みんなのケータイ

iPhoneの後片付けを忘れないように

【iPhone 17 Pro Max】

便利だけど、面倒なeSIM

 iPhoneの2025年モデルとして、「iPhone 17」シリーズと「iPhone Air」が発売されて、約2カ月ちょっと。

メインで利用するiPhoneは「iPhone 17 Pro Max」をチョイス。ソフトバンク回線と楽天モバイル回線を登録して利用中

 Impress Watch Video「法林岳之のケータイしようぜ!!」で4機種を順番に取り上げたり、本コーナーでもおなじみの石川温氏や白根雅彦氏とともに、書籍の「できるfit ずっと使えるiPhone 17/Air/Pro/Pro Max」を制作したりと、ここ数カ月はiPhoneに追われていた印象。Googleの「Pixel 10」シリーズも8月と10月に順次、発売されたので、Impress Watch Videoの方は「Pixel」と「iPhone」を交互に取り上げるような感じだったけど……。

 こうした番組や記事、書籍などを執筆するには、それぞれの機種を購入したり、各社から端末をお借りするわけだけど、今年の「iPhone 17」シリーズと「iPhone Air」は読者のみなさんもよくご存知のように『eSIM専用』モデル。これまでのように、nanoSIMカードを差し替えて利用できないため、新機種に買い換えた人は各ショップに出向いて手続きをしたり、自分でeSIMに変更する必要があった。

移行時は以前、利用していた「iPhone 16 Pro Max」内で[eSIMに変更]で、先にeSIMに変更した。レビューで利用したiPhoneは、前の機種がAndroidスマートフォンだったので、すべてeSIMを再発行した

 筆者のようなライターや記者、メディアに関係する人たちも同様で、何らかの形でeSIMを準備して、「iPhone 17」シリーズや「iPhone Air」に登録する必要があった。以前のように、購入した端末やお借りした端末にSIMカードを挿して、すぐに試用開始……とはいかないわけだ。

 iPhone同士であれば、元の機種内でeSIMに変更して、新しいiPhoneに「eSIMクイック転送」をすれば、すぐに利用できるけど、試用に使う元の回線がnanoSIMカードだったり、Androidスマートフォンのときは、その回線でeSIMを再発行して、iPhoneに登録し直す作業が必要。早く異なるプラットフォーム間でもeSIMが転送できるようになればいいんですが……。

iPhone内でeSIMに変更しておけば、「eSIMクイック転送」で新しいiPhoneに転送可能

意外に差があるnanoSIMカード再発行

 端末の試用が終わり、元の環境に戻すときも同様の作業が必要。たとえば、借りた端末を返却するときは、端末を初期化するため、eSIMも元々、自分が利用していた端末に戻す必要がある。戻す端末がiPhoneなら、「eSIMクイック転送」で済むけど、異なるプラットフォームなら、当然、同じようにeSIMの再発行が必要だし、nanoSIMカードに戻したいときは各携帯電話会社のショップに出向かなければならないケースも……。うー、面倒だ~。

 レビューで試用するため、各社から借りる端末は、必ずSIMカードが入っていないわけではなく、eSIMが登録されているケースもある。その場合は端末返却で初期化するとき、eSIMを消さないようにリセットする必要がある。

 eSIMやSIMカードの再発行は、eSIMがオンライン手続きに限り、無料とされているケースが多いけど、nanoSIMカードの再発行は、意外に各社でバラツキがある。たとえば、auとソフトバンクはいずれもショップ店頭での手続きが前提で、本人確認書類が必要。第三者に勝手に再発行されないためなので、しかたないけど、再発行手数料がauは3850円、ソフトバンクは4950円と、そこそこ高い。

auのnanoSIMカード再発行は、auショップで本人確認書類を提示して、手続きをする。手数料は3850円
ソフトバンクのnanoSIMカード再発行は、ソフトバンクショップ店頭での手続きが必要。手数料は4950円と、もっとも高い

 一方、NTTドコモと楽天モバイルは、オンラインでSIMカードの再発行手続きができるが、手数料はNTTドコモがドコモオンラインショップでの手続きで1100円、楽天モバイルは3300円と差がある。

