法林岳之の「週刊モバイルCATCH UP」

「Galaxy Note9」ファーストインプレッション

Sペン、バッテリー、AI――全方位で進化

サムスン「Galaxy Note9」(海外版)、約161.9mm(高さ)×76.4mm(幅)×8.8mm(厚さ)、約201g(重量)、Ocean Blue(写真)、Lavender Purple、Midnight Black、Metallic Copperをラインアップ

 8月9日、サムスン電子は米・ニューヨークのBarclays Centerにおいて、発表イベント「Galaxy UNPACKED 2018!」を開催し、スマートフォンの最新モデル「Galaxy Note9」やウェアラブル端末の「Galaxy Watch」、スマートスピーカー「Galaxy Home」などを発表した。

同時に発表されたWireless Charger Duoは、Galaxy Note9などとGalaxy Watchを同時にワイヤレスで充電可能
同時に発表されたGalaxy Watch。TizenベースのOSを搭載し、さまざまなスポーツに対応

 本誌ではすでに速報記事で発表イベントの内容とGalaxy Note9の詳細をお伝えしているが、現地滞在中に実機を試すことができたので、ファーストインプレッションをお伝えしよう。

8月9日、米国・ニューヨークで行なわれた「Galaxy UNPACKED 2018」で発表

すべてが求められるGalaxy Noteシリーズ

 かつて、国内市場でケータイが全盛期だったとき、各メーカーからは『全部入り』と呼ばれるフラッグシップモデルが投入された。スマートフォン時代は端末の形状こそ、似通ってきたと言われるが、消費者が期待する価格や求める機能のバリエーションが拡がったことで、『全部入り』を謳う製品は少なくなってきたとも言われる。

発表イベントに登壇したサムスン電子のIT & Mobile Communications部門のPresident and CEOのD J Koh氏

 今回のGalaxy UNPACKED 2018!の冒頭、ステージに登壇したサムスン電子のIT & Mobile Communications DivisionのPresident and CEOのD J Koh氏は、「Noteシリーズのファンはもっともロイヤルティが高く、ビジネスから遊びまで、すべてにおいて、最大限に活用することを求める」「Galaxy Note9は彼らの忙しい日々を支えることができる唯一のスマートフォンだ」と話し、今回のGalaxy Note9がユーザーが求めるすべてをカバーするスマートフォンとして作られているとアピールした。

SシリーズとNoteシリーズ

 スマートフォンで世界No.1のシェアを持つサムスンは、さまざまなモデルをラインアップしているが、フラッグシップとしては2つのシリーズを展開している。ひとつは初代モデル以来、ライバルと激しい競争をくり広げてきた主力モデル「Galaxy S」シリーズで、国内ではNTTドコモが初代モデルの「GALAXY S SC-02B」(2010年)から、auが「GALAXY S II WiMAX ISW11SC」(2012年)から、それぞれ販売している。

 このGalaxy Sシリーズから派生する形で、2011年に登場したのが「GALAXY Note」になる。当時としては大画面の5.3インチの有機ELディスプレイ(SuperAMOLED)を搭載し、ワコムの技術を応用した電磁誘導式ペン「Sペン」を組み合わせることで、手書き入力というアナログとスマートフォンというデジタルを融合させた新しいジャンルのスマートフォンとして、注目を集めた。ただ、多くの一般メディアでは「スマートフォンとしては大きすぎる。まず、売れないだろう」といった厳しい意見が数多く聞かれ、当初は苦戦が予想された。しかし、市場ではクリエイティブなユーザーに支持されるだけでなく、大画面ディスプレイや大容量バッテリーがコンテンツ利用に積極的なユーザーに受け入れられ、スマートフォンの大画面化やバッテリーの大容量化の流れを生み出すことになった。

これまでのNoteシリーズ

 初代モデル以降、Galaxy Noteシリーズは着実に進化を遂げ、2014年には初のエッジディスプレイ(湾曲したディスプレイ)搭載の四代目「GALAXY Note Edge」も発売されたが、2016年に発表した「Galaxy Note7」はバッテリーの製造不具合による全世界リコールという事態を引き起こし、国内での販売は見送られてしまう。

 Galaxyシリーズのブランドイメージを大きく傷つける事件だったが、2017年1月にはバッテリーの不具合の原因を明らかにし、バッテリーの厳しい品質保証プログラムをスタートさせている。同様の品質保証プログラムはファーウェイなど、ライバルメーカーも独自で取り組むようになり、業界全体の流れを作り出す結果になった。

