法林岳之の「週刊モバイルCATCH UP」

「Galaxy Z Fold8 Ultra/Fold8/Flip8」が一挙登場、選べるフォルダブルはどれにする?

 サムスンからフォルダブルスマートフォン「Galaxy Z」シリーズが発売された。昨年までは「Galaxy Z Fold」と「Galaxy Z Flip」の2機種を発表していたが、今年は横開きのフォルダブルを2モデル構成とし、計3モデルがラインアップされた。ライバルメーカーが増える中、8世代に渡り、フォルダブルを展開してきたサムスンならではのラインアップだ。各機種の特徴を踏まえ、選べるフォルダブルをチェックしてみよう。

拡大するフォルダブルのラインアップ

 ここ数年、ユーザーからの関心がもっとも高いスマートフォンのフォームファクターと言えば、やはり、フォルダブルを置いて、他にないだろう。一般的な「スレート形」や「バータイプ」に対し、「曲げられる」という有機ELディスプレイの特徴を活かし、大画面ディスプレイとコンパクトなボディを両立させたフォルダブルという形状が生まれ、支持を拡げつつある。

 フォルダブルには一般的なスレート形のボディを縦方向に折りたたむ「縦開きフォルダブル」、文庫本のように横方向に開閉する「横開きフォルダブル」が存在する。
 はじまりは2019年に相次いで発表されたサムスンの「Galaxy Fold」、ファーウェイの「HUAWEI Mate X」の2機種で、いずれも横開きフォルダブルだった。続いて、モトローラが往年の名機の名を冠した「motorola razr」を発表し、縦開きフォルダブルの市場を切り開き、サムスンも「Galaxy Z Flip」シリーズで追随。

 その後、2023年にはGoogleが「Pixel Fold」を発売する一方、グローバル市場や中国市場ではシャオミやOPPO、nubia(ZTE)などが相次いでフォルダブルを発売。国内市場でも2025年12月にはZTEから「nubia Fold」、今年4月にはオウガ・ジャパンから「OPPO Find N6」が発売された。グローバル市場では今後5年間で、フォルダブルスマートフォンの市場が3倍に拡大するという指摘もある。

 そして、今年9月にはついにアップルからも「iPhone Fold」や「iPhone Ultra」といったネーミングのフォルダブルが発表されると伝えられており、いよいよ各社のフォルダブルスマートフォンの競争が激しさを増しそうな状況だ。

Galaxyは『選べるフォルダブル』

 そんな中、フォルダブルの先駆者であるサムスンがライバルをどのように迎え撃つかが注目されたが、今年は「Galaxy Z Fold8 Ultra」「Galaxy Z Fold8」「Galaxy Z Flip8」の3モデルを発売し、『選べるフォルダブル』のラインアップを展開してきた。複数のフォルダブルスマートフォンで展開する例は、各社が縦開きフォルダブルと横開きフォルダブルをラインアップする一方、同じ形状ではモトローラが縦開きフォルダブルの「motorola razr」で複数モデルを展開した例があるが、モトローラのラインアップは縦開きフォルダブルのバリエーションで、基本的にチップセットやカメラなどのスペックの違いに留まっていた。

 今回のサムスンのラインアップは、本誌でも既報の通り、横開きフォルダブルが「Galaxy Z Fold8 Ultra」と「Galaxy Z Fold8」の2機種、縦開きフォルダブルは「Galaxy Z Flip8」が1機種という構成。昨年モデルと比較して、縦開きフォルダブルはそのまま後継モデルが発売された形だが、形状の異なる横開きフォルダブルが増え、2機種から選べるようになったわけだ。

 冒頭でも触れたように、ここ数年、国内でもフォルダブルスマートフォンへの関心は高まってきているが、折りたたみというメカニズムに対する不安や全体的に高価格であることから、国内での普及率は1%程度しかないと言われている。特に、昨年来のメモリーをはじめとする半導体価格の上昇から、フォルダブルに限らず、各社共、スマートフォンの価格がさらに上昇する傾向にあり、直近では縦開きフォルダブルが20万円前後、横開きフォルダブルが30万円前後となっている。

 各携帯電話会社の端末購入サポートプログラムを利用しても月々6000円前後を2年間支払わなければならず、購入を決断するにはやや覚悟を求められる印象だ。こうした状況において、今回の「Galaxy Z」シリーズ3機種の『選べるフォルダブル』がユーザーにどのように受け入れられていくのかが注目される。

