法林岳之の「週刊モバイルCATCH UP」

「AQUOS sense plus」が目指すワンランク上のSIMフリー

 昨年、ブランド統一を実現したシャープのスマートフォン「AQUOS」。これまでに「AQUOS R」シリーズ、「AQUOS sense」シリーズがそれぞれ100万台を超えるヒットを記録した。2018年夏商戦はすでに各携帯電話会社からフラッグシップモデル「AQUOS R2」が発売されているが、これとは別に、SIMフリー専用モデル「AQUOS sense plus」がMVNO各社やオープン市場で発売されている。筆者も実機を購入したので、レポートをお送りしよう。

シャープ「AQUOS sense plus SH-M07」、約151mm(高さ)×71mm(幅)×8.9mm(厚さ)、約157g(重量)、ベージュ(写真)、ブラック、ホワイトをラインアップ

SIMフリー市場広がる、メーカーはまだ少なく

 ここ数年、国内市場において、「格安SIM」「格安スマホ」というキーワードと共に、存在感を増してきたSIMフリースマートフォン。昨年は各携帯電話会社が相次いで「格安スマホ対抗策」とも呼べる料金施策などを打ち出したことで、SIMフリースマートフォンの市場が縮小するのではないかという指摘もあったが、2018年5月に発表されたMM総研の調査ではSIMフリー比率は前年度比0.4%増の9.7%を確保したとしており、まだまだ拡大が続きそうな気配だ。

 ここ数年のSIMフリースマートフォンの動向を振り返ってみると、「格安SIM」「格安スマホ」が騒がれたことで、海外のメーカーも数多く参入したが、日本のユーザーの厳しい眼鏡にかなうメーカーは少ない。2018年の今、しっかりと存在感を示しているのは、海外でもシェアを拡大したファーウェイ(HUAWEI)をはじめ、ZenFoneシリーズを展開するASUS、幅広いネットワークに対応したモデルやユニークなモデルをラインアップするモトローラなどに限られている。サムスンやLGエレクトロニクスといった大手キャリア向けでおなじみのメーカーは、SIMフリースマホのオープン市場に前向きな姿勢を見せていない。

シャープのSIMフリースマホが「ちょうどいい理由」

 一方、国内メーカーはこれまで、大手キャリアを主戦場としており、オープン市場に積極的なのはシャープ、富士通くらいで、Xperiaシリーズを展開するソニーモバイルはグループ内のMVNOであるnuroモバイルに、ひとつ前の世代の端末を供給するのみに留まっている。そのほかのメーカーではアクセサリーでおなじみのトリニティがユニークなデザインのNuAns NEO Reloadedを販売していたり、旧FREETELの事業を承継したMAYA SYSTEMがクラウドSIM搭載スマートフォンを発表するなど、個性派路線に活路を見出そうとしている印象だ。

 こうしてみると、SIMフリースマートフォンの市場は拡大しているものの、これまで大手キャリアを利用してきたユーザーにとっては、スペックやユーザビリティなどが少し異なるSIMフリースマートフォンが多い。つまり安心感を求めるユーザー層に適した「ちょうどいいモデル」があまり多くないという見方もできる。たとえば、日本のユーザーのニーズが高い防水防塵に対応したモデルもまだまだ少数派で、おサイフケータイともなれば、さらにごく一部のモデルしか対応していない。おサイフケータイについては端末そのものが対応していても各社サービス事業者の対応端末に含まれていないこともあり、移行に二の足を踏んでしまうユーザーも少なくないようだ。

2018年夏に登場した「AQUOS sense plus SH-M07」

 「AQUOS sense plus SH-M07」は、同社が今夏、SIMフリー専用モデルとして、オープン市場に投入する製品になる。

昨年のAQUOS sense(左)よりもワンクラス上の環境を実現するAQUOS sense plus(右)

 冒頭に触れた通り、シャープは昨年、スマートフォンのブランドを統一。フラッグシップモデル「AQUOS R」シリーズ、コンパクトな普及モデル「AQUOS sense」シリーズを展開し、それぞれがシリーズで100万台を突破するというヒットを記録した。なかでもAQUOS senseは、NTTドコモ版が「docomo with」対象端末に採用。au版も登場したほか、外装の仕上げなどが異なる「AQUOS sense lite」がMVNO向け、そしてソフトバンクから法人向けの「AQUOS sense basic」と、いくつもの派生モデルを展開することで、シリーズ100万台突破に貢献している。