2017年、2018年で着実に存在感打ち出す

 Galaxy Note7でつまづいたGalaxyシリーズだが、2017年3月にはGalaxy S8/S8+、2017年8月にはGalaxy Note8、2018年3月にはGalaxy S9/S9+をリリースし、着実に市場での存在感を回復させている。

 なかでも昨年のGalaxy Note8ではグローバル向けの発表会でユーザーのアツいメッセージが伝えられただけでなく、国内でも3年ぶりのGalaxy Note復活を喜ぶユーザーから多くの反響があり、シリーズとしての根強い人気を証明した。

Galaxy Note9は全方位の進化

 今回発表されたGalaxy Note9は、初代モデルから数え、シリーズ8世代目のモデルになる。昨年のGalaxy Note8は一昨年のGalaxy Note7のリコールを受け、堅実に開発されたモデルという印象だったが、今年はSペンの進化をはじめ、バッテリーの大容量化、AI対応など、随所に新しい取り組みが見られる全方位の進化を遂げている。

 今回は発表イベント後に、グローバル版の発売前のモデルを試用することができたので、製品の内容のおさらいも含め、ファーストインプレッションをお伝えしよう。

さらなる大画面と大容量バッテリー搭載

 Galaxy Noteシリーズは前述のように、初代モデルで大画面ディスプレイと大容量バッテリーを搭載し、手書き入力と並ぶシリーズの特徴として認識されるようになったが、今回のモデルは従来モデルとほとんど変わらないボディサイズながら、さらなる大画面と大容量バッテリーの搭載を実現している。

デザインとボディサイズの変化

 ボディ形状はもうひとつのフラッグシップであるGalaxy S9/S9+が四隅が丸みを帯びた仕上げになっているのに対し、Galaxy Note9は四隅の角をもう少し際立たせた形状にまとめており、よりスクエアなデザインに仕上げている。

下部にはUSB Type-C外部接続端子、3.5mmイヤホンマイク端子、Sペン格納口を備える
上部にピンを挿すと取り出せるSIMトレイを内蔵する。SIMカードをnanoSIMカードに対応。今回試用したモデルはデュアルSIM対応

 ボディの両側面は湾曲させたデュアルエッジスクリーンとなっているが、Galaxy S9/S9+よりも前面から側面へのラウンドが急角度な仕上がりで、湾曲させた印象があまり強調されないデザインとなっている。従来のGalaxy Note8と並べてみても外観はほとんど変わらないが、サイズは高さで約0.6mm短く、幅で約1.6mm広く、厚さで0.2mm増となっている。カバーはGalaxy Note8と別のものが必要だが、今回の発表イベントでも純正のカバーが数種類、展示されていた。

Note8からの変化

Galaxy Note8(左)とGalaxy Note9。並べてみてもほとんど変わらない印象だが、微妙にサイズが異なる
Galaxy Note8(左)とGalaxy Note9の下部から見た状態。基本的なレイアウトは変わっていない

 評価が難しいのが重量で、Galaxy Note8の195gに対し、6g増の201gという仕上がりになっている。筆者自身は「大差ないかな?」と感じていたが、初代モデルからGalaxy Noteシリーズを愛用し、現在はGalaxy Note8を持つユーザーに持ってもらったところ、「あ、ちょっと重くなりましたね」と言われてしまった。つまり、常用するユーザーなら、気が付く程度の差のようだ。

 ボディの仕様については、Galaxy Note8やGalaxy S9/S9+に引き続き、IP68の防水防塵に対応する。カラーは「Ocean Blue」「Lavender Purple」「Midnight Black」「Metallic Copper」の4色展開で、後述するSペンのカラーなどからもわかるように、Ocean Blueをメインカラーとしている。

機種名ディスプレイサイズ(高さ×幅×厚さ、重量)
Galaxy Note96.4インチ161.9×76.4×8.8mm、201g
Galaxy Note86.3インチ162.5×74.8×8.6mm、195g
Galaxy S9+6.2インチ158×74×8.5mm、187g
iPhone 8 Plus5.5インチ158.4×78.1×7.5mm、202g
Mate 10 Pro6.0インチ154.2×74.5×7.9mm、178g

6.4インチディスプレイ

 ディスプレイはGalaxy Note8から0.1インチ大きくなった6.4インチで、解像度はWQHD+(2960×1440ドット)に対応する。対角サイズは異なるが、縦横比などはGalaxy S9+などと同じ縦長ディスプレイだが、両端のエッジ部分が立っていることから、よりディスプレイの大きさが強調される印象だ。発色は従来モデル同様、非常に良好で、タッチパネルのレスポンスも良く、快適に操作ができる。

