法林岳之の「週刊モバイルCATCH UP」

デュアルスクリーンで拡がる新しいモバイルの世界――「Surface Duo 2」レビュー

 日本マイクロソフトは、2021年9月にグローバル向けに発表していた2画面スマートフォン「Surface Duo 2」を、1月11日、国内向けに発売した。米国ではすでに販売されているモデルだが、筆者も実機を試すことができたので、レポートをお送りしよう。

スマートフォンに求められる新しいスタイル

 この十数年、国内外の市場ではさまざまなスマートフォンが投入されてきた。単純にメーカーやブランドだけでなく、プラットフォームやデザイン、形状、スタイルなどもいくつかのバリエーションが存在した。

 なかにはキーボード付きなど、ユニークな製品も登場したが、徐々にそのバリエーションは集約され、最近はほとんどの機種が前面のほとんどをディスプレイが占めるスレート(板状)型のボディを採用している。

 そのためか、「どの機種も代わり映えがしない」「スマートフォンがつまらなくなった」といった声が聞かれることも少なくない。

 そんな中、スマートフォンの新しいスタイルとして、注目を集めているのが「折りたたみ」だ。折りたたんだときはコンパクトだが、本体を開くと、大画面で利用できるという特長を持つ。

 これまで市場には、大きく分けて、2つの形状の折りたたみスマートフォンが登場した。

 ひとつはかつてのケータイのように縦方向に開くタイプで、モトローラの「moto RAZR 5G」、サムスンの「Galaxy Z Flip3 5G」などが該当する。

 もうひとつは本のように横開きにすることで、大画面で利用できるというもので、サムスンの「Galaxy Z Fold3 5G」、OPPOが中国向けに発表した「OPPO Find N」などがある。

 少し変わった手法としては、スマートフォン市場から撤退が発表されてしまったが、LGエレクトロニクスの「LG V60 ThinQ 5G」や「LG VELVET」は、一般的なスレート型のスマートフォンに、ディスプレイ付きケースを用意することで、折りたたみスマートフォンを実現していた。

 今回、国内向けに発売されたマイクロソフトの「Surface Duo 2」は、横開きの折りたたみスマートフォンだが、「moto RAZR 5G」や「Galaxy Z Fold」シリーズのような1枚の有機ELディスプレイを折り曲げる構造ではなく、2つのスレート型の筐体をヒンジでつなぎ、それぞれに5.8インチの有機ELディスプレイを搭載することで、折りたたみデザインを実現している。

 端末を開いたときは5.8インチディスプレイの2画面、もしくは8.3インチ相当の大画面ディスプレイで、さまざまなアプリやコンテンツを利用できるようにしたスマートフォンになる。

マイクロソフト「Surface Duo 2」、開いた状態:約145.2mm(高さ)×184.5mm(幅)×5.5mm(厚さ)、閉じた状態:約145.2mm(高さ)×92.1mm(幅)×11.0mm(厚さ)、約284(重さ)、オプシディアン(写真)、グレイシアをラインアップ

 こうしたデザインや形状のスマートフォンが注目を集める背景には、スマートフォンの使い方が多様化してきたことが挙げられる。

 初期のスマートフォンはメールやWebページの閲覧などが中心で、国内ではケータイで支持されていた防水防塵やおサイフケータイといった機能が取り込まれたことで、本格的な普及が進んだが、その後はSNSや動画視聴の普及でスマートフォンの利用時間が一段と長くなり、SNSに見映えのする写真を投稿するためにカメラが大きく進化したり、動画視聴などのためにディスプレイサイズの大型化が進んだ。

 同時に、生活や仕事に欠かせないアプリが充実してきたことで、「○○をしながら、△△をする」といった使い方が増え、大画面ディスプレイを活かすために、複数のアプリを同時に動作させ、切り替えながら使うシーンも増えてきた。

 こうした多様なニーズや新しい利用スタイルに応えるため、あらためてスマートフォンの形やデザイン、スタイルが見直され、そのひとつの方向性として、折りたたみデザインが示されているわけだ。