 今回のAQUOS sense plusは、2017年の「AQUOS sense」のコンセプトをベースにしながら、もうワンランク上のスペックを搭載したモデルとして開発されている。もともとコストパフォーマンスの高いモデルとして仕上げられていたが、チップセットやディスプレイなどで、もうひとつ上のスペックを搭載することで、もっと積極的に使いたいユーザーのニーズに応えようというわけだ。

 「ワンクラス上」と言ってもハイエンドモデルではなく、大手キャリア向けのモデルで鍛えられてきた、定番の安心感、完成度、ユーザビリティを確保しながら、ミッドレンジやミッドハイと呼ばれるクラスでライバルメーカーと戦っていくモデルという位置付けになる。

 「AQUOS sense plus」はMVNO各社向けにも供給されており、BIGLOBEモバイル、イオンモバイル、DMM mobile IIJmio、gooSimseller、楽天モバイル、ケイ・オプティコムなどで取り扱われている。

NTTドコモのネットワークを利用する事業者のAPN一覧。NTTドコモのspモードは登録されていない
auのネットワークを利用する事業者のAPN一覧
ソフトバンクのネットワークを利用する事業者のAPN一覧

 家電量販店ルートや通販でも販売されており、ヨドバシカメラやビックカメラ、Amazonなどでも購入できる。価格は、販売店によって異なるが、4万円~4万8000円程度で販売されているところが多い。SIMフリースマートフォンとしては非常に買いやすい価格帯と言えるだろう。

5.5インチフルHD+対応IGZOディスプレイ搭載

 まず、外観からチェックしてみよう。前述のように、スマートフォンAQUOSは昨年、ブランド統一を行なったが、統一したことは単にブランドに留まらず、ボディなども基本的に同じコンセプトに基づいてデザインされている。そのため、AQUOS sense plusは昨年のAQUOS sense、今年のAQUOS R2にも通じるデザインで仕上げられている。

すっきりとしたデザインの背面。中央上の部分にはFeliCa搭載を表わす「おサイフケータイ」のアイコンがプリントされる

 本体は幅71mm、厚さ8.9mmというバランスのいいサイズにまとめられており、ボディの4つの角は丸みを帯びた形状で、フラット仕上げの背面も側面はラウンドさせることにより、手にフィットするように仕上げている。側面部分をわずかに突起させることで、机に置いたときなどに手がかりをよくするフォルムは、AQUOS Rなどから継承されている。ボタン類やUSB Type-C外部接続端子、3.5mmイヤホンマイク端子、SIMカードトレイなどのレイアウトは、基本的にAQUOS R2などと共通となっている。

下部には充電やパソコン接続に利用するUSB Type-C外部接続端子を備える。パッケージにはUSB Type-CケーブルとACアダプタが同梱される

5.5インチのIGZOディスプレイ

 ディスプレイはシャープの十八番と言える5.5インチのフルHD+対応IGZOディスプレイを搭載する。改めて説明するまでもないが、液晶テレビ「AQUOS」で培われた画質の良さはもとより、省電力性能の高さ、ノイズの少なさによるタッチパネルのレスポンスの良さなどは、ここ数年のスマートフォンAQUOSで実証済みだ。デジタルシネマ規格「DCI」に準拠した広色域パネルに、発色に優れた高演色バックライトなどを組み合わせることで、映像コンテンツなども美しく再現できるようにしている。HDRコンテンツの再生にも対応するほか、標準画質のコンテンツや自分が撮影した動画などもHDR対応コンテンツのように再生するバーチャルHDRも搭載する。出荷時設定はOFFだが、動画を視聴することが多いのであれば、ONに切り替えたまま使い続けた方がベターだろう。ちなみに、AQUOS R2でも復活で採用され、話題となった「のぞき見ブロック」(ベールビュー)も対応しており、通知パネルからON/OFFを切り替えることができる。

 ディスプレイは縦横比18:9のフルHD+となっており、後述するナビゲーションキーの機能を指紋センサーに割り当てることで、さらに広く使うことができる。2016年発売のSIMフリー端末「SH-04」と比べ、アプリで利用できる表示領域を23%も拡大することが可能だ。AQUOS R compactやAQUOS R2のようなディスプレイ上部にインカメラの切り欠きがある構造ではなく、ディスプレイ上部のベゼル内にインカメラや近接センサーを内蔵する構造のため、縦長ディスプレイでありながら、スタンダードで落ち着いたデザインにまとまっている。

