法林岳之の「週刊モバイルCATCH UP」

「AQUOS R11」、Leica監修カメラと実用性で目指すハイエンドの新基準
2026年8月4日 00:00
シャープからハイエンドモデル「AQUOS R11」が発売された。半導体価格の高騰や急激な為替レートの変化により、国内外のスマートフォンの価格が高騰する中、シャープらしいユーザービリティを継承しながら、新基準のハイエンドモデルとして、仕上げてきた印象だ。筆者も実機を試用することができたので、レポートをお送りしよう。
猛烈なメモリー高騰の中で
ここ半年ほど、さまざまな報道でも伝えられているように、メモリーをはじめとした半導体価格が猛烈な勢いで高騰している。半導体価格が急上昇したことは過去にも何度もあったが、昨年秋頃からはじまった高騰は、AIの利用拡大を背景に、データセンターでのメモリーチップの需要が大幅に拡大したことで、「メモリーチップの奪い合い」と言われるほど、厳しい状況に陥りつつある。
ある業界関係者によれば、これまでは半導体メーカーに対し、強気で発注していたメーカーが頭を下げても発注分の一部しか確保できず、しかたなく、今まで取引がなかったほかの半導体メーカーの採用を新たに検討しなければならないほど、厳しい状況になっているという。
こうしたメモリーをはじめとした半導体の高騰は、当然のことながら、スマートフォンやパソコンの製造にも大きな影響を与えている。昨年夏の段階で、ある程度、メモリーを確保していた製品は、何とか値上げ幅を最小限に抑えられたが、今年の春頃から発売された多くの新製品は、搭載するメモリー(RAM)やストレージ(ROM)を調整したり、為替レートも考慮して、大幅な値上げに踏み切るなどの対応を迫られている。
なかでもメモリーはスマートフォンでもっとも関心が高い「AI」の動作に大きく影響するため、搭載量を減らすと、AIの処理が遅くなったり、将来的にAIで実現する機能の一部が利用できなくなってしまう可能性もある。AIデータセンターのおかげで、スマートフォンのAIが利用できなくなるとは、何とも皮肉な話だ。
そんな中、シャープからハイエンドモデル「AQUOS R11」が発売された。シャープの「AQUOS R」シリーズと言えば、同社のフラッグシップモデルとして展開されてきたが、2023年からは「AQUOS R8 pro」と「AQUOS R8」に二分化された。「AQUOS R8 pro」は「AQUOS R7」や「AQUOS R6」に続き、カメラに1インチセンサーを搭載するなど、フラッグシップの名に相応しいハイスペックモデルとして開発されたのに対し、「AQUOS R8」はややスペックを抑え、幅広いユーザーが手の届きやすい価格帯を実現したハイエンドモデルとして開発された。
翌年の「AQUOS R9 pro」と「AQUOS R9」でも同様の取り組みが継続されたが、2025年は「AQUOS R10」のみが開発され、「pro」モデルの投入は見送られた。今年の「AQUOS R11」の新製品説明会でも質疑応答で「proモデルは投入しないのか?」という質問が投げかけられたが、今年度も「pro」モデルの投入が見送られることが明らかになった。やや残念な印象もあるが、現在のようなメモリー高騰や急激な円安などの状況を鑑みると、ハイエンドモデルはスペックをやや抑えた1機種のみという判断もあながち間違っていなかったのかもしれない。
とは言え、今回の「AQUOS R11」もメモリーをはじめとする半導体の高騰や急激な円安などのコスト増の影響をもろに受けている。スペックが異なるため、一概に比較できないが、昨年の「AQUOS R10」が発売時に約10万円前後だったのに対し、今回の「AQUOS R11」は16万円前後と、約5~6万円程度の値上がりとなっており、各携帯電話会社の端末購入サポート利用時の月々の支払い額も1000円程度、上昇している。
スマートフォン選びにおいて、価格は重要な評価ポイントのひとつだが、機能やスペックと価格のバランスはこれまでと違うフェーズに入ったことを踏まえて、自分なりの評価をしていく必要がありそうだ。
丸みを帯びたボディに変更
まず、ボディから順にチェックしてみよう。「AQUOS R」シリーズの準フラッグシップモデルは、2024年以降、miyake designの三宅一成氏をデザイナーに起用。丸でも四角でもない自由曲線で描いた背面のカメラ部をひとつのアクセントとしてデザインし、2024年の「AQUOS R9」、2025年の「AQUOS R10」をそれぞれ世に送り出した。
