法林岳之の「週刊モバイルCATCH UP」
「Redmi Note 11」、2万円台でトリプルスロット搭載の高コスパモデル
2022年3月29日 00:00
コストパフォーマンスの高いモデルを次々と投入し、国内市場でも着実に支持を広げているシャオミから、2万円台で購入できるコストパフォーマンスの高いモデル「Redmi Note 11」が国内向けに発売された。筆者も実機を試すことができたので、レポートをお送りしよう。
国内向けラインアップを拡充するシャオミ
2019年に国内市場に参入した中国のシャオミ。オープン市場向けだけでなく、au向けやソフトバンク向けにキャリアモデルも供給するなど、着実にラインアップを拡充しつつある。グローバル市場では、アップルとシェア第2位を激しく争っており、2021年通年の統計では第3位を記録している。ウェアラブル製品も国内市場でMi Bandシリーズが好調で、3月18日からはスマートウォッチ「Xiaomi Watch S1」の販売も開始されている。
今回発売された「Redmi Note 11」は、今年1月にグローバル向けに発表された「Redmi Note 11」シリーズ4機種のうちの1機種になる。
国内市場向けのRedmi Noteシリーズは、2020年6月発売の「Redmi Note 9S」を皮切りに、2021年2月にはソフトバンク向け「Redmi Note 9T」とオープン市場向けの「Redmi 9T」、同年4月には「Redmi Note 10 Pro」、同年8月にはおサイフケータイや防水などの日本仕様を実現したau向けの「Redmi Note 10 JE」と、多くのモデルを投入してきている。
シャオミによれば、Redmi Noteシリーズはフラッグシップモデルに搭載されている機能やスペックをいち早くミッドレンジに投入するシリーズに位置付けられており、これまでも高画素カメラや急速充電などを各モデルに搭載してきている。
ちなみに、国内市場参入時に投入された「Mi Note 10」シリーズなどのフラッグシップモデルのラインは、昨年7月発売の「Mi 11 Lite 5G」、昨年11月発売の「Xiaomi 11T Pro」「Xiaomi 11T」に受け継がれており、Redmi Noteシリーズに比べ、価格もスペックも一段、高くなっている。
今回の「Redmi Note 11」はオープン市場向けのSIMフリーモデルで、価格は2万4800円(シャオミ公式ストア価格)と、かなりリーズナブルな設定となっている。MVNO各社の新規契約に伴う販売施策を利用すれば、ほとんど負担のない価格で入手することも可能だ。
独特の背面仕上げのボディ
まず、外観からチェックしてみよう。ボディは幅73.87mm、薄さ8.09mmの標準的なサイズで、大きくもなく、小さくもなく、スタンダードなサイズにまとめられている。iPhone 13などに近いサイズ感と言えそうだ。
外観で特徴的なのは背面で、今回試用したトワイライトブルーは、サンド仕上げのような指紋の付きにくい加工が施されている。
ちょうど同じタイミングで、Impress Watch Videoの「法林岳之のケータイしようぜ!! #662」でも「Redmi Note 11」を取り上げ、その際、ほかのカラーバリエーションもチェックしたが、スターブルーはラメの入ったような仕上がりで、華やかな印象を受けた。高級感のあるガラス仕上げも魅力だが、日常的に手で触れるものであることを考慮すると、指紋の付きにくい仕上げも実用的だ。
防水防塵には対応していないが、IP53準拠となっているため、実質的には多少、降雨があっても影響を受けない防滴レベルだと考えておきたい。
ちなみに、パッケージにはクリアタイプの保護ケース(試供品)が付属しており、購入直後から装着して利用できる。安価な市販品も販売されているが、Redmi Note 11シリーズはバリエーションが多いため、よく確認したうえで購入することをおすすめしたい。
本体右側面には電源ボタンと音量ボタンを備え、電源ボタンには指紋センサーを内蔵する。
画面オフ時、電源ボタンによる指紋認証は、タッチのみとボタン押下を選ぶことができるほか、ロック画面の解除だけでなく、プライバシーパスワードやアプリロックなどにも利用できる。顔認証にも対応するが、マスクを装着しての認証には対応しないため、基本的には指紋センサーによるロック解除を利用することになる。
ディスプレイは6.43インチのフルHD+対応有機EL(AMOLED)ディスプレイを採用する。この価格帯の端末で、フルHD+対応の有機ELディスプレイが搭載されるケースは少なく、コントラスト比450万:1、ピーク輝度1000nit、DCI-P3広色域対応といった高スペックとも相まって、ディスプレイだけでも他製品に対する大きなアドバンテージとなっている。
