レビュー

シャオミ「Redmi Note 11」のカメラを試す――お手ごろな価格の一台

 シャオミ(Xiaomi)の「Redmi」ブランドから、買いやすい価格のAndroidスマートフォン「Redmi Note 11」が登場した。

 この「Redmi Note 11」は直販価格で2万円台という低価格でありながら、FHD+(2400×1080ドット)という高解像度の有機ELディスプレイを採用し、注目のカメラ部は4つのリアカメラを搭載している。今回はそのカメラを試してみた。

 なお、基本的な仕様、スペックなどは本紙別記事を参照していただきたい。

直販サイトにおける「Redmi Note 11」の価格
モデル価格
4GB+64GB24,800円

シンプルで好感が持てる「Redmi Note 11」

 「Redmi Note 11」は、直販で2万円台と非常に戦略的な価格のスマートフォンだが、端末を手にしてみるとチープな印象を感じることはない。

 ボディ表面は指紋や汚れなどが目立ちにくいように細かいマット処理が施されていて、薄くて軽く、指紋認証もそこそこスムーズで撮影態勢に入るのもさほど苦労はない。

 カメラユニット部はやや出っ張っているが、フラットな形状なのでジーンズのポケットに入れても出し入れ時に引っかかることはなかった。

 6.43インチの有機ELディスプレイは2400×1080のフルHD+表示かつ90Hzのリフレッシュレートとなかなかである。輝度も1000nitと明るく屋外でも見やすかった。動作スピードも爆速ではないが快適で、ここまでは「お値段以上」という印象を持った。

「Redmi Note 11」のカメラユニットは?

 「Redmi Note 11」のアウトカメラは4眼仕様。メインの広角カメラ、超広角カメラ、マクロカメラ、深度センサーのクアッド構成だ。

 画素数はそれぞれF1.8の約5000万画素、F2.2の約800万画素、F2.4の約200万画素、F2.4の約200万画素となる。AIによるコンピュテーショナルフォトグラフィー、ポートレートモード機能などを搭載している。カメラユニット部には誇らしげに「50MP」の文字が躍る。

設定画面

 カメラ画面や機能の設定画面はオーソドックスだ。ややノンビリとしたカメラ起動は、ハイエンド機をふだん使っているとやや待たされる印象がある。

 撮影の設定は、画面右側上部にあるメニューからさまざまなセッティングを行える。

撮影画面はいたってシンプル。Android機らしい見慣れたファインダーとなる
「プロ」モードではホワイトバランス、ISO感度、露出補正などを設定可能。おなじみの画面である
「ポートレートモード」の画面。絞りアイコンをタップするとスクリーンショットにあるようなゲージが現れる。F1.0からF16まで、擬似的なボケ効果を出した撮影が可能だ
画面上部にあるフィルターメニューを選んだところ。ノーマル含め14種類の効果を持ったフィルターをかけられる
上からアスペクト比、セルフタイマー、詳細設定などの項目が並ぶ

各カメラの写りと画角をチェック

 4眼カメラ(1つは深度センサ−)を持つ「Redmi Note 11」。

 カメラ画面では「1X」「0.6X」「2X」のドットをタップしての切り替えが可能。長押しするとスライダーが出現し、「1X」から「10X」まで無段階に撮影範囲を変えることができる。

 「1X」と「0.6X」の切り替えはややもたつく印象。カメラ間の色味が異なるのは残念。ズームは「4X」くらいまでなら用途によっては使えるかなあ、という感じか。

0.6X
1X
2X
4X
6X
8X
10X

50メガピクセルの写りはどうか?

 50メガピクセルでの撮影は、カメラ画面から「50M」をタップして行う。通常のカメラと比較して動作速度に低下は見られないが、ファイルサイズが約4倍程度になるのでストレージ残量に注意が必要だ。

 50メガピクセルでの画質はまずまずで、ディテールの再現性も端末の価格を考えれば健闘しているという印象だ。

50MPで
ノーマルの約12MPで

「AI」の効きはいかに?

 カメラ画面上部にある「AI」をタップすると「AIカメラ」機能がオンになる。逆光時や露出決定が難しい場合のアシストや、シーン判別によって被写体を的確に表現できるなど、できれば常にオンにしておいた方がいいと感じた機能だ。

「AI」オンで古民家の室内で撮影したロウ細工の食品見本。器の明るさや食べ物の色合いが鮮やか
「AI」オフで撮影するとご覧のとおり。暗くメリハリのない写真になった。常にオンで撮影した方がさまざまなシーンでいい結果が得られるだろう

実写

 「Redmi Note 11」のカメラは上でも解説したとおり、常に「AI」オンで撮影した方がいい仕上がりになる印象だ。

 また、カメラ間の切り替えがややもたつくので、シャッターチャンスを逃さないようにスナップ撮影などの場合は周囲に注意を払って、ワンテンポ先に動くなどしたい。

 さらに、超広角カメラと広角カメラで、発色とオートホワイトバランスが落ち着くまでの時間差が見られたので注意が必要だ。

昔ながらの喫茶店でサンドイッチを撮った。LEDと外光のミックスという環境だったが、やや明るめに寒色系の仕上がりになった。マクロでなくても寄れる広角カメラは使い勝手がいい
古民家にあった大きな壷をポートレートモードで。AIによる境界判定だがしっかりと壷を背景と分離してくれた
「AI」オンにして逆光で古い日本家屋を撮ったが、シャドウ部も潰れずいい雰囲気のカットになった。近ごろのハイエンド機と比較すると色味が浅い印象を受ける
「Redmi Note 11」はやはり常に「AI」オンで撮影した方がいい結果が得られそうだ。特に、周囲の明るさの影響を受けやすい超広角カメラのように、画角が広い場合はなおさらである
強い点光源が画面内にあるとフレアが発生するが、なかなか味のある出方なので個人的に気に入っている。ちょっとフィルムカメラっぽい雰囲気が味わえる
「プロ」モードで渋谷のスクランブル交差点を撮った。スローシャッターにすれば行き交う人たちをブラして表現できるからだ
世田谷にある三重塔。あっさり目の色合いが新鮮に感じる。ひと世代前の画質に感じるが、価格を考えれば上出来、といった感じだろうか
約800万画素の超広角カメラはワイド感を存分に楽しめる。二子玉川の河川敷もご覧のように広大に写せた。できればもっとカリッとした解像感が欲しいところ
多摩川を渡る新幹線を橋の上から。遠景はややシャープさに欠けるが、SNSやブログに使うカットならば問題にならない感じ。曇天の暗い感じも見た目通りに撮ることができた
フィルターも数多く備えるので、好みに応じて使いこなしたい。モノクロームの「B&W」と「クラシック」がいい感じであった
マクロモードはこのようにググッと被写体に接近できるが、いかんせん約200万画素というのが残念である。またメニュー内に入っての切り替えが必要なので使い勝手もイマイチだ
ようやく暖かくなって春の訪れを感じるこの頃。ポートレートモードの境界判定は意外によく、しっかりと花を浮かび上がらせてくれた

まとめ

 「Redmi Note 11」は直販2万円台という価格を考えると「お値段以上」という印象だ。

 カメラの切り替えがもたつく点、色味が異なる点などに眼をつぶれれば、納得できる製品なのではないだろうか。購入を検討している人は、ほかのハイエンド機を触らずに「Redmi Note 11」のみを手にして買うといいだろう。