ただ、ミッドレンジの「AQUOS sense9」や「AQUOS sense10」、エントリーの「AQUOS wish4」や「AQUOS wish5」も同様のデザインを採用しており、シャープ製端末のラインアップの統一感を求める方向性は理解できるものの、数万円の価格差がある製品が似通ってしまうことには少なからず抵抗感もあった。
今回の「AQUOS R11」も背面のカメラ部の形状が継承されているものの、後述するようにカメラが増えたり、「アカリウム」と呼ばれる新機能を搭載したこともあり、従来モデルからデザインが変更され、少し外観の印象も変わっている。ほぼ同じように見えるボディ形状も従来モデルに比べ、四隅が少し丸みを帯びた形状に変更され、より手にフィットしやすくしている。
ボタン類のレイアウトは従来モデルと同じで、右側面の電源ボタンには指紋センサーを内蔵する。生体認証は電源ボタン内蔵指紋センサーによる指紋認証に加え、顔認証にも対応し、マスク装着時のロック解除もできる。夏場はマスク装着率はあまり高くないが、医療や介護、食品など、働く現場によっては常時マスク装着が求められるケースもあり、意外に顔認証のマスク装着対応はニーズが高く、そういったユーザーのニーズにも応えられる。
また、電源ボタン内蔵指紋センサーについては、ロック解除時にそのままセンサーに指先を当てておくと、あらかじめ設定したアプリを起動できる「Payトリガー」が利用できる。各社のコード決済アプリやコンビニエンスストアのアプリなどを登録しておくと、レジ前でもまごつくことなく、アプリを起動できる。ちなみに、複数のアプリをフォルダーにまとめておき、長押しでフォルダーを開いて、必要なアプリを起動するといった使い方もできる。
耐環境性能はIPX5/8/9防水、IP6X防塵に対応。MIL-STD-810G準拠の耐衝撃、MIL-STD-810H準拠の防水、防湿、耐振動、高低温動作、温度耐久、低圧動作、氷結など15項目を合わせ、全16項目に対応する。防水で新たに追加されたIPX9は、最近、他メーカーでも対応例が増えつつあるが、0度/30度/60度/90度の4方向から80度の高温水をそれぞれ30秒ずつ高圧で噴射した後でも電話機として動作するというものだ。
一般ユーザーの日常環境で言えば、シャワーや風呂への入浴、洗車場でスチームがかかるようなケースでも耐えられることなどが想定されるが、あくまでもそういったケースに遭遇したときに耐えられるという例なので、むやみに耐久性をテストするようなことは避けるべきだろう。とは言え、MIL-STD-810Hの耐振動や温度や気圧の変化への対応も含め、さまざまな環境で活動するユーザーにとっては、安心感は大きいと言えるだろう。
バッテリーは従来モデルに比べ、100mAh増えて、5100mAhを搭載する。最大36Wの急速充電、USB PD3.0に対応し、約90分間でフル充電が可能。充電量を制御して、電池寿命を延ばしたり、発熱を緩和する「インテリジェントチャージ」に対応するほか、充電器を接続した状態での利用時に端末に直接、給電する「ダイレクト給電」にも対応する。
こうした充電環境の制御により、使用開始から3年後でも90%以上の容量が利用できるという。バッテリーの持ちについてはカタログスペック上、LTE環境での連続待受時間が約710時間と、従来モデルより、10%近く短くなっているが、連続通話時間は15%程度、長くなっている。使用頻度によって、差はあるが、実際に使ってみた印象としては、「AQUOS sense10」などに次ぐ電池持ちの良さで、2日間の利用も十分可能という印象を受けた。
一段と明るくなった6.5インチPro IGZO OLEDを搭載
ディスプレイは従来の「AQUOS R10」に続き、フルHD+対応6.5インチPro IGZO OLED(有機EL)を搭載する。対角サイズとしては、従来モデルと同じ6.5インチだが、前述の通り、ボディの四隅が丸みを帯びた形状に仕上げられたため、ディスプレイ側も四隅がわずかにラウンドした仕上がりになるなどの違いがある。ディスプレイ前面のガラスはCorning社製Gorilla Glass Victus2を採用する。
ディスプレイの仕様もわずかに違い、全白輝度が1800nit、ピーク輝度が3600nitと、従来モデルよりも明るくなっている。リフレッシュレートは従来モデルに引き続き、1~240Hzの可変駆動が可能な「なめらかハイスピード表示」に対応しており、[AQUOSトリック]内のメニューで、アプリごとに個別に動作を設定することもできる。