マイクロソフトのAndroidスマートフォン

 国内向けに発売されることになった「Surface Duo 2」だが、初代モデル「Surface Duo」(日本未発売)に引き続き、プラットフォームとして、Androidを採用している。「Surface Duo 2」に搭載されるAndroid 11は、一般的なAndroidスマートフォンとまったく同じものであり、当然のことながら、Google Playなども利用できる。

 あらためて説明するまでもないが、マイクロソフトはパソコン向けなどのWindowsを提供する企業であり、スマートフォン向けの「Windows Phone」や「Windows Mobile」などはすでに開発を終了している。

 そんなマイクロソフトがAndroidプラットフォームを採用することを不思議に思うかもしれないが、現在のマイクロソフトは単にWindowsやOfficeなどを提供するソフトウェアベンダーというより、Microsoft 365やOneDrive、Azureなど、数多くのクラウドサービスを提供する企業であり、特定のプラットフォームに依存した製品やサービスを提供する企業ではなくなっている。

 同社が掲げる「地球上のすべての個人とすべての組織が、より多くのことを達成できるようにする/Empower every person and every organization on the planet to achieve more.」という企業ミッションからもわかるように、ビジネスや教育、生活、エンターテインメントなど、さまざまな分野でユーザーがさまざまな目的を達成できることを目標としている。

 その目標達成に必要であれば、他社が提供するプラットフォームも採用するという姿勢であり、それが「Surface Duo 2」のAndroidプラットフォーム採用に結び付いている。

 ちなみに、本格的な展開は今年以降になるが、マイクロソフトはWindows 11において、Androidプラットフォームのアプリを利用できる環境を準備している。

 マイクロソフトはGalaxyシリーズを展開するサムスンとも戦略的な提携をしており、今後、WindowsパソコンとAndroidスマートフォンは、よりシームレスに利用できる環境が整っていくと見られる。

 対するグーグル(Google)は、Chromebookでリーズナブルな価格帯のパソコン市場を開拓するなどの動きもあるが、基本的にはオープンな方向性を示しており、特にマイクロソフトを拒否するような姿勢は見せていない。むしろ、マイクロソフトというプレイヤーが加わることで、市場が活性化することを歓迎しているようだ。

 一部のメディアなどで見かける「プラットフォームの覇権争い」というような解釈は、すでに陳腐化したものとも言えるわけだ。

 こうした各社の動きに対称的なのがアップルで、自社のプラットフォームやサービスで構成することで、統一した世界観やユーザー体験を提供しようとしている。

 今後、こうした各社の姿勢がどのように市場に影響してくるのかが注目される。

薄型筐体を重ねたボディ

 さて、実機を見ながら、「Surface Duo 2」の印象について、チェックしてみよう。今回は米国版(技適取得済み)を試用したため、国内向けモデルとは差異があるかもしれない点はお断りしておく。詳細なスペックについては、本誌の速報記事及びマイクロソフトの製品ページを参照していただきたい。

 まず、ボディは前述の通り、2つの筐体をヒンジでつないだ折りたたみデザインを採用する。ヒンジは本体の上端と下端にひとつずつ備えられており、非常にシンプルな構造のように見受けられる。

本体を開いた状態。2つの筐体がヒンジでつながれている構造

 ボディはGalaxy Z Fold3をはじめ、有機ELディスプレイを折り曲げる構造を採用した折りたたみスマートフォンと違い、本体を開いた状態で筐体が5.5mmと薄く、閉じた状態でも11mm程度しかない。背面のカメラ部がやや突起しているが、その部分でも約8.2mm、端末を閉じた状態で約14mm(いずれも実測値)に抑えられている。

 これに対し、本体を閉じたときのボディの幅は、大画面ディスプレイを搭載した一般的なスマートフォンの約70~75mmよりもワイドな約92.1mmとなっている。

 実際に、「Surface Duo 2」を持ったときのサイズ感としては、A6判の文庫本(105mm×148mm)に近いが、厚みは文庫本よりもスリムだ。ちなみに、重量は284gなので、一般的なスマートフォンに比べると、少し重いが、本体が平たくスリムなため、それほどの重厚感はない。

