DATAで見るケータイ業界
企業向けのデバイス管理サービス「MDM」、中堅企業への普及率は25%程度にとどまる
2025年8月5日 06:00
法人におけるモバイル活用で避けて通れないセキュリティリスク。端末の紛失や情報漏洩がその筆頭格だが、これらの懸念への対応策となるのが「MDM(モバイルデバイス管理)」だ。
国内外のベンダーに加え通信キャリアもMDMサービスを展開中
MDMとはスマートフォンやタブレット、ノートパソコンなど業務端末を一元的に管理・運用するためのシステムで、端末設定やアプリケーション一斉配信などの日常的な端末管理と、紛失・盗難時に第三者の操作を防ぐ遠隔ロック・データ消去などセキュリティ対策の機能を備えているのが一般的である。
この分野では「Microsoft Intune」のようなグローバルベンダーの製品だけでなく、国内ベンダーによるMDMサービスも充実している。加えて、通信キャリア各社も独自サービスを展開している。
通信キャリアのサービスについては、MDMの機能自体は他社からOEM提供を受けているものが多いが、端末と回線を販売している立場を活かし、導入から運用まで一体的に支援したり、MDM料金を回線料金と一括で請求したりと、工夫を凝らしている。
キャリア側には、付加価値サービスによる契約単価の引き上げや、ソリューションによる他社への転出抑止といった狙いがあり、導入を積極的に働きかけている。
中堅企業へのMDM普及率は25.8%、企業への普及は道半ば
実際、MDMサービスは企業側にどの程度浸透しているのだろうか。弊社が7月に発表した、中堅企業(従業員数300~999名)におけるITセキュリティ投資に関する調査によれば、「MDM(モバイル管理)」の導入率は25.8%だった。
業種によってMDMの導入率には差があり、「流通・小売・卸売り」、「教育・学校」では3割を超えた一方、導入率が1割程度にとどまる業種もあった。
その他のセキュリティ対策と比較すると、「ウイルス対策ソフト」や「ファイヤーウォール」、「メールセキュリティ」の導入率は半数を超えており、MDMの普及は道半ばの状態だ。
言い換えれば、市場拡大の余地が残されている状態である。セキュリティ対策の重要性が増すなか、今後さらなる普及が期待されるだろう。