このほかにもディスプレイ関連では、陽射しの強い屋外でも視認性を確保する「スマートアウトドアビュー」、温かみのある自然な色合いで表示する「スマートカラーマッチング」、手に持ったり、机などに置いたりしたとき、画面点灯をコントロールする「Bright Keep」、標準動画をHDR動画のように再生する「バーチャルHDR」など、利用シーンを考慮した実用的な機能が搭載される。
チップセットはワンランク上を採用
チップセットは米Qualcomm製Snapdragon 8s Gen 4を採用する。昨年の「AQUOS R10」と一昨年の「AQUOS R9」ではSnapdragon 7+ Gen 3を搭載していたため、ワンランク上のチップセットを採用したことになる。パフォーマンスはCPUが13%UP、GPUで40%UPとされ、画像処理やゲームなどの環境で効果が期待されるが、一般的な用途での体感差はなかなか実感しにくいかもしれない。とは言え、長く利用すれば、差は出てきそうだ。
メモリーとストレージは販路によって、仕様が分かれているので注意が必要だ。NTTドコモとソフトバンクが販売するモデルがRAM 12GB/ROM 256GBという構成であるのに対し、オープン市場向けとMVNO各社が販売するモデルはRAM 12GB/ROM 512GBとなっており、ストレージの容量が2倍になっている。ちなみに、au Flex Styleで販売されているモデルは、オープン市場向けのRAM 12GB/ROM 512GBとなっている。
ストレージでもうひとつ気をつけたいのは、従来モデルと違い、外部メモリーカードに対応していない点だ。従来の「AQUOS R10」や「AQUOS R9」は本体内のストレージが256GBで、microSDメモリーカードにも対応していたため、写真や動画などのデータは外部メモリーカードに保存していたユーザーも多そうだが、「AQUOS R11」に機種変更するのであれば、必要な容量を確認したうえで、オープン市場向けモデルを検討した方がいいだろう。
ネットワークについては国内が5G NR/4G LTE(FDD&TDD)、海外はこれらに加え、3G(W-CDMA)/2G GSMが利用できる。対応バンドについては海外メーカー製端末でサポートされないことが多い5Gの「n79」、4G LTEの「Band 21」にも対応しており、国内各社のモバイルネットワークをフルに活かすことができる。5Gネットワークで徐々に拡大しつつある5G SAについては、[設定]アプリ内に[5G SAを使用]という項目が用意されており、利用することができる。NTTドコモの「5G SA」、ソフトバンクの5G SAをベースにした「Fast Access」の対応機種に明記されているほか、auの5G SAでも同様に対応機種として掲載されている。
Starlinkを利用した衛星通信も[設定]アプリ内に[衛星接続]の項目があり、各携帯電話会社の衛星通信サービスの対応機種一覧にも掲載されているため、安心して利用できる。
SIMカードはnanoSIMカードとeSIMのデュアルSIMに対応する。eSIMのクイック転送についてはメーカーのサポートページに記載がないものの、NTTドコモのWebページには対応機種として、「AQUOS R11」が明記されており、筆者がahamoのeSIMの転送を試みたところ、問題なく転送することができた。eSIMのクイック転送は相対する端末の対応状況も関係あるため、安易に明記できないのかもしれないが、やはり、メーカーと携帯電話会社側で、もう少し情報発信を心がけて欲しいところだ。
Wi-FiはIEEE 802.11a/b/g/n/ac/ax/beに準拠し、2.4GHz/5GHz/6GHzで利用することができる。Bluetooth 6.0にも対応する。非接触ICはFeliCaを搭載し、おサイフケータイの各サービスが利用できる。モバイルSuicaの対応機種一覧やマイナンバーカードのAndroidスマホ用電子証明書の対応機種にもすでに掲載されている。衛星による位置情報の測位機能は、米GPS、露GLONASS、中国BeiDou、欧州Galileo、印NavIC、日QZSS(みちびき)に対応し、いずれもデュアルバンドでも利用が可能となっている。
通信関連の機能では、Quick Shareを利用したAppleのAirDropとの送受信対応が気になるが、今回試用した端末では未対応で、iPhoneと直接、やり取りすることはできなかった。ただ、「Pixel」シリーズや「Galaxy」シリーズなど、Androidプラットフォームを採用する各社の端末が着々と対応を進めており、過去の流れから鑑みて、「AQUOS R11」をはじめとしたシャープ製端末もそう遠くない時期に対応することが予想される。
