みんなのケータイ

4年ぶりの香港で活躍したデュアルSIM、eSIMの選択肢も豊富に

 今年は4年ぶりとなる行動制限がなかったゴールデンウィーク。水際対策も4月に撤廃されたため、海外旅行に行くことにした。昨年2月以降、出張は復活させていたが、純粋な旅行は久しぶりだ。今回は、後半5日間ということで近場の香港を訪れた。旅行とは言え、通信は必要。メイン端末のGalaxy Z Fold4やiPhone 14 ProがデュアルSIM対応ということもあり、現地SIMやeSIMを調達した。

 まず、メイン端末のGalaxy Z Fold4は、ドコモ回線をeSIM化してしまっているため、現地SIMは物理SIMのみしか選べない。デュアルeSIMであればeSIMも選べたが、この点は残念だ。物理SIMの場合、現地到着後に入手するのが基本だが、今回は行きのフライト(香港エクスプレス)でプリペイドSIMカードを販売していたこともあり、それを購入した。

香港エクスプレスの機内でeSIMを購入

 販売していたのは、CSLというキャリアのツーリスト用SIM。価格は通常、3GBで88香港ドル(約1540円)だが、機内特別割引で78香港ドル(約1367円)になっていた。3GBだとちょっと足りないが、実はCSLでは、6月30日まで、プロモーションとしてデータ容量4倍キャンペーンを実施している。3GBのSIMが12GBになるというわけだ。これは太っ腹。久々に観光客を迎え入れる香港の意気込みを感じた。

6月末までのキャンペーンで、データ容量は4倍に。日本語のサイトも用意されている

 機内販売で購入し、SIMカードを入れ替えておけば、現地到着後、すぐにデータ通信を利用できる。SIM入れ替えの手間はかかるが、空港や街中で物理SIMを購入するよりも手っ取り早い。国際ローミングも使いやすくなってはいるものの、この金額で滞在中のデータ通信をまかなえるのはやはり安い。ただ、香港では22年からSIMカード契約の実名登録が必須になっていたため、利用時にはパスポート写真のアップロードが求められた。未登録の状態でも登録サイトにはアクセスできたため、着陸後すぐに手続きしたが、ひと手間増えている点には注意したい。

 一方で、もう1機種のiPhone 14 Proには、国際ローミング用のeSIMをセットしておいた。今回利用したのは、いつものAiraloではなく、NTTグループのNTTメディアサプライが提供する「Lesimo」というサービスだ。香港向けにはさまざまな料金プランが用意されているが、決め手になったのは5月末まで募集していたトライアル。どのプランを選んでも無料ということで、一番データ容量の多い20GBプランを選択した。

NTTメディアサプライが始めた新サービスのLesimo(ルシモ)を使ってみた

 アカウントを作り、プランを選んだあと、支払いを済ませる際にクーポンが適用され、本当に0円でeSIMプロファイルを購入できた。QRコードはマイページに表示されるため、これを読み込んで設定を完了。香港では、こちらもCSLにつながっていた。5日間の滞在のため、20GBもあれば容量は十分。ローミングにはなるものの、速度も十分だった。

無料ということで、データ容量が最大のプランを購入した。ただし、有料だと3万円を超えてしまう

 ただ、有料でこれを使うかというと、「うーん」と言わざるをえない。今回購入した20GBプランが、約3万円するからだ。これだと、現地でSIMを買うのはもちろん、国際ローミングより割高になってしまう。タダで使っておいた立場で言うのもあれだが、さすがに20GBに3万円は払いづらい。また、たとえば7日間有効の10GBプランが5980円なのに対し、15日間有効の10GBプランが1万3000円強と、少々価格のバランスが悪く、改善の余地がある。

 価格は対象国、データ容量、有効期限の3要素で決まっているようだが、それがバラバラに並んでいるため、必要なものを比較しながら選びにくいのも難点だ。トライアル中ではあるものの、ユーザーインターフェイスは正式サービス開始後に改善が必要だと感じた。また、同じNTTグループ内には、TransatelのUbigiのようなサービスもあり、アプリもサポートも日本語化されている。こうしたグループ内競合とどう戦い、どう共存していくのかも課題になりそうだと感じた。

通信可能な地域とデータ容量、さらに有効期限ごとに料金が設定されており、組み合わせのパターンが多すぎてなかなか必要なものにたどり着けなかった。この見せ方には改善の余地がある

 ちなみに、サブで持っていったPixel 7は、楽天モバイルの国際ローミングで通信を利用した。こちらは、2GBまで無料。通信量は国内分と合算されるものの、計3GBに抑えれば月額1078円で済むのでお得感がある。2GBだけだとさすがに滞在中の通信をすべてまかなうことは難しいが、現地SIMを買うまでの“つなぎ”にしたり、予備の端末、回線として使うには十分だ。

楽天モバイルの海外データローミングは2GBまで無料。香港は、5Gローミングにも対応する

 コロナ禍の真っただ中に新規参入した経緯もあり、同社の国際ローミングは意外と知られていないことが多い。海外渡航が多いユーザーは、あらためて楽天モバイルの国際ローミングをチェックしてみることをおすすめしたい。