みんなのケータイ
iPadだとARは使えないけどちょっと面白いARグラス「Nreal Air」
2022年5月17日 00:00
ARグラスの「Nreal Air」を購入した。両眼に半透過型ディスプレイを搭載するARデバイスだ。KDDIとNTTドコモから販売されていて、価格は約4万円。サングラスに近いデザインで、外出先でも使いやすい数少ないARデバイスである。
このNreal Air、一部のハイエンドAndroidスマホに接続すると、宙空にアプリウィンドウを表示させるARモードが使える。このARモードが最大の特徴……なのだが、筆者はARモードは使わず、もうひとつのミラーリングモードのためにNreal Airを購入した。
ちなみにミラーリングモードで使う場合も、アクティベーションとミラーリングモードへの切り替えに、ARモード対応のAndroidスマホが必要だ。最初の1回だけなので借りてもOKだが、借りるアテがない場合はどうにもならなくなるので注意が必要である。
ミラーリングモードは、USB Type-CのDisplayPort over Alternate modeで入力される映像を映し出すモードだ。Altモード対応のスマホやタブレットにケーブルを繋ぐだけで、そのスマホやタブレットの画面を映すことができる。ただのヘッドマウントディスプレイとなるわけだが、これがなかなか使いやすい。
Nreal Airの解像度はフルHD、表示サイズは視野角で46度。大雑把な感覚で言うと、卓上の20インチディスプレイくらいの感覚で使える。VRゴーグルと比べると視野は狭いが、逆に使いやすい大きさで、表示もかなりくっきりしている。WindowsやmacOSなど、ウィンドウベースのUIを表示するにはやや狭めだが、スマホやタブレットなど全画面アプリが基本のUIならば問題ない広さでもある。
筆者はNreal AirにiPad miniや11インチiPad Proを接続して使っている。Nreal Air上でも、手元に置いたiPadより大きいくらいのサイズで画面が見えるので、文字なども読みやすい。iPad自体のディスプレイより解像度は低くなるが、不便を感じるようなこともない。
もちろん、Nreal Airの画面をタッチすることはできないので、iPad側をタッチする必要があり、Nreal Airを着用しているとやや操作しづらい。しかしそれでも動画視聴、WebブラウザやSNS、電子書籍など、閲覧中心の用途ならば問題ない。
iPadにキーボードやマウスを繋げば、一通りの操作が可能になる。特におすすめなのは、iPad Pro / Air向けのMagic Keyboardだ。少々お高いが、トラックパッドがついているのでタップ操作ができるし、2本指スワイプによるスクロール操作、4本指スワイプによるホーム画面表示、ピンチイン・アウトなどのジェスチャ操作にも対応する。
Nreal Air使用時にMagic Keyboardがあると、ベッドや安楽椅子など、重力に逆らわない姿勢で一通りのことができてしまうのがちょっと面白い。この原稿も半分くらいは安楽椅子に座った状態で執筆している。
で、筆者はこのNreal Airを高速バスでの移動中に使おうと思って購入したのだが……残念ながら揺れる環境での利用にはあまり向いていない。車両の振動でNreal Air、というか自分の頭自体が動いてしまうので、そこそこの手ぶれ補正機能がある我らの優秀な眼球から見ると、画面が揺れて見えてしまい、酔うのだ。
まぁ筆者は乗り物酔いしやすいタチで、慣れればマシになるかもだし、膝上や座席のテーブルに乗せたノートパソコンを覗き込むよりはマシなのだが……あまり揺れない環境での利用をメインに考えたほうがよさそうである。
あとは重さが79gと、この手のデバイスとして軽量なものの、普通のメガネやサングラスよりはだいぶ重たい。フロントヘビーなためノーズパッドに重さが集中するので、長時間の着用はちょっと辛い印象だ。30分のアニメを視聴するくらいなら大丈夫だが、2時間の映画となると、途中でめげてしまう。
また、そこそこの内蔵バッテリ容量があるはずのiPadでNreal Airを使っていても、バッテリ残量をモリモリ消費する。映画を1本見たら、ほかの作業をするには心もとないくらいに減りそうだ。iPadで使う場合、唯一のUSB Type-Cポートを占有するので、充電しながら使えないのも地味に痛い。
Nreal Airは、何に使えるとか、何で便利とか、そういうことをハッキリ言いにくいデバイスだが、既存のデバイスとは異なる使い方ができる面白いデバイスでもある。筆者もまだ価格分の使いこなしはできていないが、いろいろなユースケースを試せるというだけでも意義があるので、今後もいろいろと楽しんでいきたい。