4:3の新フォーマットを採用した「Galaxy Z Fold8」

サムスン「Galaxy Z Fold8」、サイズ(開いた状態):約123.9mm(高さ)×161.4mm(幅)×4.5mm(厚さ)、(閉じた状態):約123.9mm(高さ)×81.9mm(幅)×9.7mm(厚さ)、約201g(重さ)、カラー:グラファイト(写真)、ラベンダー、クリーム、ピスタチオをラインアップ

 今回の「Galaxy Z」シリーズ3機種で、もっとも注目度が高いのが「Galaxy Z Fold8」だ。機種名としては昨年の「Galaxy Z Fold7」に続くネーミングだが、実際の後継機種は後述する「Galaxy Z Fold8 Ultra」であり、「Galaxy Z Fold8」はまったくの新機種という位置付けになる。

 「Galaxy Z Fold8」が注目されるのは、これまでのモデルと同じ横開きフォルダブルという形状ながら、フォームファクターを変更し、ディスプレイの縦横比率を変更した点だ。従来の「Galaxy Z Fold7」では端末を閉じたときのカバーディスプレイが縦横比「21:9」の6.5インチ、端末を開いたときのメインディスプレイが縦横比「1.1:1」(ほぼ正方形)の8.0インチディスプレイをそれぞれ採用していた。これに対し、今回の「Galaxy Z Fold8」は端末を閉じた状態のカバーディスプレイが「10:16」の5.5インチ、端末を開いた状態のメインディスプレイが「4:3」の7.6インチを採用している。つまり、筐体の縦方向のサイズを短くし、コンパクトにまとめながら、端末を開いたときはよりワイドに表示できるように仕上げている。

本体を拡げたときのメインディスプレイは7.6インチのワイドな大画面

 こうした構成を採用した理由としては、「Galaxy Z Fold7」などのメインディスプレイで映像コンテンツを表示するとき、上下に黒い帯が表示されてしまうのに対し、「Galaxy Z Fold8」ではカバーディスプレイの縦横比が一般的な「スレート形」のスマートフォンと変わらない「21:9」なので、映像コンテンツも視聴しやすく、端末を開けば、メインディスプレイの大画面で迫力ある表示が可能になることを挙げている。さらに、端末を開いた状態で本体を縦向きにすると、縦横比「3:4」の表示になるため、Webページなども見やすいとしている。

 実際に試用した印象としては、端末を閉じた状態がコンパクトかつスリムで非常に持ちやすく、重量も201gと一般的なスマートフォンとほぼ変わらないため、シャツの胸ポケットやジャケットの内ポケットに入れておいてもあまり気にならない。厚さも閉じた状態で9.7mmなので、女性のバッグなどに入れてもかさばらないだろう。従来の「Galaxy Z Fold7」などの横開きフォルダブルのサイズ感に躊躇していたユーザーにも受け入れられそうな印象を得た。

閉じた状態でも厚さは9.7mmに収められており、スリムで持ちやすい
背面はデコレーションなどもなく、スッキリとしたデザイン。カメラ部の突起は約4.8mm(実測値)
幅はあるが、コンパクトで持ちやすいサイズ

 ディスプレイについては確かに、メインディスプレイで映像コンテンツや電子書籍、電子コミックを表示したときのフィット感に優れているが、WebページやSNSなどは縦方向の表示が短く、画面をスクロールする頻度が増えるため、端末を開いた状態で縦向きに持ち替えた方が便利だ。このあたりはユーザー自身が操作というか、端末の持ち方の意識を切り替える必要がある。

メインディスプレイのホーム画面は、従来モデルと違い、出荷時は最下段のDockに表示されるアイコンが4つ。使い方に合わせて、追加することも可能

 実用面ではメインディスプレイに複数のアプリを同時に区切って表示できるため、マルチタスクが使いやすいのもメリットだ。[カレンダー]アプリを表示しながら、[マップ]で場所を検索したり、[メール]アプリでメールを作成中に[ギャラリー]アプリで送信する写真を選ぶといった使い方もやりやすい。

3つのアプリを三分割で表示することが可能。中央部分の3点アイコンをタップすれば、アプリの表示位置を入れ替えることが可能
アプリを三分割で表示した状態で、端末の向きを90度、回転させると、表示が変更され、Webページ(画面左上)などが見やすくなる

 端末を閉じた状態のカバーディスプレイは、5.5インチ/WUXGA+(1972×1248ドット表示)なので、解像度こそ十分なものの、一般的なスレート形スマートフォンよりも対角サイズが小さいため、コンテンツによっては狭く感じてしまう面もある。