NTTドコモはドコモオンラインショップで手続きをすれば、1100円でnanoSIMカードに戻すことができる
楽天モバイルのnanoSIMカード再発行は、my楽天モバイルで手続きが可能。手数料は3300円

 iPhoneで試用したeSIMの回線を今後、どうするか。筆者やライター諸氏のように、いろいろな端末で回線を登録して、試用するような場合は(普通の人はそんなことしないけど……)、やっぱり、物理的なSIMカードの方が融通が利く。特に、異なるプラットフォーム間でのeSIM転送ができず、再発行するしか手がない状況では、なかなかeSIMを優先的に利用するのは厳しいかな。いずれにせよ、早く異なるプラットフォーム間でもeSIM転送を可能にして欲しいし、MVNO各社でもeSIMが利用しやすくなるように、取り組んでいただきたいところ。お願いしますね。 > 各携帯電話会社とMVNO各社のみなさん

手放したiPhoneのApple Care+解約も忘れずに

 eSIMの再発行とは別に、iPhoneでもうひとつ忘れずに手続きしたい『後片付け』がApple Care+の解約。数年前まで、AppleCare+はiPhoneの購入と同時に契約し、2年間の補償が受けられる形式が主流だったため、2年に満たないタイミングで端末を売却したり、手放したときは、Appleのサポートに連絡して、解約後の残り月数分を返金してもらう手続きをしていた。これ、意外にご存知ない方が多いので、早期に売却したときは、Appleのサポートに問い合わせてみてください。

端末を売却したら、契約していた「AppleCare+」を忘れずに解約。月払いのときは、次回請求日で解約される。iPhoneで手続きができないときは、パソコンに[Apple TV]や「iTunes」のアプリをインストールして、[アカウント設定]-[サブスクリプション]などのメニューからデバイスを選んで解約する

 ところが、最近のApple Care+はすっかり月払いが定着。2年払いよりも少し割高だけど、購入時の負担が少ないし、買い換え時にすぐに解約できる。特に、毎年や1年おきなど、短い間隔でiPhoneを買い換えるような人にとっては、月払いの方がラク。ただし、端末を手放すときは、その端末のAppleCare+を解約しないと、継続して課金されてしまうので、注意が必要。端末上でAppleAccountをサインアウトしても端末を売却しても解約の手続きをしない限り、AppleCare+は継続して課金される。

 通常はiPhoneの[設定]アプリの[Apple Account]-[サブスクリプション]や[一般]-[AppleCareと製品保証]で契約を確認して、解約の手続きができるけど、iPhoneで複数のApple Account(従来のApple ID)を利用しているケースではちょっと手間がかかる。たとえば、iPhoneには「●▲■@icloud.com」などのApple Accountを使いつつ、アプリや楽曲の購入、サブスクリプションなどは別のメールアドレスでApple Accountを登録しているようなケースが挙げられる。

 「なんで、そんなヘンな登録をしてるの?」と考えるかもしれないが、実は2001年にiTunesのサービス提供がはじまった当時は、現在のようなiCloudのサービスがなく、楽曲を購入するためのApple ID(現在のApple Account)にはプロバイダーのメールアドレスなどを登録していた。

 その後、「iTools」「.Mac」「MobileMe」と名称を変更してきたAppleのクラウドサービスが2011年に現在の「iCloud」に移行し、「●▲■@icloud.com」などのメールアドレスがApple IDとして利用されるようになったという経緯がある。

 その結果、楽曲や映像コンテンツ、アプリなどを購入する(購入してきた)Apple Account、iPhoneやiPadでiCloudの各サービスを利用するApple Accountをそれぞれ持つユーザーが生まれ、用途別に2つのApple AccountをiPhoneに登録する形になっていたわけだ。アップルもApple IDの統合といった取り組みをしなかったため、一部のユーザーにとっては、あまり使い勝手の良くない環境が継続している。

 具体的に、どんなところで使い勝手が良くないかというと、まさにAppleCare+の解約が該当する。iPhoneには「●▲■@icloud.com」といったApple Accountを登録しつつ、iTunesやサブスクリプションで利用している旧来のApple AccountでApple Care+を契約すると、iPhoneの[設定]アプリの[Apple Account]-[サブスクリプション]にはAppleCare+が表示されない。

 そのため、契約が継続しているか否かがわからないばかりか、iPhone上では解約の手続きもできなかった。解約をするには、Windowsパソコンに[Apple TV]や[iTunes]のアプリをインストールし、[アカウント設定]-[サブスクリプション]などのメニューから該当する端末を選び、プランをキャンセルする必要がある。もしくはブラウザーでAppleCare+のサポートページにログインし、各端末で契約しているAppleCare+を選んで解約する手がある。

 こういった環境に該当する人は、そんなに多くないかもしれないけど、複数のApple Accountを利用していて、AppleCare+の解約や手続きなどがうまくできないときは、ここで説明したように、パソコンに[Apple TV]や[iTunes]のアプリをインストールしたり、AppleCare+のサポートページにログインしてみると、解決するかもしれません。