三井公一の「スマホカメラでブラブラ」

「iPhone SE(第3世代)」のカメラは軽快さが魅力! 富士・小田原エリアを撮り歩いてみた

 今回は「iPhone SE(第3世代)」である。5G対応、リーズナブルで小さくて軽く「Touch ID」搭載のシングルカメラ機だ。

 冒頭の写真は、「iPhone SE(第3世代)」が編集部から送られてきたときに、ちょうど「iPod」シリーズ終了のニュースがあったので、ウチに転がっていた初代「iPod」と一緒に記念撮影したもの。こう見るとなかなか感慨深いものがある。

いざ、富士山へ(以下、作例はすべてクリックorタップで元ファイルを表示)

早速富士山撮影ロケに連れ出した。田んぼに水が入りいよいよ初夏といった感じだ。ただシャッターボタンを押すだけで美しい写真が誰でも撮れるのがiPhoneシリーズのよいところである。
山中湖方面に移動して「ニコン Z 9」で8Kムービーを収録した。使用したビデオ三脚はLeofotoだ。デジタルカメラのお株を奪う勢いのiPhoneだが、まだ8Kムービーは収録できない。フルサイズ機と違いスマートフォンはセンサーサイズが小さいのでピントが深い。こんなシーンもイージーに撮影可能だ。
富士山5合目からの眺め。三保の松原方面を遠望したところ。「iPhone SE(第3世代)」はこういうシチュエーションでは辛い。シングルカメラの性である。価格とサイズを考えれば仕方がないか。
iPhoneシリーズの弱点は相変わらずだ。強い光源を撮影すると円形のゴーストが発生する。コンピュテーショナルフォトグラフィーで何とかならないものだろうか。
酒匂川を見下ろす山中に移動。夜景を撮影した。こういうシーンでも「iPhone SE(第3世代)」はツラい。ノイジーかつプアな写りは「iPhone 13」シリーズと比較すると残念感が漂う。

小田原へ移動

翌日は小田原界隈をブラブラと撮影した。お城の雄大さを28mm相当(35mm版換算)F1.8のカメラはしっかりと写しだしてくれた。
このカットは縦位置でデジタルズームして撮影したもの。やはり光学的なレンズには敵わない。「iPhone SE(第3世代)」はあまり拡大して撮影しないほうが賢明である。
お堀端の新緑を撮った。見た目以上に鮮やかな写りだ。iPhoneの写りは自然な色合いで、Androidは「盛った」色合い、と以前は言われたが、近ごろはそう簡単にはひとくくりにできないと感じる。
お城から海岸へ向かう。工事中の西湘バイパスをくぐるところのカットだ。さわやかでクリーンな描写はまるで米国西海岸のよう。小さくて軽い「iPhone SE(第3世代)」ならポケットからサッと取り出してシャッターを切れるのがいい。

週末はサッカー観戦! 観戦後は友人と一杯

週末は応援している地元のなでしこリーグ1部「スフィーダ世田谷FC」のゲームを観戦に。入場時に配られたパンフレットとキウイフルーツを撮った。
「iPhone SE(第3世代)」は若干近接撮影時にもたつく印象を受けた。色のりもややあっさりとした感じ。ゲームは残念ながら久しぶりの敗戦となってしまったが首位を堅持!
観戦後は友人を呼び出して調布で反省会。「iPhone SE(第3世代)」はシングルカメラだがポートレートモードで人物を浮かび上がらせて撮影できる。エッジ判定が微妙なところも見受けられるがまずまずの写りだと感じた。
その酒場でのカット。蛍光灯環境だったがホワイトバランスも的確で、美味しそうに目玉焼きを撮影できた。「iPhone SE(第3世代)」、メシマズ写真は撮れそうもない。

都心部の風景

知人の写真展を見に行く途中、神田川でカヌーを発見。「iPhone SE(第3世代)」をデジタルズームして撮影した。しかしやはり残念な写り。ピンチインはわずかにとどめておいた方が無難である。遠くの写真をキレイに撮りたいのであれば「iPhone 13 Pro」シリーズがいいですな。「どこまで行くのですか?」と橋上から尋ねてみると「茅場町の方まで」と返事が。お気をつけてとお見送りした。
展示をいくつかハシゴしたあと、「iPhone SE(第3世代)」を持って都心部をブラブラと徘徊。「真っ赤なポルシェ」に写り込んだビルなどを撮る。薄着になるこれからの季節、「iPhone SE(第3世代)」はシャツのポケットにスッと入る軽快感がいいですね。フットワークも軽くなりますな。
恵比寿でのカット。昭和レトロなアパートと落書きである。パッとシャッターを切っただけだが、このディテールと解像感はなかなかだと感じた。
夜の駒沢通り。バス待ち中、停留所を撮影。「iPhone SE(第3世代)」は明かりが乏しいところでは残念な写りだが、このような街灯がある街中ではまずまずの写り。ややノイジーだが時刻表も視認できる写りではある。

ひとことコメント

 リーズナブルで小さくて軽い「iPhone SE(第3世代)」。カメラがシングルなので表現力には乏しいが、写りにそれほどこだわらず、小さいスクリーンでも問題ない人ならばオススメできる端末である。

 ただ「Face ID」機との併用は、使い勝手が異なるので戸惑うシーンもあった。

 まあ、これも使用スタイル次第なので、Androidからの移行や、はじめて手にするスマートフォンとしては、これ以上のものはないのでは? と思うほどの出来映えである。上位機種と比べないことが肝要だろう。

三井 公一

有限会社サスラウ 代表。 新聞、雑誌カメラマンを経てフリーランスフォトグラファーに。 雑誌、広告、ウェブ、ストックフォト、ムービー撮影や、執筆、セミナーなども行っている。Twitter:@sasurau、Instagram:sasurau