本体を閉じた状態。表面にはSurfaceシリーズでおなじみのロゴがプリントされている。サイズはA6判の文庫本に近い

 本体を閉じた状態では、左右の筐体のディスプレイがほぼぴったりと合わさる形になるが、本体側面のディスプレイ側にわずかな段差が付けられ、側面部分もほぼフラットなため、両手で持てば、すんなりと開ける。逆に、片手で開くような凹みにはなっていない。開閉もスムーズで、開閉の途中で、半開きのような状態にもできる。

 本体を開いたときの右側の筐体には、電源キーと音量キーが備えられており、電源キーには指紋センサーが内蔵されている。端末を手に持ち、開こうとするときに電源キー付近に親指が触れるため、親指の指紋を登録し、本体を開いて持ったときのために、右手の人さし指などを追加で登録しておくことになりそうだ。

本体を閉じた状態の右側面。カメラの突起は約3mm程度。側面には電源ボタンと音量キーを備え、電源ボタンには指紋センサーを内蔵する
指紋センサーへの登録は初期設定時から可能

 右側筐体の下部には、USB 3.2 Gen2対応USB Type-C外部接続端子を備え、オプションとして販売される「Surface 23W USB-C 電源アダプター」を接続しての急速充電に対応する。バッテリーは標準で4449mAh、最小で4340mAhの容量を搭載しているが、デュアルバッテリーと記載されていることからもわかるように、左右の筐体それぞれにバッテリーが内蔵されている。

縦横比「3:2」に近いディスプレイ

 Surface Duo 2は前述のように、本体前面に2枚の5.8インチの有機ELディスプレイを搭載しており、本体を開いた状態では8.3インチ相当の表示が可能だが、これまでのAndroidスマートフォンとは少し印象が異なる。

 その理由のひとつが縦横比の違いだ。現在、多くのAndroidスマートフォンは横向きの画面で映像コンテンツを視聴しやすいということもあり、「21:9」や「19:9」といった縦横比のディスプレイを搭載している。

 これに対し、「Surface Duo 2」は5.8インチディスプレイが1344×1892ドット表示で、縦横比「13:9」となっている。

 本体を開いたときの解像度はちょうど2倍になるため、2688×1892ドット表示だが、中央のヒンジ部分を含めた画面の実寸は縦が約12cm、横が約17.5cmとなっている。

 この縦横比はマイクロソフトがパソコンのSurfaceシリーズで採用してきた縦横比「3:2」の画面に近いもので、どちらかと言えば、文書表示などに適している印象だ。最近、ノートパソコンでも縦横比「3:2」のディスプレイを搭載したモデルが増えてきており、スマートフォンにもこの流れが来ることになるのかもしれない。

 「Surface Duo 2」のディスプレイは、本体を開いた状態で使うが、実は片方のディスプレイを反対側に180度、回転させることもできる。つまり、本体と閉じたときの同じサイズで片方の画面のみを有効にできるため、一般的なスマートフォンと同じように(少し幅広だが)、片手で持って操作することが可能だ。

本体を閉じた状態から、約360度、反転させることも可能。カメラ部分の突起があるため、背面同士がぴったりと重なるわけではないが、実用上はあまり気にならない
反転状態では一般的なスマートフォン(少しワイドだが……)と同じように、片手で持って操作が可能

 ちなみに、標準では反転折りたたみ時は右側の筐体のディスプレイが有効になるが、反対側の画面を表にしたときは画面のダブルタップで表示を切り替えることができる。

 また、端末を閉じた状態のとき、ヒンジ側には両方のディスプレイのエッジ部分がわずかに見えるようになっており、ここに時刻や通知を表示することができる。USB Type-C外部接続端子に電源アダプタを接続したときも白いバーが表示され、端末を閉じた状態でもバッテリー残量を確認できるなど、細かい工夫が見られる。

ヒンジ部分の外側には2つのディスプレイのエッジ部分が合わさって表示され、通知などを確認できる
ヒンジ部分の表示は[設定]アプリ内の[Surface Duoの機能]で設定が可能

