DATAで見るケータイ業界

NTTドコモの住信SBIネット銀行子会社化で注目集める“携帯キャリアの銀行業”、各社の状況を整理する

 NTTとSBIホールディングスが資本業務提携を行い、NTTドコモが住信SBIネット銀行を子会社化することが発表された。クレジットカードや証券、決済などその他の金融サービスは既に取り揃えており、今回、唯一埋まっていなかった銀行業を傘下に収めたことで、競合する携帯キャリア各社と同じスタートラインに立ったかたちだ。

 そこで今回は、携帯キャリア各社の銀行業の状況をデータから整理してみたい。

住信SBIネット銀行の口座数、PayPay銀行とほぼ肩を並べる水準

 上のグラフは、各銀行の口座数推移をまとめたものだ。25年3月末時点での各社の口座数を比較すると、楽天銀行の1683万が他社を大きく引き離す水準となっている。住信SBIネット銀行は825万で、PayPay銀行の894万に匹敵する規模感となっている。

 注目すべきは、4社そろって口座数を右肩上がりに増やしている点だ。前年度比で楽天銀行の159万増を筆頭に、PayPay銀行が105万増、住信SBIネット銀行が99万増、auじぶん銀行が77万増と、順調に顧客開拓を進めている。

住信SBIネット銀行の預金残高は、楽天銀行除く2社を大きく引き離す

 さきほどと同様、各銀行の預金残高推移もグラフに取りまとめた。25年3月末時点での各社の預金残高を比べると、最多となったのは口座数と同じく楽天銀行で、11.3兆円だった。

 しかし、2番手以降の状況は口座数とはリンクしていない。住信SBIネット銀行が9.8兆円で楽天に次ぐ規模感となった一方、口座数では2番手だったPayPay銀行は1.9兆円にとどまっている。

 もともとネット銀行で大手の一角を占めていただけに、住信SBIネット銀行は競合に引けを取らない規模感であることが数字の上からも改めて整理できた。

 銀行業の取り込みが最後発となったNTTドコモが、これからどのようにスタートダッシュを切るのか、経済圏との連携など新たな施策に期待したい。

IT専門の調査・コンサルティング会社として、1993年に設立。 主に「個別プロジェクトの受託」「調査レポート」「コンサルティング」サービスを展開。 所属アナリストとの意見交換も無償で随時受け付けている。 https://www.mca.co.jp/company/analyst/analystinfo/