 大画面ディスプレイを活かす機能としては、Androidプラットフォームでサポートされているマルチウィンドウが利用できるが、従来に引き続き、複数のアプリをエッジスクリーンから同時に起動できる「APPS EDGE」がサポートされる。出荷時は「ブラウザ」と「SAMSUNG NOTE」(日本版の「S-Note」と同じ)を同時起動する組み合わせが登録されているが、メールとカレンダーなど、自分の利用スタイルに合った組み合わせを登録することもできる。

4000mAhのバッテリー

 バッテリーは4000mAhの大容量バッテリーを搭載する。充電は本体下部のUSB Type-C外部接続端子とワイヤレス充電が利用可能で、QC2.0の急速充電にも対応する。今回の試用では動画もくり返し撮影してみたが、他機種に比べ、まだバッテリー残量に余裕がある印象で、一般的な利用であれば、サムスンが謳うところの「ほぼ丸一日使える」というのもかなり現実的と言えそうだ。

機種バッテリー容量
Galaxy Note94000mAh
Galaxy Note83500mAh
Galaxy S9+3500mAh
iPhone 8 Plus2691mAh

デュアルカメラ、指紋センサー

 背面には後述するデュアルカメラとフラッシュ、指紋認証センサーが配されている。従来モデルでは指紋センサーがデュアルカメラとフラッシュに並ぶ形でレイアウトされていたが、Galaxy Note9ではデュアルカメラとフラッシュが横に並び、その下に指紋認証センサーが配されている。位置的にはGalaxy S9/S9+と同じような場所だが、指紋認証センサーそのものはわずかに小型化されている。従来モデルのように、フラッシュやカメラ部を触ってしまうことも少なくなり、汚れが付く心配も軽減された。

レイアウトが変更された背面。デュアルカメラとフラッシュを上部に内蔵し、その下に指紋センサーを備える

虹彩認証、指紋認証、顔認証をサポート

 セキュリティについてはGalaxy S9/S9+で採用されたインテリジェントスキャンに対応する。Galaxy Note8では虹彩認証と指紋認証が採用されていたが、Galaxy S9/S9+からは虹彩認証に顔認証の情報を加えたインテリジェントスキャンが採用されており、Galaxy Note9ではこれをそのまま継承したことになる。

 Galaxy Note8の虹彩認証は認識の早さがメリットだったが、周囲の明るさの影響を受けるうえ、ある程度、端末を顔の前に持ってこなければならないため、ユーザーによっては指紋認証を中心に利用していたようだが、インテリジェントスキャンは明るいところでも暗いところでも認証ができるうえ、端末とユーザーの顔がきっちり正対しなくても認証できるため、非常に使い勝手が良い。

操作ボタンのレイアウト

 ボタン類や外部接続端子などのレイアウトは、基本的に従来のGalaxy Note8と共通で、3.5mmイヤホンマイク端子も引き続き、備えられている。Androidスマートフォンでも3.5mmイヤホンマイク端子を廃止する機種が増えてきているが、このあたりはGalaxyとしてのこだわりなのか、サポートされている。

左側面は音量キーとBixbyキーを備える
右側面は電源キーのみ

 ボタン類では左側面にBixbyキーが備えられている。今回はグローバル版を試用したため、Bixbyで日本語の情報は表示されなかったが、日本版が登場するときはGalaxy S9/S9+などと同等の情報が表示されるはずだ。ひとつ気になるのは音声による「Bixy Voice」で日本語がサポートされていないことで、今回、発表イベントで開発が明らかにされたスマートスピーカー「Galaxy Home」にも応用されていることから、今後、サムスンがどのように日本向けのローカライズを行なっていくのかが注目される。

チップセット、メモリ

 チップセットは発売する国と地域によって、米Qualcomm製SDM845(2.8GHz+1.7GHz、オクタコア)、サムスン製Exynos 9810(2.7GHz+1.7GHz、オクタコア)のいずれかが搭載される。

 メモリーとストレージはRAM 6GB/ROM 128GB、RAM 8GB/ROM 512GBという2つのモデルがラインアップされるが、発売される国と地域によって、販売されるモデルは異なる。microSDメモリーカードは最大512GBに対応しているため、RAM 8GB/ROM 512GBのモデルでは1TBというパソコン並みのストレージを利用できることになる。動画撮影などを多用するユーザーにとっては、かなり心強い仕様と言えるだろう。

独自の冷却システムを採用

 海外では高いパフォーマンスを求められるゲームなどが人気を集めていることもあり、新たに開発した「Water Carbon Cooling System」と呼ばれる冷却システムが搭載される。