 さらに、「Surface Duo 2」のディスプレイは、Surfaceペンによる手書き入力にも対応する。アクセサリーとして、「Surfaceスリムペン2」も販売されており、「Surface Duo 2ペンカバー」を利用すれば、ペンをマグネットで格納(装着)して、持ち歩くこともできる。

 今回は筆者が持つ他のSurfaceペンをペアリングして試したが、簡単に手書きのメモを取ることができた。ちなみに、手書きアプリはマイクロソフトの「OneNote」が標準でインストールされている。

Surfaceペンを使い、OneNoteに手書き入力が可能

2画面をどう活かすか

 2画面による折りたたみデザインを採用した「Surface Duo 2」だが、ユーザーインターフェイスについて、少し触れておこう。

 ホーム画面は本体左画面に時計や検索ボックス、右画面にはアプリのアイコンが並ぶ。最下部にはDockが表示され、出荷時は「Microsoft Edge」「OneNote」「Outlook」などが設定されている。

デュアルスクリーンは左画面に時計や検索ボックスなどが表示される。右画面で上方向にスワイプすると、アプリ一覧が表示され、右画面のDockのアプリは左画面にまとめられる

 画面最上部から下方向にスワイプすれば通知パネル、画面を上方向にスワイプすればアプリ一覧がそれぞれ表示される。ちなみに、通知パネルやアプリ一覧は左右どちらの画面を操作しても同じように表示される。このあたりのユーザーインターフェイスは、一般的なAndroidスマートフォンと基本的に変わらない。

通知パネルは画面の明るさと音量のスライドバーが大きめで、操作しやすい
[設定]アプリは一般的なAndroidスマートフォンと基本的に変わらない

 アプリはそれぞれ起動した側の画面に表示される。たとえば、左側でMicrosoft Edgeのアイコンをタップすれば、左側の画面にWebページが表示され、右側の画面でGoogleマップを起動すれば、地図が表示されるといった具合いだ。それぞれの画面でアプリを起動すれば、左画面にWebページ、右画面に地図といった表示もできる。

Microsoft EdgeでWebページを表示したまま、右画面ではGoogleマップを起動

 出荷時設定では右画面に「Edge|OneNote」のショートカットが用意されており、これをタップすると、左画面にWebページ、右画面にOneNoteを表示できる。

 これは「アプリグループ」と呼ばれるもので、同時に起動したいアプリをロングタップし、表示されたメニューで「グループ」をタップして、「別のアプリ」を選択すると、2つのアプリをペアリングしたショートカットを作成できる。

アプリグループを設定したいときは、アプリのアイコンをロングタッチして、[グループ]をタップ
表示された[別のアプリの選択]で組み合わせて起動したいアプリを選ぶ

 たとえば、「ToDo」と「予定表」のペアを作っておき、タスクとスケジュールを管理したり、「Chrome」と「Spotify」を組み合わせ、音楽を聞きながら、Webページを閲覧するといった使い方もできる。

YouTubeで動画を再生しながら、もう片方でブラウザーを起動し、Webページを表示
プリインストールされている「ASPHALT 9」を起動しながら、もう片方で「Microsoft Teams」を起動。さすがに、こんな使い方はしないか(笑)。ちなみに、ゲームのプレイ中はディスプレイを反転して、折りたたんだ方が操作しやすい

 片方の起動したアプリを反対側に移動したいときは、アプリの下段に表示されている白いバーをドラッグし、反対側の画面内でドロップする。ドラッグしているアプリの画面を両画面の中央付近でドロップすると、2画面を使った表示ができる。この状態で本体を横方向に90度、回転すると、自動回転が有効なときはそのまま、アプリが2画面に渡って表示される。

片方の画面に表示されている起動中のアプリの白いバーをドラッグすると、もう片方の画面に移動できる。ヒンジ付近でドロップすれば、2画面をフルに使った表示が可能

 [アプリの自動スパン]を設定すれば、特定のアプリを起動時から2画面表示にできる。さらに、2画面表示の状態からアプリ内のバーをドラッグし、片方の画面でドロップすれば、片方の画面のみにアプリが表示され、もう片方の画面にはホーム画面が表示される。