 ひとつ気になるのは、サムスンがこれまでフォルダブルスマートフォンの使い方として訴求してきたフレックスモードが少し制限される点だ。「Galaxy Z Fold8」をノートパソコンのようにL字に開いた状態で、コンテンツを表示したり、アウトカメラで撮影するといった使い方はできるが、開いた角度が100度~110度あたりを超えると、ヒンジの張力で端末が開いてしまうのだ。従来の「Galaxy Z Fold7」などでは120度付近まで開くことができ、映像コンテンツの再生などが便利だったが、そういった使い方ができないわけだ。

新設計のヒンジは開く方への張力がやや強いため、フレックスモードでは90~100度程度までは安定しているものの、それ以上は引っ張られて、開いてしまう

 ただ、このヒンジの動作はユーザーによって、評価が分かれる。「Galaxy Z Fold」シリーズを愛用してきたライター氏は、ヒンジの張力で端末が開いてしまうことに大きな不満を示していたが、同じように「Galaxy Z Fold」シリーズを愛用してきた筆者はここ数年間、フレックスモードで動画など視聴をすることがほとんどなかった。記事や番組ではメリットとして紹介してきたが、個人的には今回のヒンジの変更について、あまり不満を感じていないというのが本音だ。むしろ、動画を視聴するのであれば、端末を完全に開き、何かに立て掛けたり、スタンドに置いたりして、大画面で視聴する方が便利だと考えている。もし、端末をフルに開いた状態で視聴することが多いのであれば、市販品のQi2/MagSafe対応ケースにリング部分をスタンドとして立てられるものも販売されているので、そういったアクセサリーを利用するのもひとつの手だ。

カバーディスプレイ側の筐体の上部にはピンで取り出すタイプのSIMカードトレイを備える

5000万画素センサーのデュアルカメラを搭載した「Galaxy Z Fold8」

背面に備えられたメインカメラは広角カメラと超広角カメラのデュアルカメラ。どちらも5000万画素イメージセンサーで、ピクセルビニングにより、暗いところでの撮影にも強い

 カメラについては「Galaxy Z Fold8 Ultra」や従来の「Galaxy Z Fold7」と違い、背面のメインカメラは5000万画素イメージセンサーによる超広角カメラ(13mm)と広角カメラ(23mm)のデュアルカメラを搭載する。ただし、同じ5000万画素イメージセンサーでもセンサーサイズが違い、広角カメラが1/1.56インチ、超広角カメラは1/2.51インチのセンサーを採用する。望遠カメラがないのは残念だが、アダプティブピクセルセンサーにより、光学相当2倍ズームの撮影に対応する。

炎天下だったが、人物だけでなく、背景の建物や緑もバランス良く撮影できている。モデル:多胡うらら(Instagram:@urara.05、所属:ボンボンファミン・プロダクション
夜景を超広角カメラ(13mm)で撮影。ライトアップされた建物だけでなく、奧のビルの照明なども白飛びせず、撮影できている
同じく夜景を広角カメラ(23mm)で撮影
広角カメラの2倍ズームで撮影。人物などもクリアに撮影できている
広角カメラのデジタルズーム(230mm)で撮影。デジタルズームなので、ある程度の粗さは残るが、ブレも抑えられた仕上がり

 インカメラはメインディスプレイとカバーディスプレイのパンチホール内にそれぞれ内蔵されているが、焦点距離はカバーディスプレイ側が18mm、メインディスプレイ側が24mmとなっているため、ワイドにセルフィーを撮るのであれば、カバーディスプレイ側を利用した方がベターだ。もっとも前述のフレックスモードで端末をL字に開き、メインカメラで撮影した方がより高品質な写真を撮ることができる。ただし、「Galaxy Z Flip8」などと違い、メインカメラ側のディスプレイがないので、フレックスモードでプレビューをしながらの撮影はできない。

ミリ波対応はこれから役立つシーンが増える?

 「Galaxy Z Fold8」はこれまでの「Galaxy Z Fold7」までの流れを継承したモデルで、基本的な仕様を継承している。電源ボタン内蔵の指紋センサー、おサイフケータイ対応、nanoSIM/eSIMのデュアルSIM対応などが挙げられるが、もうひとつ推しておきたいのがミリ波対応だ。

 ミリ波は国内の5Gで利用される周波数帯域のうち、28GHz帯の「n257」というバンドで、国内の携帯電話事業者4社に400MHzずつの帯域が割り当てられている。通常、100MHz幅を利用するSub6に比べ、帯域幅が非常に広いため、高速通信が実現しやすく、混雑にも強い。ただし、ミリ波は非常に高い周波数帯域であるため、電波があまり飛ばず、利用シーンが限られている。そのため、これまではアリーナやスタジアムなど、限られた場所での活用が考えられてきた。