右側面には音量キーと電源キーを備える。レイアウトはAQUOS RやAQUOS senseなどと共通
キャップを開けて、SIMカードトレイを取り出す構造。キャップはピンなどが必要なく、爪先で引っかけて開けられる。nanoSIMカードとmicroSDメモリーカードを1枚ずつ装着することが可能

 ディスプレイの下側には指紋センサーを備える。画面ロック解除などに利用できるほか、設定を変更することで、指紋センサーをホームキーとして利用したり、画面内のナビゲーションキーを非表示に切り替え、指紋センサーのジェスチャーで同様の機能を操作できるようにしている。ホームキーとして利用する設定では、画面消灯時に画面を点灯させることもできるため、机の上に置いた状態で、指紋センサーを一度、触るだけで、画面の点灯と画面ロック解除ができる。

バッテリーの劣化を抑えるインテリジェントチャージ

 バッテリーはコンパクトなボディながら、3100mAhの大容量バッテリーを搭載しており、Quick Charge 3.0準拠の急速充電にも対応する。充電は下部のUSB Type-C外部接続端子を使い、ACアダプターが同梱されている。

 急速充電は一般的に電池の温度が上がりやすく、電池そのものに負荷がかかってしまうが、これを賢く制御し、電池寿命を延ばすことができる「インテリジェントチャージ」という機能も搭載された。

 この機能はAQUOS R compactにも搭載されていた機能で、詳細はAQUOS R compactとAQUOS senseの開発者インタビューでも明らかにされているが、対策をしない場合、一般的な利用で12カ月後には出荷時の80%近くまで、電池性能が劣化してしまうのに対し、インテリジェントチャージを利用した環境では12カ月後に90%程度の容量を確保できているという。この評価は12カ月によるものだが、さらに長期間になれば、その差は開く可能性もあるそうだ。長く使いたいユーザーにとっては、安心して使える機能のひとつと言えるだろう。

主な仕様

 チップセットは米クアルコム製SDM630を採用し、3GBのRAM、32GBのROMを搭載する。昨年のAQUOS senseは米クアルコム製Snapdragon 430(MSM8937)を搭載していたが、まさにこの部分はワンクラス上のチップセットを搭載したことになる。

 シャープによれば、2016年発売のSIMフリー端末「AQUOS mini SH-M03」(Snapdragon 808 MSM8992搭載)と比較して、約2倍のパフォーマンスが得られるとしている。実際に試した印象としては、昨年のAQUOS senseが何本もアプリを追加したり、パフォーマンスが求められるアプリなどを使っているとき、どうしても動作が鈍くなってしまう傾向があったが、AQUOS sense plusはチップセットの違いからか、そういったシーンに出くわすことは少なくなり、快適に利用することができている。AQUOS R2などのハイエンド端末にはかなわないが、一般的な利用であれば、ほぼストレスなく、使うことができそうだ。メモリーカードは最大400GBのmicroSDXCメモリーカードに対応する。

Android 8.0搭載、シャープはOS更新もスピーディに

 プラットフォームは出荷時からAndroid 8.0が搭載される。シャープは昨年のAQUOS Rをはじめ、最近の製品では発売日から2年間、最大2回のOSバージョンアップに対応することをアナウンスしているが、AQUOS sense plusも同様の対応がうたわれている。かつて、最新プラットフォームへの対応と言えば、「グローバル向けモデルが早い」「Googleが販売するNexusシリーズが確実」などと言われていたが、昨年のAndroid 8.0へのバージョンアップを見る限り、もっとも早くアップデートを実施したのはAQUOS Rであり、セキュリティパッチの更新も含め、しっかりと実績を示している。今回のAQUOS sense plusもすでに発売後の6月28日に、Androidプラットフォームのセキュリティパッチが2018年6月になるアップデートを公開している。

カメラ

 カメラはアウトカメラに1640万画素イメージセンサーを採用し、高速AFによる撮影を可能にしている。実際にいくつかのシーンで撮影してみたが、屋外でのシーンは自然な色合いで、逆光でもオートHDRの効果でバランス良く撮影することができた。