リフレッシュレートは最大90Hz対応、タッチサンプリングレートが最大180Hz対応となっており、動画コンテンツはもちろん、ゲームなども十分、楽しく遊べる。屋外での視認性を考慮した「太陽光モード」、電子書籍などを読むときに目に優しい「読書モード3.0」などの表示モードも備える。ちなみに、出荷時には実使用が可能な保護フィルムが貼られているため、購入直後はそのまま使うことができる。
5000mAh大容量バッテリーを61分でフル充電
チップセットは米Qualcomm製Snapdragon 680を採用し、4GB RAMと128GB ROMを搭載。最大512GBまでのmicroSDメモリーカードを装着することもできる。
Snapdragon 680は昨年11月に発表されたばかりのチップセットで、6nmのプロセスルールで製造される。他製品での採用例はあまり多くないが、モデムが4Gまでの対応ということで、4G対応の普及価格帯のモデルに搭載されるチップセットという位置付けだ。一般的な用途であれば、ストレスなく使え、安定して利用できる印象だ。
本体には5000mAhの大容量バッテリーを内蔵し、シャオミによれば、一般的な利用で2日間以上のバッテリー持ちが可能だという。今回の試用でもバッテリー残量の減りは緩やかな印象で、残量をあまり気にせず、使うことができた。
ちなみに、内蔵バッテリーは一時期、3000mAhクラスがひとつの目安とされ、最近では4000mAhクラスのバッテリーが主流になりつつあるが、今回の「Redmi Note 11」を含め、シャオミは昨年来、発売する各モデルに5000mAhバッテリーを搭載しており、同社製端末の特徴になりつつある。
バッテリー容量が大きくなることで、バッテリー消費時は充電時間が長くなるが、「Redmi Note 11」は最大33Wの急速充電に対応しており、バッテリー残量がない状態から約61分でフル充電が可能としている。
パッケージには33W対応のACアダプタ、USB Type-Cケーブルが付属する。使い方にもよるが、ある程度、バッテリー残量が減ってから、急速充電で短時間で充電するといった使い方が可能だ。
4G対応ながら、トリプルスロット搭載
国内では2020年3月から各社の5Gサービスが開始され、IIJmioやmineoなど、MVNO各社も5Gオプションの提供を開始しており、国内で販売される端末は5G対応端末が主流になりつつある。
そんな中、今回発売された「Redmi Note 11」は、前述のように、4Gまでに対応したチップセットを採用している。「このタイミングで5G対応じゃないのは……」というのが率直な感想で、端末を長く使うことを考えると、少し気になるところだ。
しかし、5Gネットワークを利用できるメリットは、各携帯電話会社でデータ通信使い放題の料金プランが選べるなど、限定的だ。そのうえ、主要3社と主要3社のネットワークを利用するMVNO各社については、4Gに割り当てられた周波数帯域も豊富なため、「当面は4G対応端末で十分」という考え方もできる。昨今、伝えられる「5G/4G切り替え時の不安定さ」や「パケ止まり」も気にせずに済む。
将来的に5Gネットワークが主流になり、5G対応端末への切り替えも検討するだろうが、必要になった段階で切り替えるという考えもアリだ。
「Redmi Note 11」は4G対応という制約がある一方、通信関連でプラス要素と言えるのがDSDV対応でトリプルスロット搭載である点だ。DSDV対応端末は2枚のSIMカードを装着できるが、実際には2枚目のSIMカードがmicroSDメモリーカードと排他利用となっている機種がほとんどだ。
その点、「Redmi Note 11」は2枚のnanoSIMカードと1枚のmicroSDカードを同時に装着できるため、必ず2回線を利用したいユーザーにとってはうれしい仕様となっている。
こうした仕様の端末は種類が少なく、国内向けでは同じシャオミの「Redmi Note 10 Pro」や「Redmi 9T」、ASUSの「ZenFone 8 Flip」、OPPOの「OPPO A54」など、選択肢が限られており、eSIMの普及とともに、今後は減る傾向にあると予想される。
5000万画素カメラを含むクアッドカメラを搭載
カメラについては背面に5000万画素カメラを含むクアッドカメラ、前面のディスプレイ上部のパンチホール内に1300万画素フロントカメラをそれぞれ搭載する。
背面の上段に備えられたメインカメラは、5000万画素のイメージセンサーとF1.8のレンズを組み合わせた広角カメラで、出荷時設定では4つの画素を1つとして撮影するビニングにより、1250万画素相当(3072×4080ドット)で撮影する。