 ところが、先般、開催された「コミックマーケット108」でKDDIがミリ波対応の中継器を設置し、より広いエリアで利用できるようにしたり、ソフトバンクも今年3月に鈴鹿で開催された「F1日本グランプリ」で「5G SA」とミリ波を活用した通信対策を実施。NTTドコモも名古屋のIGアリーナ内にミリ波アンテナを設置するなど、各社が混雑する場所でのトラフィック対策などに活用しつつある。

 「Galaxy Z Fold8」は「Galaxy Z Fold8 Ultra」と共に、ミリ波に対応しており、こういった通信対策が行なわれる場所において、トラフィック面で大きなアドバンテージを得ることができる。たとえば、音楽フェスなどで写真撮影が許可されていたとき、ミリ波対応の「Galaxy Z Fold8」や「Galaxy Z Fold8 Ultra」では、撮った写真をすぐにSNSに投稿できるが、ミリ波非対応の機種はデータ通信の混雑の影響を受け、なかなか投稿できなかったり、退出時などに家族や友だちに連絡できないといったことが起こり得る。「ミリ波なんて、まだ普及しないでしょ」という指摘もあるが、スマートフォンを2~3年と使い続けるのであれば、ミリ波の対応/非対応は何度となく、実用面での差を感じることになりそうだ。ちなみに、今回発売された3機種のうち、「Galaxy Z Flip8」はミリ波に対応していないので、間違えないようにしたい。

 また、通信のスペックではないものの、今回の「Galaxy Z」シリーズ3機種は、直近の「Galaxy S26」シリーズ同様、AndroidプラットフォームのQuickShareを使い、iPhoneやiPad、Macなどで利用されているAirDropと送受信ができる。友だちや家族との写真をやり取りするときなどに便利だが、iPhoneからGalaxyに移行するときや二台持ちのシチュエーションでも必要に応じて、相互にファイルがやり取りできるため、非常に便利だ。

従来モデルを進化させた「Galaxy Z Fold8 Ultra」

サムスン「Galaxy Z Fold8 Ultra」、サイズ(開いた状態):約158.4mm(高さ)×143.2mm(幅)×4.1mm(厚さ)、(閉じた状態):約158.4mm(高さ)×72.8mm(幅)×8.9mm(厚さ)、約215g(重さ)、カラー:グラファイト(写真)、バイオレットシャドウ、クリーム、グリーンシャドウをラインアップ

 新しいフォームファクターを採用した「Galaxy Z Fold8」に対し、従来の「Galaxy Z Fold7」までの流れを継承したモデルが「Galaxy Z Fold8 Ultra」だ。これまで通りの横開きフォルダブルの形状だが、前述のコンパクトなモデルに「Galaxy Z Fold8」という名を譲った(?)ため、こちらには上位モデルを意味する「Ultra」の名が冠されている。

端末を開くと、8.0インチの大画面。折りたたみ部分の凹みもほとんど目立たなくなった

 本体のサイズは従来の「Galaxy Z Fold7」と同じで、本体を開いたときの厚みがわずか0.1mm異なるのみ。縦横の長さや閉じたときの厚み、重量はまったく変わらない。実際に手にしたときの印象も従来の「Galaxy Z Fold7」と変わらず、目を閉じていれば、どちらを手にしているのかがわからないレベルだ。横開きのフォルダブルというと、2枚の板を重ねた構造になるため、「閉じると、厚いのでは?」という印象を持つ人も多そうだが、「Galaxy Z Fold」は毎年のように、着実に薄型を進めており、昨年の「Galaxy Z Fold7」は折りたたんだ状態で、一般的なバータイプのスマートフォンと変わらない厚さ8.9mmを達成し、今回の「Galaxy Z Fold8 Ultra」も同じサイズに仕上げている。落下や破損などの不安からケースを装着した場合でもそれほど厚くなることもなく(選ぶケースにもよるが……)、むしろ「Galaxy Z Fold8 Ultra」や「Galaxy Z Fold7」の方が閉じたときのボディ幅が狭いことから、スリムで持ちやすい印象があるくらいだ。

本体を閉じた状態の背面。基本的には従来モデルと変わらないデザイン
本体下部にはUSB Type-C外部接続端子を備える。右側面の電源ボタンには指紋センサーを内蔵する。カメラ部の突起は約5.5mm(実測値)
閉じた状態の幅は一般的なスレート形のスマートフォンよりもスリム。高さ(長さ)はあるが、意外に持ちやすい

