みんなのケータイ

さようなら、ありがとう SMARTalk
2025年2月28日 00:00
2025年2月28日まで、あと数日。
楽天(旧フュージョン・コミュニケーションズ)が提供するIP電話サービス「SMARTalk」が、まもなく終了します。
SMARTalkは、050番号を利用したIP電話サービスで、インターネットさえあれば世界中どこからでも30秒8.4円で国内の電話番号と通話ができました。そのうえ、月額基本料が無料で維持できるため、非常にお手軽なサービスでした。
SMARTalkを使い始めた理由は、ですね。世界のどこからでも定額で国内へ通話できたからです。筆者がSMARTalkを使い始めたのは2016年。当時、海外へ行く機会が増えていました。旅先から実家に電話をかけるとき、Wi-Fiさえあれば国内と変わらない料金で通話できるこのサービスには本当に助けられました。
もちろん、IP通話なら「LINE通話」などの無料の代替手段もあります。ただ、当時の両親はLINEを使っておらず、家の固定電話やらくらくホンしか持っていなかったため、SMARTalkの存在は非常にありがたかったのです。
ただし、通話品質のほうは……。海外からかけると、母に「ちょっと、なんか聴き取りにくいんだけど、何コレ?」といぶかしがられる程度には、微妙なものではありましたが(苦笑)。
SMARTalkには、ほかのIP電話にはない利点もありました。
多くのIP電話サービスでは「スマートフォンには適当なSIPソフトウェアをインストールして使ってください」といった仕様が一般的でした。しかし、SMARTalkは専用の公式アプリを提供しており、ユーザーが簡単に利用できるようになっていたのです。
特別な機能があるわけではなく、シンプルな電話アプリでしたが、それでも「自社専用アプリがある」というのはポイントが高かったですね。
SMARTalkを最も活用したのは、2018年9月のことでした。(当時の「みんなのケータイ」にも書かせていただきましたが)
滞在していた中国・深圳に観測レベル最凶の台風が直撃。
この時、香港経由で成田へ帰国し、その翌々日には実家へ行く予定でした。しかし、台風の影響で航空便も交通機関も完全にストップ。どこにも移動できない状況になってしまいました。
「これはダメだ」と思い、まず、香港の航空会社に電話しましたが、全くつながりません。(まぁ、よく考えてみたら電話回線は混雑していますよね)。
通信手段は……借りてきたWi-Fiルータと、ホテルのWi-Fiか……。
自宅と実家にSMARTalkで電話をかけると――つながった!
帰国の見通しが立たず、どうなるかわからない状況でしたが、電話越しに家族から「気をつけて帰ってきてね」「こっちは大丈夫だから、多少遅れても大丈夫よ」と温かい言葉をかけてもらい、なんとか気持ちを落ち着かせることができました。
今はもう、かける先の両親もいません。
だから、SMARTalkに代わる手段を用意する必要もないのですが……やはり、サービスが終了するのは少し寂しいですね。