メインカメラは1640万画素CMOSイメージセンサーを採用。カメラ部の突起も少ない
撮影時のカメラモード。通常は「オート」のままで利用する。「おすすめプラス」を選べば、それぞれのシーンに合った撮影が可能
カメラの設定は整理されていて、わかりやすい

 なじみの薄暗いバーでの撮影も肉眼以上の明るさとまではいかないものの、十分なレベルで撮影できている。基本的には「オート」の設定のまま、撮影すれば、最適な画質で撮影ができるが、従来のスマートフォンAQUOSに搭載されてきた「おすすめプラス」も継承されており、「くっきり」「ふんわり」「残像」など、好みに合わせた撮影もできる。ビデオ撮影時の静止画撮影、タイムラプスなどもサポートされており、派手さはないが、十分にカメラを楽しむことができる。インカメラについては800万画素のイメージセンサーを採用しており、撮影時に画面を光らせることで、顔を明るく写すことができる「セルフィーフラッシュ」も搭載される。

いつもの薄暗いバーでカクテルを撮影してみた。これまでのスマートフォンAQUOSよりも明るく撮れる印象
夕暮れ近い風景を撮影。周囲の歪みもなく、非常に美しく撮影できる

日本仕様や国内ネットワークにもしっかり対応

 国内の各携帯電話会社が販売する端末からSIMフリー端末に移行することを考えるとき、端末のデザインや基本スペック、MVNO各社の料金プランなどもさることながら、もうひとつ気になるのが端末の日本仕様への対応だ。前述のおサイフケータイをはじめ、さまざまな環境で利用するための防水防塵、国内の携帯電話会社及びMVNO各社のネットワークへの対応など、意外に気になる点は多い。

「AQUOSホーム」を設定したときのホーム画面。「iフィルター」のショートカットがあらかじめ設定されている
ホーム画面を上方向にフリックすると、アプリケーション一覧画面が表示される
設定画面を表示すると、最上段に携帯電話番号が表示される

 まず、グローバル向けモデルでも徐々に対応が増えてきた防水防塵については、IPX5/IPX8の防水、IP6Xの防塵に対応する。濡れた状態でも誤動作がしにくいIGZOディスプレイの良さも継承されており、バスルームやキッチンなどで、濡れた手で端末を手に取って、使うこともできる。画面が濡れているときのタッチパネルのレスポンスも他機種に比べ、安定している。

 次に、おサイフケータイについてはシャープのWebページに掲載されている情報によれば、楽天Edy、モバイルSuica、モバイルWAON、モバイルJMB WAON、 nanacoモバイル、iD(dカード、dカードminiは非対応)、QUICPay(クイックペイ)に対応する。

 航空各社の国内線などで提供されているモバイル搭乗についてもANAの「Skipサービス」が対応しており、JALの「タッチ&ゴー」サービスもサポート対象外だが、SIMフリー端末でも動作するとしている。先日、筆者がJALに搭乗した際、お客様情報を登録をして、同サービスを試してみたが、一瞬、ひっかかることがあったものの、正しく認識して、問題なく搭乗することができた。

アプリ一覧画面の「ツール/情報」フォルダを開くと、おサイフケータイなどのアプリが用意されている
FeliCaを有効に切り替え、楽天edyを使えるようにできた

 また、細かいところでは不在着信時にメッセージを端末内に録音できる簡易留守録(伝言メモ)に対応する。MVNO各社のSIMカードで利用する場合、留守番電話サービスを契約しないケースがあるが、端末の簡易留守録の利用で済ませることができる。ただし、着信拒否については番号を登録する「着信のブロック」のみで、非通知着信や連絡先登録外などを拒否する設定は用意されていない。

 ネットワークの対応については、国内主要3社のネットワークに対応するほか、海外で利用時に重要なGSMにも対応する。LTE対応は受信時最大350Mbps、送信時最大75Mbpsとなっている。VoLTEについてはシャープのWebページのスペックで「○」が付けられているのみで、それ以上の情報がFAQにも掲載されていないが、今回、mineo(ドコモプラン)、mineo(auプラン)、ワイモバイルのSIMカードを装着して、対応する主要3社の回線から発信したところ、いずれもVoLTEで通話することが確認できた。このあたりは国内主要3社に長らく端末を供給してきたシャープならではの強みと言えるだろう。

