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楽天モバイルが「最強こどもプログラム」を発表、キーパーソンが語る提供の狙い

 楽天モバイルは2日、12歳以下のユーザーに向けた割引プログラム「最強こどもプログラム」の提供を開始した。

 加入することで楽天ポイントが毎月付与される。付与ポイント数は、月々のデータ利用量が3GB以内であれば440ポイント、3GBを超過した場合は110ポイントとなる。

 報道陣向けの説明会には、マーケティング企画本部 本部⻑の中村礼博氏、サービス企画推進部 副部⻑の三浦愛⼦氏が登壇し、提供の狙いなどを語った。

中村氏
三浦氏

「最強家族プログラム」「最強青春プログラム」に続く割引プログラム

 楽天モバイルでは2024年2月、割引プログラムとして「最強家族プログラム」を開始した。最強家族プログラムの提供開始後、家族による申込みは約2倍に伸びたという。また、累計の契約数はすでに50万契約を突破している。

 続いて2024年3月には、22歳以下を対象とした「最強青春プログラム」が始まった。先述の最強家族プログラムと併用でき、「多くの人が併用している」と中村氏は語る。22歳以下の人の申込みは、プログラム発表後に約2倍になったという。

 回線の契約数について中村氏は、「650万回線を突破した4月3日以降も、契約数は順調に増えている。700万回線突破も、遠くない時期に発表できると見込んでいる」と自信を見せる。

子供のスマホデビューに最適

 「最強こどもプログラム」の提供の背景を説明するにあたり、中村氏は2007年に米国で発売されたiPhoneをはじめとして、スマートフォンやインターネットサービスの普及の歴史を振り返った。

 2010年以降に生まれた世代を指す「アルファ世代」は、その一番の特徴は「生まれる前からスマホが存在していたスマホネイティブ、つまり真のデジタルネイティブ」(中村氏)。

 しかし、アルファ世代のスマートフォン所有率は意外にも高くないという。東京都の調査では、小学校1年生~3年生で27.2%、小学校4年生~6年生でも43.0%となり、半数に達していない。

 子供にスマートフォンや携帯電話を持たせる前の心配ごととして、「SNSでのトラブルに巻き込まれる」「子供のスマホ代がかかる」といった声が多かったようだ。

 そこで、「スマホは基本的人権」を掲げてスマートフォンの普及を図る楽天モバイルが、「最強こどもプログラム」を提供するに至った。

 有料でフィルタリングを利用できたりポイント還元を受けられたりする「最強こどもプログラム」について、三浦氏は「『最強こどもプログラム』は子供のスマホデビューに最適。家族全員で楽天モバイルに乗り換えて、もっとお得なスマホ生活を楽しんでほしい」と語った。

質疑応答

――「最強こどもプログラム」について、3GBまでで利用を止めることは可能なのか。子供の使いすぎが不安。

中村氏
 現状、止める機能というのはありません。そういったお声が出てくるだろうとは思いますので、今後の検討課題とさせていただければと思います。

――「最強家族プログラム」「最強青春プログラム」における純増数や解約率など、具体的な数字を教えてほしい。

中村氏
 「最強家族プログラム」の累計契約数は、50万契約ということで発表させていただいています。

 そのほかの数字は今回発表できませんが、当然ながら解約率が低くなるだろうとか、プラスの効果を見込んでいます。

 (提供から)まだ2カ月ですが徐々に検証を始めるところですので、今後機会があれば発表させていただくこともあるかもしれません。ですが、現時点ではお伝えできないということになります。

――「最強こどもプログラム」は、12歳という年齢で区切られている。15歳や18歳ではなく、12歳になったのはなぜか。提供の背景とあわせて知りたい。

中村氏
 まず、「最強こどもプログラム」を今回提供する背景としまして、いったん「最強青春プログラム」を提供し、お子さんのデータ利用量やお客さまの声(を調べたり)、市場調査を実施しました。