最大3回のバージョンアップに対応
プラットフォームはAndroid 16を搭載し、日本語入力はAndroid標準のGboardを採用する。アップデートについては最大3回のOSバージョンアップ、発売日から5年間のセキュリティアップデートの提供がアナウンスされている。シャープは元々、プラットフォームのアップデートに積極的に取り組んできており、今回の「AQUOS R11」も7月9日の発売後、オープン市場向けのSIMフリー版はすでに7月22日にアップデートが公開されている。
ユーザーインターフェイスはAndroidプラットフォーム標準をベースにした「AQUOS UX」を採用する。ホーム画面最下段に検索ボックス(ウィジェット)とDock、上方向にスワイプするとアプリ一覧が表示される。アプリ一覧画面は最上段によく使うアプリが表示され、インストールされているアプリはフォルダーにまとめることもできる。
ホーム画面については標準的な「AQUOS Home」、初心者にもやさしい「AQUOSかんたんホーム」、子どもやジュニア層を対象にした「AQUOSジュニアホーム」がプリインストールされるほか、NTTドコモ版については独自の「docomo LIVE UX」が搭載される。
ちなみに、今回の「AQUOS R11」といっしょに発表されたスマートウォッチ「からだメイトWatch」、スマートリング「からだメイトRing」と連動した機能もユーザーインターフェイスに組み込まれている。ホーム画面に両製品の電池残量、睡眠時間や歩数、消費カロリーなどの目標達成の状況がウィジェットで表示される。ただ、これは「AQUOS R11」で利用した場合のみで、それ以外の環境では表示されない。できれば、「からだメイトWatch」と「からだメイトRing」と連携するアプリ[からだメイト]のウィジェットとして提供し、他製品でも利用できる環境を整えて欲しいところだ。
光で知らせ、光で癒す「アカリウム」
シャープ製端末にはこれまでもユニークな機能が数多く搭載され、それらは[設定]アプリ内の[AQUOSトリック]にまとめられているが、今回の「AQUOS R11」では新たに「アカリウム」という機能が搭載されている。
アカリウムは本体背面のカメラ部中央に内蔵されたLEDライトを使い、端末の通知を伝えたり、シチュエーションに応じて、灯りと音色による演出をするというものだ。かつての折りたたみケータイなどでも端末を閉じた状態で着信をライトやサブディスプレイで通知するしくみが採用されていたが、アカリウムは忙しいときや集中したいとき、スマートフォンを裏返した状態で机に置きながらも大切な人からの連絡などは見逃さないようにするものだ。LEDライトはカメラ部中央を左右に横切る少し長めのもので、緩やかに左右に流れるように光り、着信などの通知を伝えてくれる。
また、アカリウムには着信などの通知で光るだけでなく、「くつろぎモード」という癒やしの機能も搭載される。「たき火」「せせらぎ」「こもれび」という3つのモードが用意されており、端末を裏返しておくことで、約1時間、それぞれのテーマに合わせた音と光でくつろぎのシーンを演出する。同様の癒し系の機能は一部のスマートフォンやスマートウォッチなどでも見かけるが、リラックスしたいときや入眠時などに有用な機能として、注目される。
「AQUOSトリック」には従来モデルから「迷惑電話の対策」という機能が搭載され、着信時に自動音声で応答する「電話に出る前確認」、見知らぬ相手(連絡先に未登録)からの着信時に注意を喚起する「ご注意表示」、特殊詐欺などが疑われる会話に音とバイブで知らせる「不審な会話のお知らせ」などが利用できたが、「AQUOS R11」では国際電話の発着信をブロックする「国際電話のブロック」という機能が追加された。
昨今の迷惑電話や詐欺電話では、「+1」や「+86」などの国際番号が付加された国際電話でかかってくるケースが多いが、こうした着信をまとめてブロックできるわけだ。海外に家族や友だちが居ないのであれば、通常は国際電話を利用するケースはほぼないため、こうした機能で一律ブロックできるのは有用だろう。
このほかにも周囲の雑音を抑え、クリアな声で音声通話ができる「Vocalist」、画面の左上や右上の隅を長押しするだけでスクリーンショットが撮れる「Clip Now」、位置情報に連動して、テザリングを自動的にON/OFFする「テザリングオート」など、ほかのシャープ製端末で高い評価を得てきた実用的な機能が「AQUOS R11」にも継承されている。
標準カメラと広角カメラに加え、望遠カメラを搭載
