みんなのケータイ

12年前、「モバイルブースター」に助けられた

 2日ばかり過ぎてしまいましたが、今年で東日本大震災から12年です。街づくりやインフラの再建はほぼ完了したとされる一方、現在も避難生活を続けている方々がいるということで、早期の完全復興を願ってやみません。実は当時、筆者も東北地方某県に住んでおり、つまりは被災者のひとりだったのですが、このことは電源の確保の重要性をよく知るきっかけになりました。

写真に写っているバッテリーは「cheero Power Plus 5 Stick」

 幸いにも筆者が住んでいた地域は、そこまで甚大な被害はありませんでした。しかし、数日間ほど停電するという事態になってしまい、そうなると困るのがスマートフォンのバッテリーの確保です。

 筆者はNTTドコモから発売された「Xperia SO-01B」を使用していましたが、なかなかの勢いでバッテリーが減っていく……。貴重な情報源であり、外部との重要な連絡手段でもあるので、これが使えなくなるのは非常に困ります。余談ですが、筆者家付近は発災後でも電話も通信も普通に使えていました。当時は「あって当たり前」と気にしていませんでしたが、今思うと大変にありがたい話です。

 しかし停電というのは一大事です。パソコンでネットもできずテレビも見れないのでひたすら横になって天井を眺めていました。3月上旬の東北は、はっきり言って普通に真冬なので外に出る気にもなれません。スマートフォンは停電の復旧状況を知るために電力会社のWebサイトを見たり、知人・親族と連絡したりという程度の使用にとどめていたのですが、それでもまあまあな速度でバッテリーが減っていきます。いつ電気が復旧するか分からないのに「これはまずいのではないか?」と思い始めました。ちなみに同居していた家族の携帯電話は、発災後そうそうにバッテリー切れになったので、連絡手段は筆者のXperia SO-01Bだけ。極めて強い危機感を覚えましたが、そこでふと思い出したのがモバイルバッテリーです。

 筆者は当時、三洋電機の「モバイルブースター」をたまたま持っていて、たまたま被災前日にフル充電していたため、どうにかライフライン復旧までの期間をしのげました。当時は今ほど世間一般に浸透した製品ではなかったような気がしますが、あのモバイルブースターがなかったら、最後までもたなかったのは間違いないでしょう。正直、筆者は購入後ほとんど使っていませんでしたが、気まぐれで充電したのが幸いしました。

 街でモバイルバッテリーで給電しながらスマートフォンを使っている人を見かけることも珍しくなく、あえて購入を意識するというほどのものではないのかもしれません。しかしだからこそ、必要になったときに「残量ゼロ」なんていうことにならないように充電管理をしっかりしたり、必要なら非常用のバッテリーを備えたりという小さな心がけが必要とも考えられます。

 ちなみに携帯電話事業者では、基地局などの復旧への備えにあわせて避難所用の設備として充電器を設置するなどの対策をとっており、自治体でも充電用の機器やモバイルバッテリーを用意しているケースもあります。

左=KDDIの「災害用充電BOX」。右=フリーWi-Fi。いずれも3/2の「2023 KDDI災害対策訓練」で撮影

 ケータイ Watchなので、あくまでスマートフォン関連の話に終止しましたが、災害への備えは食料や医薬品、付近の避難所の確認など含めて定期的に見直し、万全の備えを整えておきたいものですね。