カメラ起動時に撮影モードを[もっと見る]に切り替え、[50M]を選ぶと、フルに画素を活かした5000万画素(6144×8160ドット)で撮影する。実際に写真を撮り比べてみると、昼間であれば、それほど大きな違いはない。ポートレートを選ぶと、1250万画素相当での撮影に切り替わる。
背面のメインカメラの下に備えられた3つのカメラは、ひとつが800万画素/F2.2の超広角カメラ、もうひとつが200万画素/F2.4マクロカメラ、残りひとつが200万画素/F2.4の深度センサーという構成になっている。超広角カメラはカメラ起動時に中央下段の[0.6X]を選ぶと有効になり、約118度のワイドな写真を撮ることができる。
撮影モードとしては[写真]や[ポートレート]のほかに、[ビデオ]や[プロ]が用意され、[もっと見る]では[ドキュメント][夜景][スローモーション][タイムラプス]なども選ぶことができる。
スマートフォンのカメラの方向性はさまざまだが、「Redmi Note 11」のカメラは日常を普通に撮るカメラとしては十分な性能を持っているという印象だ。ポートレート撮影時の人物の浮かび上がり具合いは、少し強すぎる印象もあるものの、誰でも簡単に仕上がりのいい写真が撮ることができるのはメリットだ。あまり技術的に難しいことを考えず、手軽に撮影を楽しめるカメラと言えそうだ。
撮った写真はシャオミ独自の[ギャラリー]アプリを利用する。国内外の多くの端末がGoogleの[フォト]アプリに切り替える中、シャオミは中国市場に展開する事情などもあり、独自アプリを搭載した格好だが、[ギャラリー]アプリ内でコラージュを作成したり、[ビデオエディター]で動画を編集できるなど、オリジナルであるがゆえの特長も持ち合わせている。
Android 11ベースのMIUI 13を搭載
プラットフォームはAndroid 11ベースの「MIUI 13」を搭載する。シャオミをはじめ、OPPOやファーウェイなど、中国のメーカー製端末ではAndroidプラットフォームを採用しながら、独自のUIアプリを搭載しているが、UIアプリはホームアプリよりも広範囲がカスタマイズされているため、使い勝手もやや独特な印象を受ける。
たとえば、[設定]アプリの項目や順序が違っていたり、通知パネル(コントロールセンター)のデザインなども異なる。ただ、基本的な使い勝手はAndroidプラットフォームと共通で、カスタマイズできる項目も多いため、自分の使い方に合わせたユーザーインターフェイスに仕上げていくことも可能だ。
逆に、独自のUIアプリだからこそ、実現できた機能も搭載される。たとえば、一般的なAndroidスマートフォンが36カ月の利用でストレージが断片化し、50%の速度低下が見られるのに対し、MIUI 13の「Liquid Strage」と呼ばれるファイルシステムでは、ストレージの断片化を低減し、36カ月後でも出荷時の95%の読み込み/書き込み速度を確保しているという。
このほかにも、バックグラウンドでの動作を制御することで、RAMの最適化を行う「Atomized Memory」、プロセッサの優先順位を最適化する「Focused Algorithm」、パフォーマンスとバッテリーの最適化を図る「Smart Balance」なども搭載される。ただし、発表時にアナウンスされていた「Slidebar」は未実装のようで、今後のアップデートで追加を待ちたい。
鮮やかな有機ELディスプレイ、5000万画素カメラ、トリプルスロットでお買い得
シャオミが国内に参入して、すでに2年半が経過しているが、これまでの端末を振り返ってもわかるように、全体的にコストパフォーマンスの高いモデルが多い。
今回の「Redmi Note 11」も2万円台半ばの価格設定ながら、鮮やかで視認性に優れた有機ELディスプレイ、ポートレートなども楽しい5000万画素クアッドカメラ、トリプルスロットを搭載したDSDVなど、同クラスの製品に比べ、ワンクラス上の仕様を実現しており、かなりお買い得感の高いモデルに仕上げられている。
モバイルネットワークの対応が4Gまでという制約はあるものの、MVNO各社のサービスを利用するのであれば、当面は4G対応端末を使うという割り切った選択もアリだろう。
また、製品そのものとは少し話が離れてしまうが、シャオミは2022年に国内向けの体制を強化することを明言しており、販売やプロモーションなども今まで以上に拡充される見込みだ。どちらかと言えば、オンラインでの展開に注力してきたシャオミだが、今後は多くの家電量販店の店頭でもデモ機などに触れられる環境が整っていくことになりそうだ。
今回の「Redmi Note 11」を皮切りに、今後、シャオミが国内市場向けにどのような製品を投入してくるのかを楽しみにしたい。