 ディスプレイも同様で、従来の「Galaxy Z Fold7」に引き続き、閉じた状態のカバーディスプレイは縦横比が16:10の8.0インチ、開いた状態のメインディスプレイは縦横比4:3の6.5インチとなっている。前述の「Galaxy Z Fold8」はコンテンツ視聴を重視し、新しいフォームファクター、新しいディスプレイサイズを採用しているが、「Galaxy Z Fold8 Ultra」は端末を閉じた状態でも縦方向に長いことから、WebページやSNSなど、縦長のコンテンツが見やすく、端末を開けば、大画面で映像コンテンツを楽しむことができる。「Galaxy Z Fold8」のメインディスプレイがコンテンツ視聴に適した縦横比で、「Galaxy Z Fold8 Ultra」は同じコンテンツを表示しても上下に黒い帯が表示されるが、実質的な視聴サイズの印象としては、それほど大きな差があるわけでもない。どちらの縦横比とサイズがいいのかは、ユーザーの好み次第とも言えそうだ。

メインディスプレイのホーム画面。従来モデルと異なり、最下段のDockは出荷時に4つのアイコンが設定されている。検索ボックスも下段に移動した
メインディスプレイで右上部から下方向にスワイプすると、クイック設定パネルが表示されるが、画面の右半分にウィンドウのように表示される
「Galaxy Z Fold8 Ultra」の大画面を活かし、[YouTube][カレンダー][マップ]を同時に三分割で表示。境界部をドラッグすれば、サイズを変更可能
カバーディスプレイでWebページを表示すると、「Galaxy Z Fold8 Ultra」(左)に比べ、「Galaxy Z Fold8」(右)は縦方向の表示が短い。SNSなども同様
メインディスプレイでWebページを表示すると、「Galaxy Z Fold8 Ultra」(上)に比べ、「Galaxy Z Fold8」(下)は幅が広いものの、縦方向の表示が短いため、見づらい
「Galaxy Z Fold8」(下)を90度、回転させると、縦方向の表示が拡がり、「Galaxy Z Fold8 Ultra」と変わらない視認性が得られる
YouTubeの動画を再生してみると、「Galaxy Z Fold8 Ultra」(上)は上下に黒い帯が表示されるのに対し、「Galaxy Z Fold8」(下)は黒い帯が狭くなり、より大画面で楽しめる印象
写真を表示してみると、「Galaxy Z Fold8」(下)はほぼ全画面で表示されるが、「Galaxy Z Fold8 Ultra」(上)は左右に黒い帯が表示される。実質的な表示サイズはほとんど変わらないが、見た印象は少し違い、「Galaxy Z Fold8」の全画面表示の方が大きく見える

 また、今回の「Galaxy Z」シリーズ3機種に共通した技術になるが、ディスプレイには「Flex Titanium」という新しい技術が採用されている。フォルダブルスマートフォンはディスプレイが折れ曲がる構造のため、メインディスプレイのヒンジ付近の折り目を気にする指摘もあり、サムスンをはじめ、メーカー各社はガラスやヒンジの改良を重ねている。今回の「Galaxy Z」シリーズ3機種に採用された「Flex Titanium」は、サムスンが開発した極薄のチタン製フィルムとチタンプレートを有機ELパネルの内側に配置することで、従来のポリマーフィルムの20倍の機械強度を実現しながら、スリムで極薄のメインディスプレイに仕上げている。フォルダブルを開発するメーカーは増えているが、これまで7世代に渡って、フォルダブルを開発してきた「Galaxy Z」シリーズには、ヒンジやディスプレイの強度などを支える技術において、大きなアドバンテージがあると言えそうだ。

SIMカードスロットはカバーディスプレイ側の上部に備える。ピンで取り出すタイプを採用

2億画素イメージセンサーを採用したトリプルカメラを搭載

背面に備えられたメインカメラは2億画素イメージセンサーの広角カメラ、5000万画素イメージセンサーの超広角カメラ、1000万画素イメージセンサーの望遠カメラで構成される。同じ「Ultra」の名を冠した「Galaxy S26 Ultra」に比べ、望遠カメラが及ばないが、業界トップクラスの仕上がり

 横開きフォルダブルの「Galaxy Z Fold8 Ultra」は、従来の「Galaxy Z Fold7」などに続き、広角、望遠、超広角のトリプルカメラを搭載する。前述の「Galaxy Z Fold8」がデュアルカメラである点との大きな違いになる。サムスンのGalaxyシリーズは国内外でさまざまな機種が販売されているが、「Galaxy S26」シリーズなど、上位モデルはトリプルカメラであることが多く、背面の三連のカメラレンズはトレードマークにもなっている。
 「Galaxy Z Fold8 Ultra」に搭載された3つのカメラのうち、従来の「Galaxy Z Fold7」からスペックが向上しているのは超広角カメラになる。従来モデルが1200万画素イメージセンサーを採用していたのに対し、「Galaxy Z Fold8 Ultra」は5000万画素のイメージセンサーが採用。センサーサイズは従来モデルの1/2.55インチに対し、今回は1/2.5インチなので、あまり変わらないが、画素数が向上したことで、ピクセルビニングでより多くの光を取り込めるようになり、暗いシーンでも明るく撮影ができるようになった。

