みんなのケータイ
仮想空間にスマホは持ち込めないけど、通知だけは届くようにしてみた
2019年6月19日 06:00
2月にも本コーナーで書いたが(関連記事)、筆者は運動不足を解消するべく、2月ごろからVRゲーム「Beat Saber」をプレイしている。
体調が悪い日や極端に忙しい日以外は、ほぼ毎日1時間くらい、Apple Watchのアクティビティによると500kcal弱くらいの運動を、VRゲームでこなしている。筆者は高血圧オジサンなのだが、運動するようになってから、血圧測定値もだいぶ良好な数値になってきた気がする。
非常によい効果が出ていると思うのだが、問題もある。1日1時間かかるのだ。ほかの運動に比べると、準備や移動もなく、手間も時間もかからない方だと思うが、しかしプレイ中の1時間のあいだ、VRゴーグルしか見られないということに問題がある。というのも、そのあいだにメッセージなどが届いても、何のメッセージが届いたかもわからないのだ。VR空間にスマホを持ち込むことは、(少なくともいまのところは)できないのである。
正確に言うと、VRプレイ中もApple Watchは身につけているので、アプリの通知があったかどうかは、Apple Watchの振動で知ることができる。VRゴーグルを少しずらせば、ノーズパッドの隙間からかろうじてApple Watchの画面を見ることもできるが、しかしかなり面倒かつ見えにくいので、ちょっとした通知を確認するのには向いていない。
皮肉なことに、VR空間にいるときはネットから隔絶されたも同然なのだ。毎日1時間ネットから隔絶され、仕事のメッセージなどに反応できないというのは、ちょっと心配なものがある。そんなわけで仕事のメッセージの少ない夜、20時以降とかにプレイすることが多くなるのだが、遅い時間に激しい運動をすると、就寝時間も遅くなりやすい。やはり日中、とくに血糖値の上がる食後とかにVRをプレイするために、VR空間内でもネットにつながれるようにしたい。
そこで「Pushbullet」というアプリを使うことにした。このアプリ、自分の持つ複数のデバイスの連携をさせたり、ほかのユーザーとファイル交換したりと、いろいろな機能があるのだが、Android版アプリの機能の一つに、あらゆるアプリの通知をほかの端末に転送する、通知ミラーリング機能がある。これを使ってみることにした。
まず通知元となるAndroidスマホにこのアプリをインストールし、通知ミラーリングの設定をする。さらにVRをプレイするWindowsパソコン側にもPushbulletのアプリをインストールすれば、スマホに届いた通知をすべて、パソコン側のアプリで見ることができるようになる。
パソコン側のアプリに届いた通知をVR空間内で見るために、「OVRdrop」というツールを使う。これはWindows上の任意のウィンドウをVR空間に表示するツールで、これでPushbulletの通知ウィンドウをVR空間内に表示させる。Steamで販売されてる(1980円)アプリで、SteamVRならどのゲームのVR空間上にも表示できる。
OVRdropはウィンドウをVR空間内のどこに表示させるかを細かく設定できるのだが、とりあえずVRコントローラーの裏側に表示されるようにした。ちょうど手に持ったスマホを見るような動作でコントローラーを裏返すと、通知ウィンドウが表示される。ウィンドウはやや大きいが、コントローラーを裏返さないと見えないので、ゲームなどの邪魔にはなりにくい。
通知が来た瞬間にポップアップ表示、とかではないが、たとえばBeat Saberならステージクリア後、次のステージを選んでいるときなどにちょっと通知確認するというようなスタイルが合っている。Beat Saberはプレイ中、スコアすら見る余裕がないくらい忙しいので、そもそもポップアップ表示されても意味がない。また、Pushbulletなら複数のアプリ・サービスからの通知がまとめて表示されるので、いちいちウィンドウを切り替えたりしないで済むのも良い感じだ。
せっかくVR、つまり「仮想世界」に没入してるのに、「現実世界」を気にするなんてオカシイのでは、と最初は思っていた。しかし「現実世界」で反応しなきゃいけないスマホの通知を「仮想空間」に居ながら確認できるようにすると、小さな通知ウィンドウ以外の「現実世界」を気にしないで良くなり、むしろ「仮想世界」に没入しやすくなった。ちょっと面白い感覚だ。
まだ完璧じゃないと思うし、ほかのツールを含め、もっとチューニングしていけば、もっともっと便利になりそうでもある。もちろん、どんどん新しいツールやサービスが登場しているようだし、筆者が知らないツールやサービスもたくさんある。1日1時間くらい没入している仮想世界なので、iPhoneを持ち込めないにしても、iPhoneがあるのと同じくらい便利になるようにしたいものだ。