DATAで見るケータイ業界

メイン3ブランドの店舗数は直近3年で350店減少、激変するキャリアショップ展開状況

 NTTドコモが打ち出した店舗網の大幅削減方針。現在2300店舗程度あるドコモショップのうち、約3割にあたる700店舗程度を4年間で一気に減らす激変措置だけに、各方面に大きな衝撃を与えている。

直近3年間でいえば、ドコモは店舗網維持の“優等生”

 とはいうものの、オンラインでの契約が進む中で、ネットと店舗網をどうバランスさせていくのかは、キャリア各社にとって共通の課題である。

 実際、過去3年間の店舗数の動きを弊社の調査データから集計したところ、3社のメインブランドはいずれも店舗を削減しており、その総数は350店にのぼっていることが明らかになった(3年前はMNO参入前の楽天は除外した)。

 なかでもauは、実は3年前の2019年2月時点では、NTTドコモやソフトバンクと並んで2300店台の店舗網を抱えており、かつ、わずかながら他ブランドを上回っていた。だが、3年間で1割弱の店舗網圧縮に取り組んだ結果、2143店(2022年2月時点)まで減らし、一足早く身軽になっている状況だ。

 他方で、UQ mobileの店舗網は拡大基調で、弊社がキャリアショップと定義する単独店(UQを専売する「UQスポット」)だけで92店舗増加している。また、同社はこの3年のあいだで、ほぼ全てのauショップ・au StyleでUQ mobileも取り扱う「マルチブランド化」を完了させており、その分も含めれば2200店近くタッチポイントを増加させた計算となる。

 店舗のマルチブランド化推進はソフトバンクも同様だ。ワイモバイル(Y!mobile)の店舗数は、この3年間で単独店が270店近く減少した一方、ワイモバイルを取り扱うソフトバンクショップが330店以上増加しており、全体では60店舗強の増加となっている。

 今回、大幅減の方針が注目を集めるNTTドコモは、3年間で45店減(1.9%)にとどめており、3年経っても2308店(同時点)と2300店台を死守している。メインブランドのなかでは、直近3年間でいえば、店舗網をなんとか維持してきた優等生だったのが実情だろう。

他社に比べて、地方にも手厚いドコモの店舗網

 今後の大きな焦点は、NTTドコモが店舗網をどう削減していくかだが、その行方を占う上でおさえておきたいのが、ドコモが地方にも手厚い店舗網を構築している実態だ。

 全国の店舗数でいえば最多のNTTドコモだが、南関東・東海・京阪神の三大都市圏に限れば店舗数は最も少ない状況になっている。逆に言えば、三大都市圏以外の店舗数が、ソフトバンクやauに比べて200店舗以上多いことになり、全国くまなく店舗を配していることがうかがえる。

 果たしてNTTドコモは、他社並みに地方の店舗網に大ナタをふるうのか、それとも都市圏もふくめてまんべんなく削減していくのだろうか。また、ドコモに触発されて他社も一層の削減に踏み込むのか。今後も店舗網については定点観測を続けていきたい。

【お詫びと訂正 2022/06/24 12:23】
 記事初出時、ワイモバイルブランドの店舗について、ソフトバンクとワイモバイル両方を扱う店舗を除いたデータに基づき、「ワイモバイルは店舗網の整理を強行した」としておりました。しかしながら、両ブランドを扱う店舗が増えていることから、ワイモバイル単体のショップだけでの記述は不適切と判断し、本文を修正いたしました。お詫びして訂正いたします。

IT専門の調査・コンサルティング会社として、1993年に設立。 主に「個別プロジェクトの受託」「調査レポート」「コンサルティング」サービスを展開。 所属アナリストとの意見交換も無償で随時受け付けている。 https://www.mca.co.jp/company/analyst/analystinfo/