ポートレートで撮影。背景のライトや看板などがボケて、人物が際立っている。モデル:多胡うらら(Instagram:@urara.05、所属:ボンボンファミン・プロダクション
広角カメラ(23mm)で夜景を撮影。ライトアップされた建物、ビルの照明なども白飛びせず、きれいに撮影できている
広角カメラの光学2倍相当(46mm)で撮影。人物も捉えられ、ライトアップされた建物もバランス良く撮影できている
望遠カメラ(69mm)で撮影。広角カメラに比べ、手前側の広場はやや暗く写っているが、ライトアップされた建物はきれいに撮影できている
望遠カメラを使い、10倍(230mm)で撮影。デジタルズームを組み合わせているが、明暗差をバランス良く捉えている
望遠カメラを使い、30倍(690mm)で撮影。さすがにこれだけの倍率で撮影すると、デジタルズームの粗さが目立つが、それでも建物の輪郭などはしっかりと捉えている

 チップセットやソフトウェアなどの世代が進み、AIを活用した画像処理「ProVision Engine」によるリアルタイムのノイズ低減なども進化を遂げており、全体的に見て、従来モデルに比べ、多彩なシーンで高品質な写真や動画を撮影することが可能だ。
 望遠カメラについては光学3倍までで、同じ「Ultra」の名を冠した「Galaxy S26 Ultra」に比べ、スペック的にやや見劣りするという指摘もある。ただ、これ以上、高倍率の望遠カメラを搭載すると、カメラ部がさらに分厚くなってしまうため、バランスを考えれば、現状ではしかたのないところだ。とは言え、デジタルズームを組み合わせた最大30倍の撮影もAIによる補正が加わり、通常のデジタルズーム以上の画質で撮影することが可能だ。

世界最軽量の縦開きフォルダブル「Galaxy Z Flip8」

サムスン「Galaxy Z Flip8」、サイズ(開いた状態):約166.9mm(高さ)×75.4mm(幅)×6.1mm(厚さ)、(閉じた状態):約85.7mm(高さ)×75.4mm(幅)×13.1mm(厚さ)、約180g(重さ)、カラー:グラファイト(写真)、ピンク、クリーム、ミントをラインアップ

 横開きフォルダブルの「Galaxy Z Fold」シリーズに対し、縦開きフォルダブルとして展開してきたのが「Galaxy Z Flip」シリーズであり、その最新モデルが「Galaxy Z Flip8」だ。国内では2020年2月に初代モデルがauから発売され、その後、世代を重ね、今回の「Galaxy Z Flip8」は8代目モデルになる。

 「Galaxy Z Flip」シリーズはかつてのケータイを彷彿させる縦開きフォルダブルという形状が注目されてきたが、近年はコンパクトで持ち歩きやすいサイズをはじめ、フレックスモードでのメインカメラによる自撮りなど、新しい利用スタイルが女性を中心に支持され、販売を伸ばしつつある。「Galaxy Z Flip」シリーズと同様の縦開きフォルダブルは、他メーカーからも販売されているが、「Galaxy Z Flip」シリーズは常に安定した人気を保っており、その牙城は揺るぎない。

 今回の「Galaxy Z Flip8」は、基本的に昨年の「Galaxy Z Flip7」のデザインを継承しており、パッと見では外観の違いがわからないほどだ。とは言え、ボディサイズは微妙に変更されており、本体の厚みは開いたときが0.4mm減の6.1mm、閉じたときが0.6mm減の13.1mm減に仕上げられ、重量も8gの軽量化に成功している。

「Galaxy Z Flip8」を開いた状態の背面。カバーディスプレイの上筐体と下筐体がフラットにつながる
本体下部にはUSB Type-C外部接続端子を備える。右側面(写真内左側)の電源ボタンには指紋センサーを内蔵する
本体を閉じた状態。上筐体のほとんどをカバーディスプレイが占める。タッチ操作も可能

