も機能します。従来なら腕時計の説明書を参照しつつボタンやリュウズを操作して行っていたほとんどのことが、スマートフォンから行えるようになり、と~っても便利♪

 ちょっと話が前後してしまいますが、筆者がスマートフォンリンク機能に興味を持ったのは、自動時刻修正の機能があるから。これは腕時計が自動的にスマートフォンとBluetooth接続して時刻を修正するというもの。時刻関連情報はスマートフォン経由で取得。メーカーは「自動でタイムサーバーに接続し時刻を修正」「インターネット上で時刻情報を提供するタイムサーバーにアクセス」などと説明しています。なお、この時刻自動修正は1日4回行われます。

 ともあれ、スマートフォンリンク機能がある以外は、至って普通のクオーツ腕時計。違和感なく身につけられつつ、多機能腕時計としては突出した「簡単操作」が可能というわけです。
 ちなみに、スマートフォンリンク機能対応腕時計はカシオの製品検索ページから探していけます。G-SHOCK、BABY-G、OCEANUS、EDIFICE、SHEENと各ブランドにスマートフォンリンク機能対応品があり、税別価格レンジは1万3500円から28万円まで。記事執筆現在、108のスマートフォンリンク機能対応腕時計が存在しているようです。

スマートフォン連携で何ができる?

 スマートフォンリンク機能は、腕時計とスマートフォンを連携して使い、腕時計をより簡単&便利にするというものです。では、具体的に何ができるのか? できることと、その使い勝手を見ていきましょう。

 まず「時刻自動修正」ができます。専用アプリ「CASIO WATCH+」でペアリングなど初期設定を行えば、以降、腕時計が自動的にスマートフォンに一時接続して時刻の修正を行います。時刻修正のタイミングは1日4回で、午前12時半頃、午前6時半頃、午後12時半頃、午後6時半頃となっています。左下のボタンを押すことで任意のタイミングで時刻修正を行うこともできます。

CASIO WATCH+ アプリから自動時刻合わせをオフにもできます。また、時刻合わせが行われた履歴をチェックすることもできます。

 筆者の環境では、この自動時刻修正機能により、常に非常に正確な時刻を表示し続けるEQB-900です。上記タイミングでスマートフォンがネットに接続されていない場合、時刻修正ができないものと思われますが、そうなる状況は……通常あり得ないような気がします。実用上、電波時計よりも頻繁かつ確実に時刻修正が行われていると思います。

 ちょっと話が逸れますが、このアプリの使い勝手がかなりイイ感じです。今どきのBluetoothモノだけあって、ペアリングも手間いらず(アプリ初回起動時に項目を選択する程度)で済みますし、アレコレとわかりやすい。ひととおり腕時計の機能を知っていれば、アプリのガイド機能で使い方を参照したり思い出したりでき、何かと手っ取り早いです。

CASIO WATCH+ アプリの表示例。EQB-900はスマートフォン連携時のみBluetooth接続するわけですが、未接続状態でアプリを起動すると腕時計のどのボタンを押せばいいのか表示されます(左画像)。アプリの「ガイド」を表示すると、EQB-900の各機能とボタンの関係などが簡潔に表示されます。非常に単純なことではあるんですが、腕時計の使用方法をアプリですぐ知ることができると、腕時計の各機能をよりシッカリ活用する気になります。アリガチだった「時計にあの機能があったハズだけど使い方忘れちゃったからいいや~」と投げやりにならない、みたいな。

 アプリから時計を設定するのも簡単です。ワールドタイム(約300都市)、時刻アラーム、カウントダウンタイマーなどなど。腕時計のボタンやリュウズを操作しても設定できますが、アプリから行ったほうが遥かに手軽で時間もかかりません。

アプリからアラームやカウントダウンタイマーを設定している様子。設定後は「設定を時計に送る」をタップして完了です。腕時計側でも同じように設定ができますが、リュウズやボタンでの設定となり手間がかかります。なお、アラームやカウントダウンタイマーを設定し、その時刻や時間を変更せず使い続ける場合は、腕時計側の簡単なボタン操作だけでアラームのオンオフやカウントダウンタイマーの開始などを行えます。
EQB-900はデュアルタイム対応。大きな時針・分針・秒針で現在位置時刻を表示し、小さな時針分針で特定都市の時刻を表示できます(逆にすることも可能)。その特定都市の指定もアプリから設定可能。マップを拡大縮小などして都市を探し、タップすれば完了なので、これまたとても簡単です。

 ほかにもイロイロとできます。たとえば腕時計のストップウォッチ機能を使うと、その記録が腕時計内に残り、これをアプリに転送してタイムを詳細に見ることができたり。あるいは、腕時計側の操作でスマートフォンを探すこともできます(腕時計の右下ボタン長押しでスマートフォンからサウンドが流れる)。

腕時計側でストップウォッチ機能を使うと、タイムの記録が残ります。これをアプリへと転送することで、詳細なラップタイムなどを見ることができます。なお、これらスクリーンショット上のラップはテストしただけなので、意味のあるものではありません。
腕時計の細かな設定もアプリから行えます。腕時計の右下ボタン長押しでスマートフォンからサウンドを出して端末を探せますが、そのサウンドはプリセットのものでも手持ちの曲でもOKです。磁力などの影響で腕時計の針がズレた位置を指してしまうことがありますが、この修正もアプリ上で行なえます(腕時計には触れずアプリ上のボタンをタップするだけ)。

 こんな感じで、腕時計に対する多くの操作・設定をアプリから行えます。腕時計EQB-900の使い方までアプリから参照できる。実際に使っていると、腕時計がさらに楽しく便利になって非常にイイ感じです。

 多機能なクロノグラフとかって、ガジェット的にソソるところが大きいんですが、でも実際にその多機能さを使いこなそうとすると、ある種呪文に似たボタン操作を憶えないといけない。最初は頑張って憶えるものの、しばらく機能を使わないと忘れちゃいます。結局、遅かれ早かれ説明書で操作手順を調べて……という面倒なコトに。

 でもスマートフォンリンク機能対応の腕時計の場合、そもそも憶えるべきボタン操作手順は僅かなもの。モード切替とBluetooth接続ボタン操作くらい憶えれば、あとはアプリの表示で何とかなっちゃう。もう、こういう操作性や利便性、一度体験してしまうと後戻りできませんね~。

 こういう方向での「腕時計とスマートデバイスの連携」も大いにアリですね♪ スマートデバイスの力を借りて、ハードウェアをより簡単&便利にする。そういうの大歓迎。ともあれ、EQB-900などで使えるスマートフォンリンク機能はとてもイイ。興味のある方は、ぜひカシオのスマートフォンリンク機能対応腕時計をチェックしてみてください。

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。