シャープは2021年の「AQUOS R6」からドイツの老舗光学機器メーカー「Leica」との協業をスタートさせ、「AQUOS R」シリーズにLeica監修カメラを搭載してきた。同時に、Leicaブランドの「LEITZ PHONE」シリーズの製造と開発も担当し、計3モデルを国内市場に送り出した。
その後、シャオミもLeica監修カメラを搭載したモデルを国内市場に投入しはじめ、今年は「Leitzphone」の名を冠したモデルもシャオミから国内向けに発売されたが、シャープとLeicaとの協業は継続しており、今回の「AQUOS R11」でもLeica製HEKTORレンズを採用したLeica監修カメラが搭載されている。
Leica監修カメラという点では従来モデルを継承した「AQUOS R11」だが、昨年の「AQUOS R10」や一昨年の「AQUOS R9」と違い、望遠カメラが搭載された点が大きく異なる。標準カメラの1/1.55インチ5030万画素イメージセンサー/F1.9(23mm)、広角カメラの1/2.55インチ5030万画素イメージセンサー/F2.2(13mm)という構成は、従来の「AQUOS R10」を継承しているが、新たに搭載された望遠カメラは1/2.88インチ3850万画素センサー/F2.4(68mm)という仕様で、焦点距離は標準カメラに対し、光学2.9倍相当で撮影ができる。
これに加え、撮影するシーンが明るい場所に限られるが、切り出しズームを組み合わせた光学5.9倍相当のズーム撮影も可能で、ワンタップでAIが被写体までの最適な距離を認識してズームする「スマートフィットズーム」も利用できる。推し活ブームの影響もあり、最近は望遠カメラのニーズが高まっているが、こうした期待に応えられるカメラと言えそうだ。
撮影モードとしては標準で「ビデオ」「写真」「その他」がセットされ、「その他」では写真の「ポートレート」「ペット」「花火」「星空」「マニュアル」、ビデオの「タイムラプス」「スロービデオ」「マニュアルビデオ」「Dolby Vision」「シネマティック」「ナイトビデオ」が選べる。それぞれのモードは「その他」の編集メニューからカメラ起動時の標準のモードに追加することができる。
撮影機能としては「タイマー」や「フィルター」などの標準的な機能のほかに、ガラス越しの撮影で映り込みを抑える「ショーケース」、料理や書類を撮影するときの影を自動で除去する「影除去」、風景に写り込んだ看板などの文字や住所表示などをマスクし、位置情報も削除する「プライバシーセーフ」などの実用性の高い機能も用意される。
「プライバシーセーフ」はSNSに投稿した写真などから、投稿者の行動が特定されるケースも少なくないが、そういったシチュエーションにも役立つ機能となっている。ただし、「プライバシーセーフ」は撮影時にオンに切り替える必要がある点だ。できれば、[フォト]アプリなどで、ワンタッチで編集できる機能も追加して欲しいところだ。
価格と機能のバランスを考えた新基準のハイエンドモデル
今年に入り、国内外のスマートフォン市場は価格高騰が続いている。国内では海外メーカーの製品が為替レートの変動によって、値上げが実施されている一方、国内メーカーも国内外から部材を調達する関係で、急激なコスト増に苦しんでいる。なかでもスマートフォンに欠かせないメモリーは、AIデータセンターでの需要増から、猛烈な勢いで価格が高騰し、これまでにないほどの開発コスト増につながっている。
今回のシャープ製スマートフォン「AQUOS R11」もこうした影響から、従来モデルに比べ、大幅に価格上昇を強いられることになった。購入を検討していたユーザーにとっては厳しいが、そんな中、シャープはユーザーに求められる内容をしっかりと吟味し、購入したユーザーが納得できる「ハイエンドモデル」として、仕上げてきた印象だ。
従来モデルとの比較で言えば、チップセットの性能向上、望遠カメラの追加などがスペック面でのトピックだが、「アカリウム」という光を活かした新しい機能をはじめ、迷惑電話対策として「国際電話のブロック」を追加したり、ワンタップで最適な撮影距離にズームする「スマートフィットズーム」、AIで自動的に文字情報をマスクする「プライバシーセーフ」など、ユーザーの利用シーンをしっかりと考慮した機能を搭載している。
フォルダブルのような派手さはないが、価格と機能のバランスに優れ、多くのユーザーが満足できるハイエンドモデルに仕上げられているという印象だ。堅実なハイエンドモデルを選びたいユーザーなら、ぜひチェックしておきたい一台と言えるだろう。




