 ディスプレイは閉じた状態のカバーディスプレイが4.1インチ、開いた状態のメインディスプレイが6.9インチで変わらない。カバーディスプレイはカメラ部を除けば、上部筐体の外側のほとんどをディスプレイが占めるデザインとなっている。メインディスプレイは「Galaxy S26 Ultra」と同サイズなので、感覚的には「Galaxy S26 Ultra」を半分に折りたたんで、持ち歩くサイズ感と言えるだろう。

本体を開いた状態で横向きにすれば、スレート形の端末と変わらず、大画面で映像コンテンツを再生できる
フレックスモードでは上半分に映像コンテンツ、下半分にコントロール画面を表示可能
「Galaxy Z Flip8」も「Galaxy Z Fold8」同様、ヒンジの開く方への張力がやや強く、フレックスモードで安定して開けるのは90~100度程度まで
SIMカードスロットは上筐体の左側面

 「Galaxy Z Flip8」が前モデルと大きく違うのは、チップセットがサムスン製Exynos 2500から「Galaxy Z Fold8 Ultra」などと同じ米Qualcomm製Snapdragon 8 Elite Gen 5 for Galaxyに変更されたことが挙げられる。チップセットとしてはCPUとNPUの性能が大幅に向上しており、AIやゲーム、エンターテインメントなどでのパフォーマンス向上が見込める。
 チップセットの変更が関係しているか否かは不明だが、カバーディスプレイで利用できる機能も変更された。従来の「Galaxy Z Flip7」ではウィジェットのような形でカバーディスプレイで[電卓]や[ボイスレコーダー]など、一部の機能を起動できるのみで、別途、「Good Lock」というアプリを追加することで、他のアプリを起動できるようにしていた。これに対し、「Galaxy Z Flip8」では[カレンダー]や[電話]、[Samsung Notes]、[Samsung Health]など、主要アプリが出荷時にカバーディスプレイから起動できるように変更された。ただし、標準で起動できるのは出荷時にセットされた一部のアプリのみで、他のアプリを起動できるようにするには、同じくGood Lock LabsがGoogle Playで配信する[MultiStar]というアプリを追加する必要がある。[MultiStar]をインストールし、起動したいアプリをメニューに追加すれば、端末を閉じたままで、各社のコード決済アプリなども起動したり、電源ボタンの長押しから[Gemini]を起動して、音声操作で各機能を利用するといった使い方ができる。

カバー画面のホームには「Now Nudge」やお気に入りのアプリを表示可能
カバー画面からアプリを起動可能だが、標準では出荷時に設定されているアプリのみ
Good Lock Labsによる「MultiStar」を追加すると、他のアプリをカバー画面から起動できるようになる
コード決済アプリなど、よく使うアプリを追加しておくと便利だ
[PayPay]を登録してみた。決済画面も表示できた

 バッテリーは従来と同じく4300mAhだが、シリコンカーボンバッテリーに変更され、おそらく本体の薄型化に貢献していると推察される。充電関連は変更なく、QC2.0対応の25W有線充電、Qi対応15Wワイヤレス充電、4.5Wのリバースチャージに対応する。有線による充電は約30分で55%まで充電が可能としている。前述の通り、チップセットが変更されたことで、駆動時間などに違いが出るかと思われたが、連続動画再生は最大31時間となっており、実用面での差はそれほどなさそうだ。

メインカメラは5000万画素イメージセンサーの広角カメラ(23mm)、1200万画素イメージセンサーの超広角カメラ(13mm)
「Galaxy Z Fold8」や「Galaxy Z Fold8 Ultra」と同じように、10倍ズームで撮影。デジタルズームなので、粗さはあるが、ライトアップされた建物の輪郭や窓越しの室内も撮影できている
「Galaxy Z Flip」は端末を閉じて、カバーディスプレイにファインダーを表示したセルフィーが可能。端末を机などに置いて、撮ることも可能
広角カメラで夜景を撮影。建物全体を明るく撮影できている
端末を閉じて、メインカメラでセルフィー。モデル:多胡うらら(Instagram:@urara.05、所属:ボンボンファミン・プロダクション

どのフォルダブルを選ぶ?

