ケータイ用語の基礎知識

第881回:Wi-Fi 4/5/6 とは

 無線LAN、いわゆるWi-Fiのデバイスは、さまざまなメーカーから発売されています。

 ある製品が、他の製品とともに利用できるようにするため、業界団体であるWi-Fi Allianceは「Wi-Fi CERTIFIEDブランド」を作りました。認定された機器には、Wi-Fi Allianceの登録商標であるWi-Fiロゴの使用が許可されているのです。

 一方で、Wi-Fi(無線LAN)という規格は、徐々に進化し、多くのバージョンが生まれています。そのバージョンをどう識別したかというと、米国電気電子学会(IEEE)でのナンバリングがそのまま利用されるようになりました。IEEE 802.11b、IEEE 802.11b/g、IEEE 802.11b/g/n、IEEE 802.11b/g/n/a/acという用語がそのまま一般の消費者にも使われてきたのです。

 最近になってWi-Fi Allianceは、世代の異なるWi-Fi テクノロジーがひと目で分かるよう、新たに世代名の概念を導入することにしました。その規則に従った各規格の呼び方が、今回紹介する「Wi-Fi 4」「Wi-Fi 5」「Wi-Fi 6」なのです。

n=4、ac=5、ax=6

 世代にあわせた表記法では、Wi-Fi規格の進化に対応する形で、数字によってWi-Fiの世代を表します。

「IEEE 802.11n」対応は「Wi-Fi 4」、「IEEE 802.11ac」対応は「Wi-Fi 5」、そして「IEEE 802.11ax」対応はWi-Fi 6となります。

 それぞれのロゴも用意されています。

Wi-Fi4/5/6それぞれのビジュアルロゴ。2019年から対応製品に添付される

 こうしたロゴやわかりやすい世代名で表記されれば、自分の手元にあるデバイスが、どこまで対応しているのか、わかりやすく判断できます。

 今後、世代が新しくなって「Wi-Fi 7」「Wi-Fi 8」といった表記になっていけば、スピードやスループットの性能がアップするなど、新たな機能が追加されるでしょうし、判別もしやすくなります。

 これまでの表記よりも覚えやすい方式ですから、Wi-Fiのエコシステム全体を通じて広く普及することが見込まれています。

 Wi-Fiナンバリングは、デバイスメーカーなどが、デバイスの機能を示せるだけではありません。パソコンやスマートフォンの利用中、Wi-Fiで繋がる際に、こうした世代を表示することもできるようになるのです。

 Wi-Fiネットワーク間でユーザーが移動すると接続先に合わせて表示が変わりますので、ユーザーは接続環境をリアルタイムに把握できるでしょう。

 新表記の認定製品は、2019年から提供される予定になっています。

大和 哲

1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)