 実際に、動画再生なども試してみたが、本体の背面が熱くなるようなことはなく、動作も安定している。ちなみに、ゲーム環境については海外と日本ではやや方向性が違い、日本ではパズルなど、ライトでカジュアルなゲームが好まれるのに対し、海外は派手なグラフィックを駆使したFPSなどが好まれるため、こうした高負荷時の冷却性能が重要視される傾向がある。

リモートコントロールに対応したSペン

 今回のGalaxy Note9は、従来のGalaxy Note8や今春発表のGalaxy S9/S9+からの正常進化という印象だが、もっとも大きく変更されたのは、Galaxy Noteシリーズの真髄とも言えるSペンだろう。

Galaxy Note9とSペン。Ocean Blueの本体には黄色いSペンが付属する

 Galaxy Noteシリーズの手書き入力を実現するSペンは、電磁誘導式のペンで、一般的なスタイラスペンとは明らかに違う書き味を実現している。これまでも筆圧検知などの性能を向上させる一方、Sペンに対応するユーザーインターフェイスや対応アプリなどを充実させてきたが、今回はSペンをBluetoothに対応させることで、リモートコントロールという新しい機能を搭載している。

写真や地図などに手書きでメッセージを入力できる

 たとえば、Sペンのボタンを長押しして、カメラを起動したり、カメラを起動中にボタンを押して、シャッターを切ったり、ギャラリーを起動中にボタンの1回押しで次のアイテム表示、2回連打で前のアイテム表示といった操作ができる。実際に、いくつかの操作を試してみたが、リモコンシャッターはなかなか便利な機能で、自分撮りをするユーザーにはかなり支持されそうな印象だ。

設定画面内のSペンのメニュー。従来モデルに搭載されていたエアビューなどの機能も引き続き利用可能
Sペンリモコンの操作は対応アプリごとに設定が可能。長押しで起動するアプリも選べる

 ボタンの長押しで起動するアプリは出荷時にカメラが設定されているが、自分の好みに応じて、カスタマイズできる。

Sペンのリモコン機能を使って、自分撮りができる。意図的にSペンを写したが、実際の利用シーンでは手を下ろしても問題なく撮影できる

 また、各アプリのリモコン対応については、サードパーティ製アプリが対応できるように、SDK(開発キット)が提供されるため、今後、さまざまなアプリでリモコン機能が利用できるようになりそうだ。

 SペンはBluetooth対応のため、Sペン内に小型のバッテリーが内蔵されており、Galaxy Note9本体に40秒、装着しておくと、自動的に充電され、約30分間の利用が可能になる。電池残量については、Sペンリモコンの画面で確認でき、Bluetoothの接続も同じメニュー内で確認可能だ。ちなみに、バッテリー残量が少ない状態でもSペンの手書き入力などの操作は、電磁誘導式のため、そのまま利用できる。BluetoothのペアリングもAndroidプラットフォームのBluetoothメニューを利用するのではなく、端末にSペンを格納することで、接続される仕様となっている。

パッケージの上部にもSペン(黄色い!)が描かれている

 リモコン機能以外のSペンの機能については、基本的にGalaxy Note8のものを継承しており、Sペンを取り出したときに画面右側から扇状に表示される「エアコマンド」、画面オフの状態でSペンを取り出したときにすぐにメモができる「スクリーンオフメモ(画面オフメモ)」も継承されている。スクリーンオフメモの手書き入力の軌跡のカラーについては、カスタマイズが可能になっており、今回試用したOcean BlueのモデルはSペンの黄色いカラーが反映され、黄色い軌跡の手書き入力が標準で設定されていた。従来モデルでは黒い画面に描画するため、グレーの軌跡が描かれていたが、視認性の良い軌跡で手書き入力が可能になった印象だ。

絞り可変機能とAI対応で進化したカメラ

 今回のGalaxy Note9でもうひとつ進化点として挙げられるのがカメラだ。Galaxyのカメラについては、近年、Galaxy SシリーズとGalaxy Noteシリーズで、順に機能向上を図ってきたが、今回のGalaxy Note9はGalaxy S9+に搭載されたデュアルカメラを継承しつつ、新たにAIを利用したシーン認識に対応し、全体を進化させている。

 まず、メインカメラの仕様としては、12MピクセルのイメージセンサーにF1.5/F2.4絞り可変機能を搭載した標準カメラ、12MピクセルのイメージセンサーにF2.4のレンズを組み合わせた2倍相当の望遠カメラを搭載し、いずれも光学手ブレ補正機能に対応する。フロントカメラは8Mピクセルのセンサーに、F1.7のレンズを組み合わせ、オートフォーカスにも対応する。

