DATAで見るケータイ業界
携帯各社の回線系ARPUは右肩下がり、一方で注力分野の金融・決済はいずれも軒並み成長を維持
グラフで比較するキャリア決算(2)
2022年6月14日 00:00
通信キャリア各社の2022年1~3月期決算を比較する本企画。前回の契約数に続き、今回はARPU(1契約数あたり収入)と金融・決済分野の動向を整理する。
1契約あたり収入を示す回線系ARPUは右肩下がり、22年度も大幅減の公算
各社が開示するARPUのうち、通信料収入が基準となっている「回線系ARPU」を見てみると、NTTドコモが4140円(前年同期比150円減)、KDDIが4050円(同330円減)、ソフトバンクが3980円(同280円減)と、いずれも下落する結果となった。
この傾向は当面続きそうだ。各社とも2022年度(平均)のARPU予想を開示しているが、21年度と比べてNTTドコモが200円減、KDDIが400円減、ソフトバンクが270円減を既に見込んでいる。この予想通りの推移となれば、四半期ベースでは各社とも回線系ARPUが4000円を下回るのは確実とみられる。
通信系の収入は、ARPUと契約数の掛け算によって計算されるので、ARPUが減少しても契約数が増加すれば、全体の収入増をはかることは可能だ。とはいえ、ここまでARPUが急減していると、契約数の増加で補うことにも限界がある。通信料値下げが与えたインパクトの大きさが、改めて浮き彫りとなった。
クレジットカード取扱高、各社とも前年比2桁成長
ARPUとは対照的に、各社が注力する金融・決済分野は絶好調といえる。2022年1~3月期のクレジットカード取扱高は、楽天カードが4兆497億円(前年同期比26.2%増)、NTTドコモが1兆7600億円(同23.9%増)、Zホールディングスが7732億円(同22.5%増)。3社揃って2桁成長を記録した。
クレジットカードだけでなく、スマホ決済など決済サービスの数字も加えた「金融・決済取扱高」も同様の動きを示している。金融・決済取扱高を開示している2社に加え、クレジットとスマホ決済の数字を開示しているZホールディングスの状況を整理したのが下のグラフだ。
各社の1~3月期の取扱高は、KDDIが3兆4270億円(前年同期比34.2%増)、NTTドコモが2兆3700億円(同24.7%増)、Zホールディングスが2兆3036億円(同42.1%増)と、急拡大を続けている。