スタパ齋藤のコレに凝りました「コレ凝り!」

この坂道の勾配、何パーセントあるのかな?

e-bikeで、坂道が好きになった!?

 自転車全般が好きな筆者ですが、自転車関連で嫌いだったのが坂道。上り坂です。何ら一切まったく完全にひとつも、楽しいと感じられる要素がない。苦しいだけ、辛いだけ。世の中の上り坂なんて全部下り坂になればいいのに! と、意味不明の半狂乱状態に陥るくらい、上り坂が嫌いでした。

 しかし去年、e-bikeを購入してから、上り坂がけっこー好きになってしまいました。というのも、e-bikeだと上り坂が超ラクだから。上り坂の苦しさ辛さ激減で、自転車登坂のオイシイところだけを味わえるんです。急坂になるほど、上りきったときの風景がダイナミック。交通量も少なかったりします。e-bikeでの登坂はかなり愉快♪ なお、e-bikeとは電動アシストユニットを搭載したスポーツ自転車のことを指しますが、詳しくは家電 Watchの該当記事で説明しています。

去年購入したe-bike、ミヤタ「RIDGE-RUNNER(リッジランナー)」(公式ページ)。セミ・ファットタイヤを履いたMTBで、シマノのグラッグシップ・ドライブユニット「STEPS E8080」(公式ページ)を搭載しています。レビュー記事はコチラ

 スポーツ自転車で峠などへの坂を上がることを「ヒルクライム」なんて言いますが、まさか自分が好んでヒルクライムをするようになるとは思いませんでした。e-bikeに新たな楽しさをもらったような感じですがさておき、ヒルクライムをしていて気になるのが坂道の勾配です。坂の傾斜の度合いですね。「今、どのくらいの坂道を上がってるのかな~?」と。

 傾斜を示す単位はいくつかありますが、道路の傾斜は主に「%(パーセント)」で示されます。たとえば道路ですと、急勾配があるところに下のような道路標識があります。その数値は傾斜の度合い、勾配を示しています。

急坂によくある道路標識。これは「上り急勾配あり」の標識で、数値は勾配を示しています。なお、この図は自作なのでけっこうテキトーであり、本物と違う部分があるかもしれません。

 もしかすると、上の標識を見て「上りの角度が10度ってことかな?」と勘違いしてしまうかもしれません。しかし、この場合は単位が「%」なので、坂の傾斜と水平がなす角度ではなく、坂を100m進んだら高さが何m上昇するかを示しています。

10%の上り勾配とは、100m進んだら10m高さが増す傾斜を表します。同じく、100m進んで3m上がれば3%、100m進んで18m上がれば18%の勾配です。ちなみに、10%勾配は角度にすると約5.7度、3%だと約1.7度、18%だと約10.2度です。“激坂”の20%だと約11.3%で、超激坂となる30%だと約16.7度です。なお、この図の角度は誇張してあります。

 20%の勾配かよ~すげぇな~とか思ってたけど角度にすると約11.3%かぁ~なんか寂しい気がするゼ~とか思いますが、さておき、道路標識の%はそういう意味です。なお、鉄道の勾配は「‰(パーミル)」で示されるそうで、これは1000m進んだら何m上がるかを示しています。パーミルの表示って傾斜がある線路の脇に実際に示されているんですね。

 と、話が長くなりましたが、ヒルクライムしていると、この「%」が気になってきます。「この坂とあの坂、どっちがキツいのかな」的な興味から、傾斜を数値で知りたくなるわけですね。

勾配なんかスマホで測ればいいじゃない~

 坂道の勾配を数値で知りたくなった筆者。自転車用マップとしてスマートフォンを使っていますが、勾配を測れるアプリとかってあるのかな? と思ったらアッサリとありました。いくつかあったんですが、筆者が試したのは「角度傾斜計」(App Store)というiOS版アプリです。

iOS版アプリ「角度傾斜計」の表示例。角度や勾配の計測基準は、端末の縦や横や画面を基準にすることができます。前述の%の勾配と「水勾配」は同じです。

 このアプリがあれば勾配の%を知ることができるゼ! と思って意気揚々とサイクリングに出かけたんですが、結果はイマイチ。というのは、走行中は自転車・端末の振動で、表示される数値が激しく変わってしまうからです。たとえば、7%~18%くらいの間で変化したり、ときどき30%と出たり。