[設定]アプリ内の[Surface Duoの機能]-[アプリの自動スパン]で設定すれば、特定のアプリを起動時から2画面をフルに使った表示ができる

 このあたりのユーザビリティはある意味、パソコン的というか、どことなく、Windowsライクなセンスが活かされているようで、Galaxy Z Fold3などの一画面で切り替えながら操作するユーザーインターフェイスとは、少し趣が異なる。どちらが優れているとは言い切れないが、パソコンに慣れているユーザーは「Surface Duo 2」の方がしっくり来るかもしれない。

 ちなみに、「Surface Duo 2」の操作や独自機能については、プリインストールされている「ヒント」アプリでも解説されている。アニメーションも表示されるので、デモを見ながら、使い方をマスターしていくといいだろう。

プリインストールされている[ヒント]アプリで、「Surface Duo 2」のさまざまな操作を確認できる
[設定]アプリ内の[Surface Duoの機能]では、Surface Duo 2独自の機能を設定可能

ストレスなく使えるパフォーマンス

 今回、国内向けに発売された「Surface Duo 2」は、本誌の速報記事などでもお伝えしたように、現在、国内で販売されているハイエンドスマートフォンと同レベルの仕様を実現している。

 チップセットに米Qualcomm製Snapdragon 888、8GB RAMを搭載する。他の折りたたみスマートフォンと違い、「Surface Duo 2」では同時に2画面を駆動するため、よりCPUパワーが求められるが、今回試用した範囲では画面の切り替えなどもスムーズで、ストレスなく使うことができた。

 ストレージは本体内蔵のみながら、128GB/256GB/512GBの3つのモデルがラインアップされている。外部メモリーカードは利用できないが、Androidプラットフォーム標準のGoogleドライブが使えるうえ、マイクロソフトが提供するOneDriveもあるため、クラウドサービスを上手に使えば、それほど気にならないだろう。

 なかでもOneDriveについては、「Microsoft 365 Personal」を契約していれば、最大1TBまで利用できるため、写真や動画も含め、かなりのデータを保存できる。

 ちなみに、「Surface Duo 2」をマイクロソフト公式ストアで購入する場合、Microsoft 365 Personalを同時に購入すると、通常、1万2984円の12カ月間のサブスクリプションが6000円引きで購入できるため、こちらを選んで購入するのも手だ。

 通信については、5G NR、4G LTE、3G W-CDMA、GSM/GPRSに対応する。5GはSub-6のみの対応だが、国内事業者に割り当てられているn77/n78/n79に対応している。

 なかでもNTTドコモに割り当てられているn79は、グローバル向けの端末でサポートされていないことが多く、NTTドコモの回線を利用するユーザーにとってはマイナス要因だったが、「Surface Duo 2」はこの点をクリアしているわけだ。

 SIMカードは左側筐体の本体下部にSIMカードスロットが備えられており、ピンを挿して、取り出すタイプとなっている。装着できるSIMカードはnanoSIMカード1枚のみだが、eSIMにも対応しているため、nanoSIM/eSIMのデュアルSIMでも利用できる。

本体左筐体の下部にトレイ式のSIMカードスロットを備え、nanoSIMカードが装着可能。eSIMにも対応する

 ただ、発売して間もないこともあり、今のところ、国内の携帯電話会社4社及びMVNO各社のeSIMサービスの対応機種に「Surface Duo 2」の表記はない。基本的には動作するはずだが、気になるときは対応情報を確認してから申し込むことをおすすめしたい。

 カメラについては、右側筐体の裏側に広角/望遠/超広角のトリプルレンズのリアカメラを備え、同じく右側筐体のディスプレイの上部にはフロントカメラも搭載する。

本体を閉じた状態の裏面には広角/望遠/超広角で構成するトリプルカメラを搭載

 撮影モードはAIを活かしたポートレート、ナイトモードなどがサポートされるほか、HDRビデオの撮影も可能だ。

薄暗いバーで撮影。暗いところではやや色味が薄くなってしまう印象

 フロントカメラは自撮りだけでなく、TeamsやGoogle Meetなどのビデオ会議への参加にも有用だ。ボディの特徴を活かし、本体を100度くらいに折りたたんで、机の上に置けば、ビデオ会議などにも参加しやすい。