 「そんなにデータは使わないので、安くしてくれたら嬉しい」というお声をいただいていまして、まずはそこに応えたということです。

 年齢の理由について、ひとつの区切りとして小学生を目安にしています。中学生や高校生になるタイミングでデータ(利用)量が上がっていく傾向がありましたので、今回は12歳、小学生をターゲットとさせていただきました。

――「最強家族プログラム」「最強青春プログラム」に加えて「最強こどもプログラム」ということで、ユーザーとしてはありがたいと思う。反面、楽天モバイルにとってはARPU(ユーザーひとりあたりの平均売上)への影響があると思うが。

中村氏
 当然、ポイント還元をしますので、収支へのインパクトというのはあります。

 ただ、「最強家族プログラム」や「最強青春プログラム」と同様、解約率の低下ですとか、「最強こどもプログラム」をきっかけとした加入者の増加、こういったものでトータルではプラスになっていくだろうと見込んでいます。

――「最強こどもプログラム」を契約する際、「あんしんコントロール by i-フィルター」の契約が必須という話だったが。

中村氏
 説明が誤解を招いたかなと思いますが、「最強こどもプログラム」として必須ということではありません。

 「青少年インターネット環境整備法」という法律で、(利用者が)18歳未満の場合にこういうフィルタリングサービスをつけるということが義務付けられています。あくまで対象年齢として、まずは義務付けられているということです。

 ただ、こちらは親権者さまから「不要」という申請をいただければ、外すことができます。

――家族全般を3つのプログラム(「最強家族プログラム」「最強青春プログラム」「最強こどもプログラム」)でカバーしていると思うが、シニアがカバーできていない。

中村氏
 今後検討していきたいと思います。現時点でお伝えできる内容はありません。

――今回の「最強こどもプログラム」導入で、回線数などの目標があれば。

中村氏
 月並みですが、残念ながら数字についてはお答えできません。

 当然ですが、ひとつのドライバーとして獲得を増やしていきたいと思いますし、次は700万(回線)、800万、1000万と、どんどん数字を増やしていきたいと思っています。

――子供へのサービス提供時の考え方を知りたい。「親権者が子供と一緒に、どのように管理をするか」ということをベースにしていて、特別の端末やソフトウェアを作るというように、サービス側で強い制約をかけるわけではない。サービス設計の考えはどのようなものなのか。

中村氏
 私見も入りますが、お子さんにスマートフォンを利用いただく場合に、SNSのトラブルやいじめなど、いろいろなリスクが考えられると思います。

 それは年齢によっても違うと思いますし、時代によっても違ってくるかなと思いますので、それは各ご家庭の親御さまの判断、親御さまと子供の対話の中で決めていただくというのが一番ではないかなと思っています。

 ただ、その中でキャリアは何もしなくていいかというとそんなことはなくて、最低限の安全装置というか、犯罪に巻き込まれないためのケアは必要だと思っていて、それが「あんしんコントロール by i-フィルター」だったりするのかなと考えています。

――オリジナルの端末を過去に出していたと思うが、ソフトウェアとかハードウェアでキッズ向けのものを作る可能性はあるのか。

中村氏
 現時点では回答できる内容はありません。ただ、要望としては出てくるかと思いますので、ぜひ検討していきたいと思います。

――「スマホは基本的人権」というプレゼンがあった。世の中の小学校などを見ていると、スマートフォンを全面的に禁止しているところもあると思うが、楽天モバイルとしてはどのように打開していきたいのか。

中村氏
 こちらも私見になる可能性がありますが、時代としてスマートフォンの波は避けられないと思います。それを禁止するのではなく、いかにうまく付き合っていくのかに目を向けるべきかなと考えています。

 一部自治体さまや教育機関さまで、そういう保守的な判断があるところもあると認識しています。今は過渡期かなと思っていまして、時代とともに議論が進み、そのあたりも最適解が見つかっていくのではないでしょうか。一概に禁止すべきものではないと思っています。