 なんとなく危惧していましたが、やはりこのアプリ、端末を静止させて使うべきアプリのようです。静止した対象の傾きを計測するためのアプリでした。

 なお、このアプリを使って、自転車が静止した状態なら正しい勾配を測れます。でも、勾配計測に行っているわけでもないので、いちいち停車するのもな~、と。

 ……あーそう言えば、サイクルコンピュータにも勾配を測れる機能ってあったような? と思って調べてみましたが、どうも、ある程度の距離を走って、その標高差から勾配を割り出すという方法のようで、「今走っているココの勾配」という、瞬間勾配? みたいなのは割り出せないっぽい。また、状況により「アリエナイ勾配の数値が出る」こともあるそうで。

 じゃあやっぱり、結局、あのアナログな道具を使うのがいいのかも。10年くらい前に興味本位で買っていたけど死蔵しっぱなしの、アナログな自転車用勾配計です。

大雑把だけどツカエル、アナログ式の自転車用勾配計

 使ってみた……というか自転車グッズの死蔵品入れから発掘してきたのが、10年ほど前に買った「シリカ(SILCA)sky mounti 勾配計」です。水平なんかを見る水準器の勾配バージョンで、自転車のハンドルに装着できるというものです。

死蔵していた「シリカ sky mounti 勾配計」。死蔵の理由は「おもしろそうだから買ってみたけど、走るのは平らな川沿いサイクリングロードばっかりだかし、そもそも坂なんか上る気がないから、勾配計を使う場面がない」とかだと思います。黄色い部分にオイルのような粘度のある液体が封入されていて、インジケーターとなる泡がゆっくり動き、泡の位置により勾配がわかるというツールです。
自転車のハンドルにセットした様子。平らな場所で、泡が0%の位置にくる角度で固定します。右写真は約10%の勾配であることを示しています。

 実際に使ってみると、正直なところ、勾配計を見る顔(目)の位置によって若干の誤差が出たりするので、「だいたいの勾配がわかる」といった精度です。でも、泡がゆっくり動くため、現在走行中の上り坂の勾配が、パッと見でよくわかって便利。急激に変化する勾配にはあまり向かないとは思いますが、まあそういう坂ってあまりナイので、フツーに実用的です。

 ていうかコレでいいじゃんコレで。じゃあコレと同じ勾配計を、ほかの自転車にも取り付けよう! もう1個買おう! あ、バイクに取り付けてもおもしろそうだから、何個か買おう!

 と思ったら、なんかこの「シリカ sky mounti 勾配計」、どこにも売っていません。完売? ディスコン? だめだ! この便利な勾配計がもう買えないなんて!

 とか思って妙に必死に探していたら、似た製品がありました。Sun Companyの「CyclClimb Bike Inclinometer」(直販ページ)です。Amazon(日本)の商品リンクはコチラで、お値段は3770円。ミョーに高いですが、買ってみました。

Sun Companyの「CyclClimb Bike Inclinometer」。シクミは前出の勾配計とだいたい同じですが、こちらは横から見ると凹型になっています。左側で勾配の%が、右側で水平に対する坂の角度がわかります。「Inclinometer」は傾斜計のことだそうです。
自転車に取り付けた様子。やはり平らなところでインジケーターが0を示すように取り付け、坂の途中でインジケーターの位置を読み取るという使い方です。右は約15%の勾配であることを示している様子。

 使用感としては、コチラのほうがより細かく勾配のパーセンテージを読み取れて実用性が高い感じ。金属球のようなインジケーターは、前出品の空気泡インジケーターより速く動くので、勾配が急に変わっても追従性が高いです。また、動きすぎるという感じもありません。全体的にコチラのほうが扱いやすく、精度もちょっと高いようで、完成度が高いという印象……だから前出品は市場から無くなっちゃったのかもしれません。

 ともあれ、どちらも「今走っている坂道の勾配がだいたいわかる」という感じの、わりと大雑把な勾配計です。でも使っていると、「そっか~この坂は10%以上あると思ってたけどじつは7%程度かぁ」とか「うそ、ここ瞬間的に20%オーバーじゃん、距離10mだけど激坂じゃん」みたいなことがわかって興味深いです。坂が好きな方は、ゼヒ♪

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。