『コンパニオンデバイス』としての「Surface Duo 2」

 スマートフォンは人々の生活やビジネスに欠かせない存在だが、ここ数年の社会環境の変化を見ると、スマートフォン以外のデバイスを利用するシーンが増えてきた。テレワークやリモートワークではパソコンやタブレット、オンライン授業や習い事ではタブレットやChromebookなどが使われ、いずれも市場でも好調な売れ行きを記録している。

 もちろん、こうした用途はスマートフォンでも対応できるが、たとえば、オンライン会議中に音声通話の着信があって、会議が途切れてしまうなど、1台のデバイスだけで対応することの難しさも見えてきた。

 使い方は人それぞれだが、1台のスマートフォンですべての用途にまかせるのではなく、スマートフォンやパソコンと組み合わせて利用できる『コンパニオンデバイス』があれば、こうした難しさの解決にも結び付いていく。

 今回、発売された「Surface Duo 2」は、まさにこうした『コンパニオンデバイス』に適した製品と言えそうだ。

 何と組み合わせるかはユーザー次第だが、たとえば、スタンダードなスマートフォンを利用するユーザーがタブレットを持つのではなく、「Surface Duo 2」を組み合わせて利用したり、仕事でパソコンが欠かせないユーザーがパソコンよりも手軽で、スマートフォンより大画面の「Surface Duo 2」を持つことで、外出時や移動中にもタスクを片付けるといった使い方ができる。

Windowsパソコンで提供されている「スマホ同期」と連動する機能を搭載

 もちろん、「Surface Duo 2」をメインデバイスとして活用するのもいいが、他のデバイスと組み合わせて利用することで、新しいモバイルの世界を拡げることができそうだ。

2つのディスプレイを備えた「Surface Duo 2」は新しいモバイルの環境を開くことができるか

 また、「Surface Duo 2」そのもののポテンシャルも高く、一般的なスマートフォンと同じAndroidプラットフォームを採用しながら、搭載された2つのディスプレイに個別のアプリを動作させたり、1つの大画面として利用したり、ユーザーのニーズに合わせて、さまざまなスタイルで活用することができる。

 Androidプラットフォーム標準のGoogleの各サービスやアプリに加え、パソコンなどで広く利用されているマイクロソフトのクラウドサービスも併用できるため、ビジネスからプライベートまで、幅広いニーズに応えることができそうだ。

標準でインストールされていたマイクロソフトのアプリ。Windowsと同じMicrosoftアカウントを設定すれば、メール(Outlook)などもすぐに利用できる。従来から提供されているが、ホワイトボードや書類をスキャンできる「Lens」は便利
標準でインストールされていたGoogleのアプリ。[Googleカレンダー]など、一部のアプリは別途、インストールする必要がある。Googleの[フォト]アプリがインストールされているが、写真はマイクロソフトの[写真]アプリでも表示できる

 ひとつ気になる点があるとすれば、やはり、18万円から22万円という価格だろう。

 他社の折りたたみスマートフォンも20万円前後のものが多いが、複雑な機構でディスプレイを折り曲げるのではなく、シンプルなヒンジで2つの筐体をつなぐ構造を採用しているからこそ、もう一息、手頃な価格を実現して欲しかった印象もある。

 とは言え、元々、パソコンのSurfaceシリーズは、Surface Goを除けば、ややプレミアムな価格を設定しているため、「Surface Duo 2」もこれくらいの価格設定が妥当だとも言える。

 筆者もまだ使いはじめたばかりで、今後、どのように使っていくのかは、まだ見えない部分もあるが、既存のスマートフォンやタブレットとはひと味違った使い方、楽しみ方ができる一台として、ぜひ一度、手に取って、試していただきたい。

Microsoft Surface Duo 2 価格
メモリ/ストレージ参考価格備考
8GB/128GB18万4500円-
8GB/256GB19万6680円-
8GB/512GB22万880円マイクロソフト公式ストアのみで販売