 フォルダブルスマートフォンをリードしてきたサムスンは、今年、「Galaxy Z Fold8 Ultra」「Galaxy Z Fold8」「Galaxy Z Flip8」の3機種をラインアップしてきた。横開きフォルダブルについては、2機種がラインアップされ、選択肢が拡がっている。なかでも新しいフォームファクターを採用した「Galaxy Z Fold8」は、発表直後から予約、販売がかなり好調で、サムスンオンラインショップでは一時、ストレージの容量やボディカラーによって、出荷が9月まで待たされるほどの人気ぶりだ。

 ただ、いざ購入を検討するとなると、価格も気になるところだ。報道や本誌の他の記事などでも触れられているように、今年はじめから半導体価格が高騰しており、なかでもメモリーとフラッシュメモリーは各社が奪い合うほどの状況で、スマートフォンの価格にもダイレクトに響いているのが実状だ。

 そんな中、今回の3機種はいずれのモデルもほぼ20万円からのスタートになるものの、従来モデルから10~18%程度の価格上昇に抑えられている。このあたりは端末の出荷台数が多く、自社グループ内に半導体製造部門を抱えるサムスンの強みが活かされている。
 ただ、各携帯電話会社の端末購入サポートプログラムを利用したときの価格は、月々6000円前後からのスタートで、これに加え、補償サービスの加入が必須のケースもあり、さらに月々1000円前後の負担が増える。一般的なスレート形のスマートフォンのフラッグシップモデルに比べ、数千円の負担増になってしまうわけだ。

 とは言うものの、フォルダブルはスマートフォンの可能性を拡げるフォームファクターであり、「次に買うなら、フォルダブル」と考えている人も少なくないだろう。筆者はここ数世代、「Galaxy Z Fold」シリーズを使い続けているが、ヒンジをはじめとしたボディ周りの強度は確実に向上し、安心して利用できるようになってきた。「Galaxy Z Fold6」「Galaxy Z Fold7」をそれぞれ一年ずつ使ったが、ディスプレイのフィルムは剥がれたり、浮いたりすることもなかった。最終的にはユーザー自身の使い方にも寄るが、フォルダブルに対する構造的な不安は解消されてきたと言って、差し支えないだろう。

 では、具体的にどのフォルダブルを選ぶかだが、まず、「Galaxy Z Fold8 Ultra」はフォルダブルの王道とも言える機種で、WebページからSNS、動画コンテンツ、電子書籍&電子コミックなど、幅広い用途にストレスなく、活用できる。端末を閉じた状態で手にしてみて、このレベルの厚みや幅が適切だと考えられるのなら、ファーストチョイスと言えるだろう。

 一方、「Galaxy Z Fold8 Ultra」の実機を手にして、ちょっと大きく感じられてしまうような女性、あるいはあまり手の大きくないユーザーは、「Galaxy Z Fold8」が有力な候補だ。端末を閉じた状態なら、一般的なスレート形のスマートフォンよりもコンパクトで持ち歩きやすいうえ、端末を開けば、映像コンテンツや電子書籍、電子コミックなども非常に見やすく、撮影した写真を全画面表示したときのフィット感もいい。端末としての注目度も非常に高く、いろいろな新しい使い方を試せる楽しさもある。

 「Galaxy Z Fold8」で気になる点があるとすれば、メインディスプレイを横開きのままだと、縦方向の表示が狭く、WebページやSNSなどは何度もスクロールしなければならない点だ。メインディスプレイを縦向きに持ち替えれば、縦方向の表示は広くなるが、表示の自動回転を有効にする必要がある。カメラがデュアルカメラで、望遠カメラがないこともマイナス点だが、遠景はひとまずAIデジタルズームの画像処理に期待して、撮っていくしかなさそうだ。

 縦開きフォルダブルの「Galaxy Z Flip8」は、チップセットが「Galaxy Z Fold8 Ultra」などと共通になり、パフォーマンスが向上する一方、カバーディスプレイ上でアプリを起動しやすくなり、実用性が高まったことも評価できる。ボディサイズはスリム化したが、従来モデルと比較して、外観はそれほど大きく変わったように見えない。裏を返せば、フォームファクターやデザインの完成度がそれだけ高いということだろう。
 少し気になるのは、今回の「Galaxy Z」シリーズの3機種の中で、話題性や注目度で「Galaxy Z Fold8」がリードしているため、「Galaxy Z Flip8」の存在感がやや薄らいだことだろう。「Galaxy Z Flip」シリーズはフレックスモードや折りたたんだ状態でのメインカメラ自撮りが他製品にない強みだが、これまでのモデルでも十分にアピールされてきたこともあり、今ひとつ目新しさが感じられない。カバーディスプレイでのアプリ起動やGalaxy AIの利用などをユーザーがどれだけ有用と思えるかで、選択が決まることになりそうだ。

 今年は多くのメーカーからフォルダブルスマートフォンが国内市場に投入され、ユーザーからも非常に関心が高い状況にある。そんな中、3つのフォルダブルをラインアップしてきた「Galaxy Z」シリーズだが、7世代に渡ってフォルダブルを手がけてきたGalaxyならではの強みが活かされており、どのモデルも一度は体験して欲しいモデルに仕上げられている。さて、みなさんはどのフォルダブルを選びますか?