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デュアルeSIMの「Galaxy Z Fold6」でUbigiを使って海外通信

【Galaxy Z Fold6】

 9月26日に開催されたシャオミの発表会を取材するため、ドイツに出張してきた。この出張で回線として頼ったのが、海外用eSIMのUbigiだ。同サービスは、NTTグループの1社でフランスに拠点を構えるTransatelが運営している。メイン端末のGalaxy Z Fold6がデュアルeSIMに対応しているため、普段利用しているドコモ回線のeSIMをオフにせず使えるようになったのがUbigiを選んだきっかけだ。

ドイツ出張では、TransatelのUbigiを活用した。Galaxy Z Fold6はデュアルeSIMのため、同じくeSIM化しているドコモ回線と両立できる

 ドイツで利用できるローミング用のeSIMサービスはほかにもあったが、決め手になったのは容量と価格のバランス。UbigiはNTTグループということもあってか、海外事業者ながら、日本円で料金を支払うことができる。ドル建てやユーロ建ての事業者だと、円安のあおりをモロに受けてしまうが、Ubigiは円建てで価格を維持しているためか、いくつか比較した中では料金が安かった。今回は10GBプランを購入した。

 料金は1600円だが、Galaxy Z Fold6用のアカウントを作ったのは初めてだったので招待コードで20%割引が適用され、1440円で済んだ。日本のキャリアのローミングサービスだと、滞在していた3日間で3000円近くかかってしまうため、料金は半額程度で済んだ形だ。日本で購入しておいたので、ドイツ到着後、飛行機から降りる前に通信がつながった。

ドイツ向けの料金プラン。筆者は1600円の10GBプランを購入した。容量によっては、ドイツ以外の国で使える欧州向けプランの方が安いこともある。いずれも、日本円で請求される(ちなみに、なぜかGalaxy Z Fold6のメイン画面だと表示が横になってしまう。タブレットと見なされているようだ)

 他の海外用eSIMと比べ、使い勝手がいいところもある。Ubigiはアカウントを作成したあと、まずeSIMのプロファイルをインストールする。海外用eSIMは、国ごとのプランを選んだあと、それぞれのeSIMプロファイルをダウンロードするフローにしているところが多いが、渡航の頻度が高いと少々面倒。毎回、ダウンロードしたあと端末側でeSIMの名称などを設定したりするのも手間になる。

 これに対し、UbigiのeSIMはあらかじめインストールしておきさえすれば、後は渡航時にプランを購入するだけで済む。

 もう1つのメリットが、データ容量が尽きてしまったときの扱いだ。プランごとのeSIMプロファイルをインストールする仕組みだと、容量を追加するために、別の回線が必要になる。Wi-Fiがない屋外でデータ容量がなくなってしまうと、手の打ちようがなくなってしまうというわけだ。

eSIMプロファイルを1回の使い切りにするサービスも多いが、Ubigiはあらかじめインストールしておいたプロファイルに、各国の料金プランを適用することが可能だ

 一方で、Ubigiは初回にインストールしたeSIMで、アプリ内の通信ができる。料金を払っていない状態でも、アプリだけはつながる。おそらくゼロレーティングの仕組みを使い、Ubigiのアプリだけ通信が通るようにしているのだろう。UbigiはMVNOのため、ユーザーが回線を使うと各国のキャリアから請求がくるはずだが、おそらくその部分は同社が負担しているとみられる。

 今回は10GBプランだったため、途中でデータ容量がなくなることはなかったが、実はもう1機種、購入したばかりのiPhone 16 ProにもUbigi回線を入れ、3GBプランを購入していた。ところが、こちらもそこそこ使ったためか、最終日にデータ容量が尽きてしまった。通信がまったくできないのは困るので、欧州用の500MBプランを290円で購入した。この手続きも、別途Wi-Fiなどにつながず、すべてUbigiの回線で行っている。

iPhoneのUbigi回線は容量を超過し、通信ができなくなってしまったが、Ubigiアプリは開くことができた。ただし、画像のApple Payは回線が通らないためエラーになった。そのまま購入するには、直接クレジットカードを入力する必要がある

 先ほどキャリアのローミングと比べて半額程度と書いたが、つなげる端末が増えれば増えるほど、料金は高くなってしまう。数日であれば大したコストではないものの、それは1台ならの話。2回線、3回線必要だと、それなりの出費になる。海外用eSIMは、このようなときのコストダウンに役立つ。

 また、Ubigiの場合、フランスが本拠地のためか、距離的に近いドイツでは通信の遅延が小さかった。日本のキャリアでローミングすると、いったん日本を経由してから再び欧州に戻るルートをたどるため、どうしても遅延が大きくなってしまう。そのため、通信速度以上にブラウジングなどが遅いと感じることもある。どの国のサービスを使うかにもよるが、これも隠れた海外eSIMの魅力と言えそうだ。

スピードテストをしたところ、日本にローミングするより遅延が抑えられていた。ドイツでは、5Gにもつながった

 一方で、デメリットとしては欧州の回線に接続していると見なされるため、Yahoo!JAPANなどの一部サービスが閲覧できなくなる。渡航中にはPayPayも一部の機能しか使えず、送金のためにVPNを使ってわざわざ日本に接続する必要があった。日本のキャリアのローミングなら、日本からのアクセスと判定され、こうしたジオブロッキングがかからないことが多い。こうした制約がある点には注意が必要になりそうだ。

欧州からのアクセスと見なされるため、一部サービスが利用できなくなる。Yahoo!JAPANはその代表例。ニュースが読めないなど、すこぶる不便なので何とかしてほしいのだが……