薄暗いバーで背景をぼかしながら撮影。非常にバランス良く撮れている

 標準カメラに搭載された絞り可変機能については、Galaxy S9/S9+でも解説したので、ご存知の読者も多いだろうが、暗いところでは標準カメラのF値1.5のレンズで撮影し、明るいところではレンズ部を物理的にシャッターのようなもので絞ることで、F値2.4相当に切り替えて撮影する。

 一般的に、暗いところでは明るいレンズが重要であることが知られているが、昼間の明るいところでは光量が強すぎて、色味が変わってしまったり、鮮明さが失われてしまうことがあるため、絞りを変更することで、バランスのいい写真を撮影できるようにしているわけだ。

 今回は試用した期間が短かったため、あまり多くの写真を撮っていないが、ニューヨーク・タイムズスクエアのビルボードなどもきれいに撮影できており、業界トップクラスのカメラ性能を持つと見て、良さそうだ。

カメラでニューヨーク・マンハッタンのビルボードを撮影

 カメラで新たに搭載された機能としては、AIに対応した「Scene Optimizer」と呼ばれるシーン自動認識が挙げられる。出荷時設定のまま、被写体にカメラを向けると、20種類のモードを自動的に検出し、それぞれに最適な設定で撮影ができる機能になる。

 具体的なシーンとしては「食べ物」「山」「空」「花」「日の出」「日の入」「水辺」「室内」などで、カメラ起動時にファインダー内に小さく認識したシーンのアイコンが表示される。アイコンが小さすぎて、最初は何が認識されたのかがピンと来ない印象もあったが、自動的に認識されているので、ユーザーとしては難しいことを気にせずに撮影すれば良さそうだ。

 また、撮影ミスを検出する機能も搭載される。たとえば、被写体が目をつぶっていたり、逆光で撮影していたときは、画面に通知が表示され、再撮影を促す。

 インカメラでの撮影については、従来に引き続き、オートフォーカスに対応しているが、前述のように、新たにSペンによるリモートシャッターが利用できるようになったことが大きい。元々、Galaxyシリーズはフロントカメラで撮影するとき、手のひらを見せて、タイマーでシャッターが切れる機能を搭載していたため、端末のシャッターを使わずに撮影できる環境だったが、Sペンのリモートシャッターでさらに選択肢が増えた形だ。

インカメラを使い、ポートレートを撮影。モデル:るびぃ(ボンボンファミンプロダクション)
インカメラを使い、マイ絵文字を作成
Galaxy S9/S9+のAR絵文字も継承されている

全方位で正常に進化を遂げたGalaxy Note9の国内版に期待

 今回発表されたGalaxy Note9は、8月24日から米国で販売が開始されるほか、その他の国と地域でも順次、発売される。今回は端末のみの短期間の試用だったため、ケーブルのみで接続できるようになったDeXモードなどを試すことができなかったが、全体的に見て、従来モデルや今春発表のGalaxy S9/S9+の機能を受け継ぎながら、全方位で正常に進化を遂げ、一段と完成度を高めたという印象だ。

 気になる日本国内での販売については、まだ何もアナウンスされていないが、すでにサムスン電子ジャパンには製品情報ページが開設されており、順当に行けば、2017年までと同じように、NTTドコモとauの秋冬商戦向けモデルとして発表されることになりそうだ。国内市場では2017年のGalaxy Note8が3年ぶりだったということもあり、多くのユーザーが機種変更したようだが、今回のGalaxy Note9は新しいユーザーにも興味を持ってもらえそうなポテンシャルを持つ仕上がりと言えそうだ。

Galaxy Note9用の「Leather Cover」
Galaxy Note9用の「LED View Cover」
Galaxy Note9用の「Rugged Protective Cover」
Galaxy Note9用の「Silicone Cover」
Galaxy Note9用の「S-Viewr Cover」

法林 岳之

1963年神奈川県出身。携帯電話・スマートフォンをはじめ、パソコン関連の解説記事や製品試用レポートなどを執筆。「できるゼロからはじめるiPhone X/8/8 Plus超入門」、「できるゼロからはじめるAndroidタブレット超入門」、「できるゼロからはじめるAndroidスマートフォン超入門 改訂2版」、「できるポケット HUAWEI P10 Plus/P10/P10 lite 基本&活用ワザ完全ガイド」、「できるWindows 10 改訂3版」(インプレス)など、著書も多数。ホームページはこちらImpress Watch Videoで「法林岳之のケータイしようぜ!!」も配信中。