 ちなみに、NTTドコモのネットワークを利用したMVNO各社はVoLTEがそのまま利用できるケースが多いが、auのネットワークを利用したMVNOではVoLTE対応SIMカードが必要で、ソフトバンクのネットワーク利用したMVNOではLINEモバイル(ソフトバンク回線)のように、VoLTE非対応のケースもあるので、利用するMVNO各社のWebページなどで確認することをおすすめしたい。

 また、SIMフリー端末ではサポートされないモデルもあるJアラート(国民保護情報)にも対応しており、災害時などに緊急情報を受信することができる。

Jアラートによる緊急速報メールの受信にも対応。安心して利用できる
iPhoneや他のAndroidスマートフォンからデータを移行するための「データ引継」のアプリも搭載されている
歩数計はアプリ一覧画面の「ツール/情報」フォルダ内の「からだメイト」から設定ができる
VoLTEで掛かってきた通話に応答すると、応答時に[HD]の表示と共に、高音質通話が可能
VoLTEが利用できるときは、設定画面の[モバイルネットワーク]で[4G LTE拡張モード]が設定できるようになる

 無線LANについては従来のAQUOS senseが2.4GHz対応のみだったが、AQUOS sense plusではIEEE 802.11a/b/g/n/ac準拠の2.4/5GHz対応となっている。上位機種が対応するようなMU-MIMOには対応していないが、一般的なユーザーの利用であれば、まったくストレスを感じることはなく利用できる。テザリングについては利用するMVNO各社や携帯電話会社によって異なるが、端末としてはUSBテザリング、Wi-Fiテザリング、Bluetoothテザリングに対応しており、設定メニューだけでなく、通知パネルからのワンタッチで切り替えることができる。

 また、スマートフォンAQUOSをはじめ、シャープ製端末ではおなじみの「エモパー」も搭載されており、AQUOS R2などが対応する卓上ホルダ「ロボクル」も利用することができる。エモパーについては既存機種からの移行もサポートされているため、各携帯電話会社の端末で利用してきたユーザーがこれまでのデータをAQUOS sense plusに引き継いで利用することも可能だ。

国内ユーザーが安心して使えるSIMフリー専用モデル

 これまで各携帯電話会社と契約し、各社が販売するキャリアモデルを購入するスタイルが一般的だった国内の携帯電話市場。しかし、「格安SIM」「格安スマホ」というキーワードと共に、MVNO各社が徐々にシェアを拡大し、SIMフリースマートフォンもラインアップが増えてきた。

 当初、グローバル向けモデルや海外製品が中心だったSIMフリースマートフォンもより幅広いユーザー層が「格安SIM」「格安スマホ」注目するようになってきたことで、各携帯電話会社が販売するキャリアモデルと変わらない仕様やクオリティの端末を求めるユーザーが増えつつある。

 今回、取り上げたAQUOS sense plus SH-M07は、まさにそういったユーザー層のニーズに応えるモデルと言えるだろう。防水防塵やおサイフケータイといった日本仕様をはじめ、国内の各携帯電話会社のネットワークへの対応、IGZOディスプレイによる高い省電力性能やタッチパネルのレスポンス、スマートフォンAQUOSとしてのユーザビリティを継承しながら、昨年、高い評価を得たAQUOS senseシリーズよりもワンランク上のスペックを実現することで、国内ユーザーが安心して使えるSIMフリー専用モデルとして仕上げられている。

 デュアルSIM&デュアルスタンバイなど、SIMフリースマートフォンらしい機能が搭載されていないことは残念だが、国内において、MVNO各社や各携帯電話会社のSIMカードを挿して、リーズナブルに使いたいユーザー、安心して使いたいユーザーには、もっとも適した一台と言えそうだ。家電量販店などでもデモ機が展示されているので、ぜひ一度、手に取って、試していただきたい。

法林 岳之

1963年神奈川県出身。携帯電話・スマートフォンをはじめ、パソコン関連の解説記事や製品試用レポートなどを執筆。「できるゼロからはじめるiPhone X/8/8 Plus超入門」、「できるゼロからはじめるAndroidタブレット超入門」、「できるゼロからはじめるAndroidスマートフォン超入門 改訂2版」、「できるポケット HUAWEI P10 Plus/P10/P10 lite 基本&活用ワザ完全ガイド」、「できるWindows 10 改訂3版」(インプレス)など、著書も多数。ホームページはこちらImpress Watch Videoで「法林岳之のケータイしようぜ!!」も配信中。