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Android 10の新操作、ジェスチャーナビゲーションの長所と短所

【Pixel 3a】

 Androidの新バージョン、「Android 10」が9月のはじめに公開されました(※関連記事)。今回から“お菓子の名前”のコードネームは廃止ということで、Donut時代からのユーザーとしては少々寂しい気もしますが、さっそく「Pixel 3a」をバージョンアップしてみました。

Android 10になったPixel 3a

 今回の新バージョンはフォルダブル端末や5Gに向けた改良が施されていたり、セキュリティとプライバシー保護が強化されたりと、少なくとも既存端末をバージョンアップして使う分にはあまり目に見える変化はないのかな? と思いきや、操作が大きく変わる新機能が追加されています。

 Androidの基本操作の変遷を振り返ると、オンスクリーンキーへの移行が始まったAndroid 4.0からAndroid 8.1までの数年間、デザインの変更はあったものの「戻る」「ホーム」「アプリ履歴」の3ボタン操作が大きく変わることはありませんでした。1年前、2018年夏にリリースされたAndroid 9では、スワイプ操作を取り入れた「戻る」「ホーム」の2ボタンナビゲーションも選択できるようになりました。

 Android 9の2ボタンナビゲーションは、それまでの3ボタンのうち「アプリ履歴」の役目を「ホームボタンを上にスワイプする」という操作に割り当て、ボタンをひとつ減らしたものでした。Android 10のジェスチャーナビゲーションは、さらに「戻る」「ホーム」もスワイプ操作に置き換えたものです。

ジェスチャーナビゲーション
2ボタンナビゲーション
3ボタンナビゲーション

 Android 10にバージョンアップしたPixel 3aでは、ジェスチャーナビゲーション、2ボタンナビゲーション、3ボタンナビゲーションの3種類すべてを選択できるので、しばらく使い比べてみました。

 新しいジェスチャーナビゲーションの長所としては、基本操作がすべてスワイプになったのでナビゲーションバーの高さが最小限に抑えられ、画面を広々と使えます。また、アプリ履歴を開く操作は「上スワイプ」なので2ボタンの操作と一見似ているのですが、ホーム画面からドロワー(アプリ一覧)を開くときにアプリ履歴を経由するという不思議な動作が解消され、すぐにドロワーからアプリを探せるようになりました。

ジェスチャーナビゲーション(左)のほうが少しだけ画面を広く使える

 一方、ジェスチャーナビゲーションを使ってみてイマイチだと感じたのは「戻る」操作。左右どちらかの画面端から内側に向かってスワイプするとひとつ前の画面に戻るのですが、特に左端からスワイプする操作はアプリの操作と干渉してしまい使いにくい場面があります。

 たとえば、Twitterアプリは左端からスワイプするとメニューが開くのですが、「一番端からスワイプしたら戻る操作、少し内側からスワイプしたらTwitterのメニュー」という繊細な操作が必要に。また、Facebook Messengerのチャットヘッドなども干渉気味。もっとも、新しい操作が普及してアプリの対応も進めばこのような場面は減ってくるでしょう。

アプリの切り替え操作

 2ボタンナビゲーションに設定を戻してみると、実はこちらも少しAndroid 9のときと挙動が変わっています。ホームボタンを左右にスワイプすると直前に使っていたアプリを行き来できるのですが、この動きが変わって1スワイプにつき1アプリの移動になりました。これはジェスチャーナビゲーションの場合でも同様です。

 Android 9では指を動かした距離に応じて2つ、3つと一気に移動できたのでそちらの方が速く操作できた場面もあると思いますが、手早く操作した時に意図したものと違うアプリまで戻ってしまうことがなくなり、狙い通りの動きをしてくれるのでこれはこれで便利です。

 3ボタンナビゲーションを選択したときの動作は、Android 9までと大きな違いはありません。決まった役割を持ったボタンを見て、押すというシンプルな操作方法なので、Android 10で選択できる3種類のなかでは一番エントリーユーザーでも馴染みやすい操作でしょう。見た目から操作を推測するのが難しいジェスチャー操作に完全に取って代わられることはなく、今後も3ボタンは残っていくのではないでしょうか。